JAJSD64C april 2017 – february 2023 PGA460
PRODUCTION DATA
図 7-3 に示す PGA460 デバイスのアナログ・フロントエンド (AFE) は、物体から反射されたエコーを受信し、増幅して、エコー検出のためのデジタル信号処理 (DSP) データ・パスに送ります。受信したエコー信号の振幅は変動する可能性があるため (近くにある物体では mV 単位、遠くにある物体ではμV 単位)、最初の AFE 段は、あらかじめ決められた固定ゲインで非常に低いノイズの平衡アンプであり、それに続いて、32dB~90dB の可変ゲイン段アンプが設けられています。増幅されたエコー信号は、12 ビットのA/D コンバータ (ADC) によってデジタル信号に変換され、DSP 処理ブロックに供給されて、さらに評価およびタイム・オブ・フライト測定が行われます。
PGA460 AFE は、エコー記録プロセスのバーストおよび減衰段において、センシング素子 (トランスデューサ) を監視するためのシステム診断機能を実装しています。これは、トランスデューサ・ノードで得られる最大電圧とトランスデューサ・ノードでの発振周波数を測定する方法を使っています。この診断の詳細については、「システム診断」セクションを参照してください。
AFEの可変ゲイン・アンプには時変ゲイン機能が実装されており、ユーザーはさまざまな静的ゲインを設定できます。また、エコー・リスン・プロセス (エコー記録時間) のゲイン・プロファイルも指定できます。この機能により、ADC を飽和させずに、さまざまな距離にある物体からのエコー信号を均一に増幅できます。たとえば、最初は、近い物体のために低いゲインをプログラムしておいて、その後、記録時間中にゲインを増加させて、非常に小さいエコー信号を発生する遠くの物体を検出することができます。この機能は、高精度のタイム・オブ・フライト測定のために、ADC 変換後にすべての距離にわたって十分な SNR を達成するのに役立ちます。
時変ゲイン・パラメータは、EEPROM メモリに保存され、以下に示す特性があります。
図 7-4 に、時変ゲインのプロット例を示します。
TVG の開始時間は、絶対時間で表されており、以後のすべての TVG ポイント時間 (TVG_Tx パラメータ) は、現在と前のポイントとの時間差として表されます。すべてのゲイン値は、dB 単位の絶対ゲイン値で表されており、相互の関連はありません。TVG ポイント 5 (TVG_G5) の最終ゲイン設定は、エコー記録時間が終了するまで一定に維持されます。時変ゲインの割り当ては、両方のプリセットで同じです。2 つの TVG ポイント間のゲインは、線形補間方式を使って計算します。AFEのゲイン分解能は標準値 0.5dB です。
記録中に時変ゲインを変更した場合、その変更は次の記録サイクルから適用されます。TVGAIN[0:6] レジスタが 0x00 にプログラムされている場合、PGA460 デバイスの時変ゲイン機能がディセーブルされ、INIT_GAIN レジスタで定義された固定ゲインが適用されます。この場合、INIT_GAIN レジスタを変更すると、記録中に AFE のゲインが変更されます。
時変ゲインのオフセットは、DECPL_TEMP レジスタの 2 つの AFE_GAIN_RNG ビットによって制御されます。レジスタ・マップレジスタ・マップレジスタ・マップ セクションで定義されている 4 つの各設定について、そのオフセットに加算するゲインを 0~32dB の範囲で変更できます。