JAJSHP2D December 2015 – August 2021 OPA191 , OPA2191 , OPA4191
PRODUCTION DATA
OPAx191 オペアンプ・ファミリは、テキサス・インスツルメンツの e-trim オペアンプ・テクノロジーを使用して製造されています。この e-trim オペアンプ・テクノロジーは、ウェハー・プローブまたは最終テスト時に内部デバイス・パラメータを調整するテキサス・インスツルメンツ独自の手法です。各アンプの入力オフセット電圧と入力オフセット電圧ドリフトは製造時に調整されるため、入力オフセット電圧と入力オフセット電圧ドリフトに関連する誤差を最小限に抑えることができます。入力オフセット電圧ドリフトを調整すると、各デバイスの系統的 (線形的) ドリフト誤差がゼロに調整されます。図 7-1 に、この概念を示します。
入力オフセット電圧ドリフトを特定する一般的な方法は、ボックス法です。ボックス法では、オフセット電圧と温度との関係の曲線を含むように箱で囲み、この箱の角を使ってドリフトを求めることで最大入力オフセット・ドリフトを推定します。この箱の対角線の勾配が、入力オフセット電圧ドリフトに相当します。図 7-2 に、ボックス法の概念を示します。入力オフセット・ドリフトがドリフトの線形成分によって支配される場合、ボックス法は特に有効です。ただし、OPA191 ファミリはテキサス・インスツルメンツの e-trim オペアンプ・テクノロジーを使用して線形成分の入力オフセット電圧ドリフトを除去しているため、誤差解析を的確に行う上では、ボックス法は特に有用な方法という訳ではありません。図 7-2 に、説明のためにボックス法を重ね合わせた 30 個の代表的な OPAx191 を示します。箱の境界は、仕様温度範囲 (x 軸方向) と、その同じ温度範囲での最大入力オフセット電圧の仕様 (y 軸方向) によって決定します。ボックス法を使用すると、0.9µV/℃の入力オフセット電圧ドリフトが予測されます。図 7-2 に示すように、実際の入力オフセット電圧と温度との関係の曲線の勾配は、ボックス法で予測される値よりもはるかに小さい値です。ボックス法は、最大入力オフセット電圧ドリフトに対して悲観的な値を予測するため、誤差解析を行う場合には推奨されません。
ボックス法の代わりに、入力オフセット・ドリフトを説明するための便利な方法は、入力オフセット電圧と温度曲線との関係の曲線の勾配を計算することです。これは、入力オフセット電圧と温度との関係の曲線に沿った各点の入力オフセット・ドリフトを計算することと同じです。図 7-3 に、OPAx191 ファミリの結果を示します。
図 7-3 に示すように、入力オフセットのドリフトは通常、-40℃~+125℃の範囲にわたって ±0.3μV/℃未満です。仕様温度範囲全体にわたって誤差解析を行う場合、「電気的特性」の表に記載された入力オフセット電圧ドリフトの標準値と最大値を使います。温度範囲を狭めることができる場合、図 7-3 に示す情報を使って誤差解析を行います。入力オフセット電圧の変化を求めるには、次のEquation1 を使います。
ここで
たとえば、ユニットの 1 σ (68%) について、25℃~75℃の温度範囲にわたる OPA191ID の入力オフセット電圧の変化量を求めます。図 7-3 に示すように、入力オフセット・ドリフトは 0.25μV/℃ (標準値) です。この入力オフセット・ドリフトから、入力オフセット電圧の変化の標準値として (75℃ - 25℃) × 0.25µV/℃ = 12.5µV が得られます。
ユニットの 3 σ (99.7%) については、図 7-3 は、入力オフセット・ドリフトが約 0.75μV/℃ (標準値) であることを示しています。この入力オフセット・ドリフトから、入力オフセット電圧の変化の標準値として (75℃ - 25℃) × 0.75µV/℃ = 37.5µV が得られます。