JAJSOW7H September 1994 – October 2024 UC1842A , UC1843A , UC1844A , UC1845A , UC2842A , UC2843A , UC2844A , UC2845A , UC3842A , UC3843A , UC3844A , UC3845A
PRODUCTION DATA
このアプリケーション設計手順では、UC2842A のピーク電流モード コントローラをオフライン フライバック コンバータで、ユニバーサル入力から 12V、48W のレギュレートされた出力へ、セットアップして使用する方法を示します。
連続モードのフライバック アプリケーションで UC2842A のピーク電流モード コントローラをセットアップし、これを使用した設計を行うには、電力段に関するいくつかの事項を把握する必要があります。まず、出力電力レベル (POUT)、効率 (ƞ)、最小入力電圧 (VIN(min))、ライン周波数 (fLINE)、最小バルク電圧に基づいて、必要な入力バルク容量 (CIN) を計算します。この設計例では、VBULK(min) = 95V にします。
出力コンデンサ (COUT) のサイズは、大信号の過渡応答時に出力電圧が 10% を超えて降下しないように設定されています。設計のこの時点では、電圧ループのクロスオーバー周波数 (fC) が 2.5kHz と想定します。
この設計で選択した COUT は 2200μF のコンデンサで、等価直列抵抗 (ESR) は 45mΩ です。
次に、最小入力電圧と出力電圧に基づいて、トランスの最大 1 次 / 2 次巻線比 (NPS) を計算します。
その次に、UC2842A の出力電圧とバイアス電圧に基づいて、トランスの補助 / 2 次の巻線比 (NAS) を計算します。
トランスの巻線比を決定すると、最小バルク電圧、デューティ サイクル (D)、反射出力電流、効率から、トランスの最小 1 次側磁化インダクタンス (LPM) を計算できます。この設計で使用するトランスは、LPM が 1.7mH で、NPS = 10、NAS = 1、fSW = 100kHz です。
トランスを選択したら、1 次側磁化インダクタンス リップル (ILPM) とトランス全体での反射出力電流から、トランスの 1 次側ピーク電流 (ILpPK) を計算できます。
1 次側ピーク電流を計算した後で、電流検出抵抗 (RCS) を選択できます。
抵抗 RS1 および RS2 を使用して、設計の勾配補償を設定します。コンデンサ CS1 は DC ブロッキング コンデンサで、プルアップ抵抗 RP を使用して、ノイズ耐性のため電流検出信号を多少オフセットします。RP と RS2 は、電流検出信号に 50mV の DC オフセットを追加するよう、事前に選択済みです。
RS1 は、勾配補償がフライバック インダクタのリップル電流下り勾配の 1/2 に設定されるように選択します。このために、2 次磁化インダクタンス (LSM) を計算し、RS1 で次の計算を行います。RS1 の式の 1.7V は、発振器のピーク ツー ピークのリップル電圧振幅です。
ここで、
抵抗 RI と RK は出力リファレンスに選択されており、RK の値を事前に選択し、TL431 のリファレンス電圧 (VTL431REF) が分かれば計算できます。RK に 2.49kΩ を選択すると、RI が計算され、この抵抗には標準の抵抗値として 9.53kΩ が選択されます。
UC2842A コントローラを使用したこの設計には、多くの部品を持つ、興味深い制御ループがあります。GOPTO(f) は、この設計の光アイソレータ全体についての近似伝達関数です。光アイソレータの極周波数は、fP で表されます。この設計で使用する光アイソレータの電流伝送比は 1 で、極周波数は約 5kHz です。部品の配置とノード電圧については、図 7-1 を参照してください。補償を簡素化するため、電圧ループ (fC) は光アイソレータの極より低くクロスオーバーする必要があります。
GBC(f) は、光アイソレータの出力から PWM の制御電圧 への推定伝達関数です。
デューティ サイクルは、バルク入力電圧 (VBULK) によって異なります。VBULK は、通常動作時に 95V~375V の範囲で変動します。これにより、デューティ サイクルは 24%~56% の範囲で変動します。
GCO(f) は、制御 (VC) から出力への推定伝達関数です。ここで、変数 Q は品質係数です。
品質係数 (Q) は、 1 次側の磁化インダクタンスの電圧変化 (SN) をデューティ サイクルの関数で表したものとして定義されます。これには勾配補償 (SE) が追加されます。
電圧ループが安定していることを確認するには、フライバック コンバータの右半面のゼロ周波数 (fRHPZ) の半分よりもクロスオーバー周波数が低い必要があります。最小バルク電圧における右半面のゼロ周波数は、約 9.8kHz です。この設計例で、電圧ループの目標クロスオーバーは 1kHz です。実際の fC は、目標よりも高い場合と低い場合があります。
GCO(f) の DC ゲインは、バルク入力電圧とともに変化します。抵抗 RZ は、コンバータへの入力が VBULK(min) のときに電圧ループをクロスオーバーし、最大クロスオーバー周波数の 1/5 でクロスオーバーするよう選択します。
コンデンサ CZ は、電圧ループのクロスオーバーで 45° の位相マージンが追加されるよう選択します。この設計例では、6.8nF のコンデンサが使用されています。
コンデンサ CP は、制御ループの高周波ゲインが減衰するように選択します。
GC(f) は、TL431 の補償の推定伝達関数です。
TV(f) は、システムの閉ループ ゲインの推定される理論的な伝達関数です。実際の回路では帰還ループ応答が異なる場合があり、実際の回路の性能と信頼性を満たすため、ネットワーク アナライザで調整が必要な場合があります。帰還ループの応答は、設計パラメータのワースト ケース変動に照らして評価する必要があります。
このアプリケーション例では、この設計手法により 1kHz で理論的な帰還ループ (TV(f)) クロスオーバーが生成され、最小入力バルク電圧 95V で約 55° の位相マージンが得られます。高ラインでの理論的な電圧ループは、2.7kHz でクロスオーバーし、位相マージンは 72° です。図 7-2 と図 7-3 を参照してください。TV(f) は、ネットワーク アナライザで評価し、必要なら実際の回路動作に基づいてループ補償を調整する必要があります。また、過渡テストを行い、デバイスが安定していることを確認します。