JAJSO37A June 2022 – August 2022
PRODUCTION DATA
この例のシャント抵抗 (R10、R20) の値は 10mΩ です。目的の 30A の過電流検出レベルでは、シャント抵抗の両端の電圧降下は 10mΩ × 30A = 300mV です。コンパレータの正方向のトリップ・スレッショルドは VREF + VHYS です。ここで、VHYS は 4mV (「電気的特性」の表で規定)、VREF は REF ピンと GND1 ピンとの間に接続された R11 (または R12) の両端の電圧です。R11 と R12 は (VTRIP - VHYS) / IREF = (300mV - 4mV) / 100μA = 2.96kΩ と計算されます。E96 系列 (1% 精度) での、次に小さい値は 2.94kΩ であるため、29.8A の過電流トリップ・スレッショルド (立ち上がり) が得られます。
入力信号をフィルタ処理し、ノイズに対する感度を下げるため、10Ω/1nF の RC フィルタ (それぞれ R15/C16、R25/C26) をコンパレータの入力に配置します。このフィルタにより、保護回路の総応答時間を計算する際に考慮すべき 10Ω × 1nF = 10ns の伝播遅延が追加されます。そのシステムが追加の遅延に耐えられる場合、ノイズ耐性を高めるためにフィルタ定数を大きくすることを推奨します。
表 8-2 に、この設計の主要パラメータを示します。
パラメータ | 値 |
---|---|
基準抵抗値 (R11、R21) | 2.94kΩ |
基準コンデンサ値 (C15、C25) | 100nF |
リファレンス電圧 | 296mV |
リファレンス電圧のセトリング・タイム (最終値の 90% まで) | 690μs |
過電流トリップ・スレッショルド (立ち上がり) | 298mV/29.8A |
過電流トリップ・スレッショルド (立ち下がり) | 294mV/29.4A |