JAJSJX4A March 2020 – September 2020 LMQ62440-Q1
PRODUCTION DATA
インダクタを選択するためのパラメータはインダクタンスと飽和電流です。目的のピーク・ツー・ピーク・インダクタ・リップル電流がデバイスの最大出力電流定格の 20%~40% の範囲に収まるように、インダクタを選択します。経験上、インダクタ・リップル電流の最適値は、固定入力電圧を使うシステムでは最大負荷電流の 30%、可変入力電圧 (自動車の 12V バッテリなど) を使うシステムでは最大負荷電流の 25% です。本デバイスから利用可能な最大電流よりも、最大負荷電流がはるかに小さいアプリケーションのリップル電流を選択する場合でも、依然として本デバイスの最大電流を利用する必要があります。Equation8 を使用して、インダクタンスの値を決定することができます。定数 K はインダクタ電流リップルのパーセンテージです。この例では、K = 0.25 を選択し、約 2μH のインダクタンスを求めました。最も近い標準値である 1.5µH を選択しました。
インダクタの飽和電流定格は、ハイサイド・スイッチの電流制限値 (IL-HS) 以上にする必要があります (GUID-XXXXXXXX-SF0T-XXXX-XXXX-000000172821.html を参照)。こうすることで、出力の短絡中でもインダクタが飽和しないようにします。インダクタのコア材が飽和すると、インダクタンスは非常に小さい値に低下し、インダクタ電流は急増します。バレー電流制限値 (IL-LS) は、電流が暴走しづらいように設計されているとはいえ、インダクタが飽和することで電流値が急増する可能性があります。これは部品の損傷につながる可能性があります。インダクタを飽和させないでください。フェライト・コア材を採用したインダクタは飽和特性が非常に急峻ですが、コア損失は通常、圧粉コアよりも小さいです。圧粉コアは穏やかな飽和特性を示すため、インダクタの電流定格をある程度緩和できます。しかし、通常 1MHz を上回る周波数では、コア損失が増加します。いずれにしても、インダクタの飽和電流は、デバイスのハイサイド電流制限値 (IL-HS、GUID-XXXXXXXX-SF0T-XXXX-XXXX-000000172821.html を参照) よりも小さくしないようにします。分数調波発振を防止するため、Equation9 で与えられる値よりインダクタンス値を小さくしないようにします。最大インダクタンスは、電流モード制御を正しく行うために必要な最小電流リップルによって制限されます。目安として、インダクタの最小リップル電流は、公称条件でのデバイスの最大定格電流の約 10% 以上とする必要があります。
Equation9 では、ドロップアウトに近い入力電圧またはドロップアウトに入った入力電圧でこの設計が動作するものと仮定しています。この設計の最小動作電圧が、デューティ・サイクルを 40% 未満に制限するのに十分なほど高い場合、Equation9 の代わりにEquation8 を使用できます。
Equation8 とEquation9 を使用して計算した最小インダクタンスより大きいインダクタを選択すると、出力リップルを抑制するために必要とされる出力容量は減少しますが、大きな負荷過渡を制御するためにより大きな出力容量が必要とされることに注意します。GUID-33118663-7D95-431F-B638-FD01B7153CD5.html を参照してください。