JAJSL86A January 2021 – May 2022 DRV8935
PRODUCTION DATA
本デバイスの出力電流および消費電力特性は、PCB 設計と外部条件に大きく依存します。ここでは、これらの値を計算するための指針を提示します。
本デバイスの総消費電力 (PTOT) は、おもに 3 つの要素から成ります。それらは、パワー MOSFET RDS(ON) (導通)損失、パワー MOSFET スイッチング損失、および電源静止電流損失です。それ以外の要素が電力損失の増加に影響することもありますが、この 3 つの主要な要素に比べると通常わずかです。
PTOT = PCOND + PSW + PQ
VM に接続される負荷について、すべての出力に同じ電流が負荷されていると仮定すると、合計導通損失は次のように表すことができます。
PCOND = 4 x (IOUT)2 x RDS(ONL)
DRV8935 のハイサイド MOSFET とローサイド MOSFET はオン抵抗が同じなため、伝導損失は入力 PWM のデューティ・サイクルや PWM オフ時間の長さには依存しません。RDS(ON) はデバイス温度と強い相関があることに注意する必要があります。正規化した RDS(on) と温度との関係を示す曲線については、「代表的特性」の曲線を参照してください。
PCOND = 4 x (1.5A)2 x 0.165Ω = 1.485W
PSW は、公称電源電圧 (VM)、安定化出力電流 (IOUT)、スイッチング周波数 (fPWM)、デバイス出力立ち上がり (tRISE) / 立ち下がり (tFALL) 時間の仕様から計算できます。
4 つの出力すべてが同時にスイッチングされていると仮定します。
PSW = 4 x (PSW_RISE + PSW_FALL)
PSW_RISE = 0.5 x VM x IOUT x tRISE x fPWM
PSW_FALL = 0.5 x VM x IOUT x tFALL x fPWM
PSW_RISE = 0.5 x 24V x 1.5A x 100ns x 40kHz = 0.072W
PSW_FALL = 0.5 x 24V x 1.5A x 100ns x 40kHz = 0.072W
PSW = 4 x (0.072W + 0.072W) = 0.576W
PQ は、公称電源電圧 (VM) と IVM アクティブ・モード電流の仕様から計算できます。
PQ = VM x IVM = 24V x 5mA = 0.12W
全消費電力 (PTOT) は導通損失、スイッチング損失、静止電力損失の合計として計算されます。
PTOT = PCOND + PSW + PQ = 1.485W + 0.576W + 0.12W = 2.181W
周囲温度が TA、総消費電力 (PTOT) の場合、接合部温度 (TJ) は次のように計算されます
TJ = TA + (PTOT x RθJA)
JEDEC 規格の 4 層 PCB を考慮すれば、接合部から周囲への熱抵抗 (RθJA) は、HTSSOP パッケージの場合 31℃/W、VQFN パッケージの場合 40.7℃/W です。
25℃の周囲温度を仮定すると、HTSSOP パッケージの接合部温度は以下のように計算されます。
TJ = 25°C + (2.181W x 31°C/W) = 92.6 °C
VQFN パッケージの接合部温度は以下のように計算されます。
TJ = 25°C + (2.181W x 40.7°C/W) = 113.8 °C
デバイス接合部温度が規定の動作範囲内にあることを確認する必要があります。