JAJSJ38E March 2020 – December 2023 OPA206 , OPA2206 , OPA4206
PRODUCTION DATA
設計者は多くの場合、より堅牢な回路を設計するため、アンプの標準仕様についての疑問を抱きます。プロセス テクノロジーや製造手順が自然に変動する結果、アンプのすべての仕様、たとえばアンプの入力バイアス電流などには、理想的な値から多少の偏差が発生します。これらの偏差は多くの場合、ガウス分布 (正規分布、またはベル型の曲線) に従います。回路設計者はこの情報を活用して、「電気的特性」に最小値または最大値の仕様がない場合でも、システムをガードバンド化できます。
分布の例を、図 6-1 に示します。ここで、μは分布の平均値、σ (シグマ) は系の標準偏差です。このような分布を示す仕様では、すべてのユニットの約 2/3 (68.26%) が平均値から 1 標準偏差 (シグマ) 以内 (μ - σからμ + σまで) に存在していると予想できます。
「電気的特性」の「標準値」列に記載されている値は、仕様に応じてさまざまな方法で表現されます。一般的なガイドラインとして、仕様の平均値が本質的に 0 以外の場合 (ゲイン帯域幅など)、標準値は平均値 (μ) と等しくなります。しかし、仕様の平均値が本質的に 0 に近い場合 (入力バイアス電流など)、標準値を最も正確に表すのは平均値に 1 標準偏差を加えた値 (μ + σ) です。
このチャートを使用して、ユニット内仕様のおおよその確率を計算します。たとえば、OPAx206 の入力バイアス電流の標準値は ±0.1nA なので、すべてのデバイスの 68.2% は ±0.1nA の入力バイアスを持つと予想できます。4σを考えると、分布の 99.9937% の入力バイアスは±0.28nA 未満です。これは、母集団のうちでこの制限値を超えるのは 0.0063%、すなわち約 15,873 ユニットに 1 つということを意味します。
ユニットがテスト済みの最小値または最大値の仕様から外れていることが判明した場合、そのユニットは量産品から除去されます。たとえば、OPAx206 の最大入力バイアスは、25℃で ±0.4nA です。この値は約 6σ (約 500 万ユニットに 1 つ) に相当しますが、入力バイアスがこれより大きいユニットはすべて量産品から除去されます。
最小値や最大値の列に値がない仕様については、アプリケーションに十分なガードバンドとなる σ 値を選択し、その値を使用してワーストケース条件を設計することを検討してください。この情報は、デバイスの性能を推定する目的でのみ使用してください。