JAJSMV2H may 2008 – june 2023 OPA2673
PRODUCTION DATA
広帯域電流帰還型オペアンプは一般に、相当する電圧帰還型オペアンプよりも大きい出力ノイズを示します。OPA2673 は、出力ノイズを低減するため、電圧ノイズの項と電流ノイズの項のバランスをうまくとっています。その小さい入力電圧ノイズは、非反転入力電流ノイズを大きく (3pA/√Hz) する代償として実現されています。非反転ノードから見た AC ソース・インピーダンスが 100Ω 未満である限り、この電流ノイズは総合的な出力ノイズには大きく影響しません。オペアンプの入力電圧ノイズと 2 つの入力電流ノイズの項を組み合わせることで、各種動作条件の下で小さい出力ノイズを求めることができます。図 8-11 に、オペアンプのノイズ解析モデルと、ノイズのすべての項を示します。このモデルにおいて、電圧ノイズと電流ノイズの単位は nV/√Hz と pA/√Hz です。
総合出力スポット・ノイズ電圧は、すべての出力ノイズ電圧の 2 乗和の平方根として計算できます。式 11 に、図 8-11 に示すノイズ項を使用した出力ノイズ電圧の一般式を示します。
この式をノイズ・ゲイン [NG = (1 + RF / RG)] で除算すると、非反転入力での等価入力換算スポット・ノイズ電圧が得られます (式 12 を参照)。
図 8-1 に示す OPA2673 の回路と部品の値に対してこれらの 2 つの式の値を求めることで、15.6nV/√Hz の総合出力スポット・ノイズ電圧と 3.9nV/√Hz の総合等価入力スポット・ノイズ電圧が得られます。この総合入力換算スポット・ノイズ電圧は、オペアンプ単体の電圧ノイズの仕様 (2.4nV/√Hz) を超過しています。この結果は、反転電流ノイズと帰還抵抗 (この場合 402Ω) の積によって出力に追加されたノイズが原因です。高ゲイン構成で帰還抵抗を小さくすると (先に提案したように)、式 12 によって与えられる総合入力換算電圧ノイズは、オペアンプ単体の値 (2.4nV/√Hz) に近付きます。たとえば、RF = 250Ω を使用して +8V/V のゲインにすると、2.9nV/√Hz の総合入力換算ノイズが得られます。