LP5860 デバイスは、最大 198 の LED ドットを 1 つのチップでサポートするため、時分割多重マトリクス方式を採用しています。本デバイスは、198 (18 × 11) の LED ドットまたは 66 (6 × 11) の RGB ピクセルを駆動するため、18 の電流シンクと 11 のスキャン ラインを内蔵しています。マトリクス制御方式では、本デバイスはライン 0 からライン 10 までを順にスキャンします (図 8-1 を参照)。個別アナログおよび PWM 調光をサポートするため、LED ドットごとに電流ゲインおよび PWM デューティ レジスタをプログラムできます。
LP5860 デバイスは、11 のハイサイド P チャネル MOSFET (PMOS) を搭載しています。Dev_initial レジスタの「Max_Line_Num」を設定することで、アクティブなスキャン数 (1~11) を柔軟に設定できます。時分割多重マトリクスのタイミング シーケンスは、図 8-2 に従います。
ライン スイッチングの 1 サイクル時間は以下のように計算できます。
式 1. tline_switch = tPWM + tSW_BLK + 2 × tphase_shift
- tPWM は電流シンクのアクティブ時間であり、Dev_initial レジスタの「PWM_Fre」を設定することで、8μs (PWM 周波数を 125kHz に設定) または 16μs (PWM 周波数を 62.5kHz に設定) となります。
- tSW_BLK はスイッチのブランク時間であり、Dev_config1 レジスタの「SW_BLK」を設定することで、1μs または 0.5μs となります。
- tphase_shift は PWM 位相シフト時間であり、Dev_config1 レジスタの「PWM_Phase_Shift」を設定することで、0 または 125ns となります。
1 つのサブ期間全体の表示時間の合計は tsub_period であり、以下の式で計算できます。
式 2. tsub_period = tline_switch × Scan_line#
- Scan_line# は、Dev_initial レジスタの「Max_Line_Num」によって決定されるスキャン ライン数です。
図 8-3 に、時分割多重マトリクス方式のタイミング図を示します。tCS_ON_Shift は、Dev_config1 レジスタの「CS_ON_Shift」ビットを設定することで決まる電流シンクのターンオン シフトです。
LP5860 デバイスには、マトリクス トポロジの副作用を解消するため、ゴースト除去機能と低輝度補償機能が実装されています。
- ゴースト除去:LED の予期しない弱いターンオンを防止するため、上側と下側の両方のゴースト除去機能が実装されています。
- 上側ゴースト除去:各スキャン ラインのオフ状態の間に、各スキャン ラインを放電します。Dev_config3 レジスタの「Up_Deghost」を設定することで、LP5860 はスキャン ライン スイッチを放電し、特定の電圧にクランプします。
- 下側ゴースト除去:各スキャン ラインのオフ状態の間に、各電流シンク電圧をプリチャージします。ゴースト除去機能は、Dev_config3 レジスタの「Down_Deghost」によって調整できます。
- 低輝度補償:低輝度条件での色シフトと不均一性を解消するため、3 組の補償機能が実装されています。この補償機能は、Dev_config2 レジスタの「Comp_Group1」、「Comp_Group2」、「Comp_Group3」によって行うことができます。
- 補償グループ 1:CS0、CS3、CS6、CS9、CS12、CS15。
- 補償グループ 2:CS1、CS4、CS7、CS10、CS13、CS16。
- 補償グループ 3:CS2、CS5、CS8、CS11、CS14、CS17。