JAJSG32D September 2018 – December 2022 OPA2828 , OPA828
PRODUCTION DATA
多重化は、最小限の信号チェーン要件のマルチチャネル・システムでデータ・アクイジションを実行する一般的な手法です。この場合、アクイジション・システムでのマルチプレクサ (MUX) の役割は、チャネルを切り替え、各信号を 1 つのデータ・コンバータにできるだけ高速に送信し、システムのスループットを最大限に高め、遅延を最小限に抑えることです。精度の高い処理を実現するには、高精度アンプをマルチプレクサの下流側に配置し、A/D コンバータ (ADC) を正確に駆動します。図 7-4 に、この概念を図示します。
代表的な多重化アプリケーションでは、ADC を駆動するオペアンプの入力に大きな過渡電圧が印加されることがよくあります。大きな入力差動電圧は、スルーイングまたは開ループ動作中、特にマルチプレクサ入力を別のマルチプレクサ入力に切り替えるときによく見られます。従来の高精度アンプは差動トランジスタ・ペアで構成されていることが多く、アンプの入力間に配置されているアンチパラレル・ダイオードにより、大きな差動過渡入力電圧から保護されています。これらのアンチパラレル・ダイオードは、入力間の電圧差を 1 つまたは 2 つの順方向ダイオード電圧降下に制限する効果があり、高精度入力デバイスの損傷を防止します。ただし、アンチパラレル・ダイオードには、オンにしたときに大きな突入電流が発生するなどの大きな欠点があります。パッシブ・フィルタを使用していたり、ソース・インピーダンスが高い場合には、大きな突入電流がセトリング・タイムに悪影響を与え、システムのスループットが制限され、信号チェーンの精度も低下する可能性があります。OPAx828 は、入力 JFET トランジスタを保護するためのアンチパラレル・ダイオードを必要とせず、±18V までの差動入力電圧でも大きな突入電流は発生しません。これらの概念を図 7-5 に図示します。