JAJSE09K March 2009 – November 2023 INA210-Q1 , INA211-Q1 , INA212-Q1 , INA213-Q1 , INA214-Q1 , INA215-Q1
PRODUCTION DATA
フィルタ処理を行う場所として明白でわかりやすいのは、INA21x-Q1 ファミリのデバイスの出力です。ただし、デバイスの出力にフィルタリングを配置すると、内部バッファの出力インピーダンスが低いという利点が打ち消されてしまいます。それ以外で唯一のフィルタリング方法は、INA21x-Q1 ファミリのデバイスの入力ピンです。入力ピンにフィルタリングを配置する場合は、内部抵抗に ±30% の許容誤差があることを考慮する必要があります。入力ピンに配置されたフィルタを、図 6-2 に示します。
外付け直列抵抗を追加すると測定誤差が大きくなるため、これらの直列抵抗の値は 10Ω (可能であれば、それ以下) にとどめ、精度への影響を低減する必要があります。図 6-2 に示すように、入力ピンには内部バイアス回路があり、入力ピンの間に差動電圧が印加されたとき、入力バイアス電流のミスマッチを発生させます。外付け直列フィルタ抵抗を回路に追加した場合、バイアス電流のミスマッチは結果的にフィルタ抵抗両端の電圧降下のミスマッチをもたらします。このミスマッチは、シャント抵抗で発生する電圧から差し引かれる差動誤差電圧を生じさせます。この誤差により、シャント抵抗の両端に発生する電圧と本デバイスの入力ピンの電圧に差が生じます。直列抵抗を追加しなければ、入力バイアス電流のミスマッチがデバイスの動作に及ぼす影響はほとんどありません。これらの外付けフィルタ抵抗により追加される測定誤差の大きさは、式 2 を使用して計算できます。ゲイン誤差係数の計算には、式 1 が使用されます。
シャント抵抗で発生する電圧に対する本デバイスの入力差動電圧の変動量は、外付け直列抵抗値と内部入力抵抗 R3 および R4 (または図 6-2 に示す RINT) に基づきます。本デバイスの入力ピンに到達するシャント電圧の低下は、シャント抵抗両端の電圧と出力電圧を比較する際のゲイン誤差として現れます。外付け直列抵抗を追加することによって生じるゲイン誤差の大きさを求めるため、係数を計算できます。式 1 を用いて、シャント電圧と本デバイスの入力ピンでの測定電圧の偏差の推定値を計算します。
ここで
調整係数の式 式 1 にはデバイスの内部入力抵抗が含まれているため、この係数は、各ゲインのバージョンによって異なります。バージョンごとのゲインを 表 6-1 に示します。表 6-2 に、各デバイスのゲイン誤差係数を示します。
製品名 | ゲイン | RINT (kΩ) |
---|---|---|
INA210-Q1 | 200 | 5 |
INA211-Q1 | 500 | 2 |
INA212-Q1 | 1000 | 1 |
INA213-Q1 | 50 | 20 |
INA214-Q1 | 100 | 10 |
INA215-Q1 | 75 | 13.3 |
製品名 | 簡略化されたゲイン誤差係数 |
---|---|
INA210-Q1 | |
INA211-Q1 | |
INA212-Q1 | |
INA213-Q1 | |
INA214-Q1 | |
INA215-Q1 |
式 2 を使って、外付け直列抵抗を追加した場合のゲイン誤差の推定値を計算します。
たとえば、INA212-Q1 と、表 6-2 の対応するゲイン誤差の式を使用すると、10Ω の直列抵抗に対して 0.982 のゲイン誤差係数が得られます。対応するゲイン誤差は 式 2 を使用して計算され、約 1.77% のゲイン誤差となります。これは、10Ω の外付け直列抵抗のみによるものです。INA213-Q1 で同じように 10Ω 直列抵抗を使用すると、ゲイン誤差係数は 0.991、ゲイン誤差は 0.84% になります。これも、外部抵抗のみによるものです。