データシートに規定する接合部から周囲への熱抵抗 RθJA は、おもに各種ドライバの比較または熱性能の概算に役立ちます。しかし、実際のシステム性能は、PCB 層形成 (スタックアップ)、配線、ビア数、サーマル・パッド周りの銅面積に応じて、この値よりも良くなったり、悪くなったりします。ドライバが特定の電流を駆動する時間の長さもまた、消費電力や熱性能に影響を与えます。ここでは、定常および過渡熱条件での設計方法について考察します。
このセクションのデータは、次の基準を使用してシミュレーションしたものです。
- 2 層 PCB、標準 FR4、1oz (35µm 銅箔厚) または 2oz 銅箔厚。
- 上層:DRV887x-Q1 HTSSOP パッケージ・フットプリントと銅プレーン・ヒートシンク。シミュレーションでは、上層の銅箔面積を変化させています。
- 下層:DRV887x-Q1 のサーマル・パッド下のビアで熱的に接続されたグランド・プレーン。下層の銅箔面積は上層の銅箔面積によって変化します。サーマル・ビアはサーマル・パッドの下にのみ配置 (1.2mm 間隔のグリッド・パターン)。
- 4 層 PCB、標準 FR4。外側のプレーンは 1oz (35µm 銅箔厚) または 2oz 銅箔厚。
- 上層:DRV887x-Q1 HTSSOP パッケージ・フットプリントと銅プレーン・ヒートシンク。シミュレーションでは、上層の銅箔面積を変化させています。内側のプレーンは 1oz で一定。
- 中間層 1:DRV887x-Q1 のサーマル・パッドとビアで熱的に接続された GND プレーン。グランド・プレーンの領域は 74.2mm x 74.2mm です。
- 中間層 2:電源プレーン、熱的接続なし。
- 下層:DRV887x-Q1 の下に小さな銅パッドを設け、上層および内部 GND プレーンから打ったビアで熱的に接続した信号層。下層のサーマル・パッドはパッケージと同じサイズ (5mm x 4.4mm)。上層の銅プレーンが変化しても、下層のパッドのサイズは一定。サーマル・ビアはサーマル・パッドの下にのみ配置 (1.2mm 間隔のグリッド・パターン)。
図 8-2 に、HTSSOP パッケージ用基板のシミュレーション例を示します。表 8-2 に、各シミュレーションで変化させた基板の寸法を示します。
表 8-2 16 ピン PWP パッケージの寸法 A銅 (Cu) 面積 (mm2) | 寸法 A (mm) |
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2 | 16.43 |
4 | 22.35 |
8 | 30.68 |
16 | 42.42 |