JAJSEI9B October 2017 – January 2018 UCC28056
PRODUCTION DATA.
入力サイクル中に角度(θ)で発生する1つのスイッチング・サイクルについて考えます。理想的なCrM動作を仮定すると、スイッチング・サイクル中に流れる平均インダクタ電流(ILAvS(θ))は次の式で求められます。
固定回路には定インダクタンス(LBST)があるため、入力サイクル全体にわたってオン期間(TON(θ))が一定(TON)を保てば、平均入力電流は入力電圧に比例したままとなります。つまり、この方法で制御すると、ブースト・コンバータが入力に接続した負荷抵抗(RInEq)のように振る舞います。
次にDCM動作について考えます。Equation 3はスイッチング・サイクル中に流れる平均インダクタ電流を表します。
平均入力電流が入力電圧に比例するためには、入力サイクル全体にわたってオンタイムの積TON(θ)×δONDCH(θ)が一定に保たれる必要があります。Equation 4に等価入力抵抗を示します。
最小入力電圧(VInMinPkL)から最大電力(PInMax)を引き出すには、最小実効入力抵抗(RInEqMin)が必要です。
最小入力動作時のフルパワー動作はCrMモードであると仮定します。Equation 6を用いて、最小入力から最大電力を引き出すために必要なPFCインダクタ値を計算します。
where
入力電力要求は、最大入力電力に対する入力電力の比で表します。
Equation 8はEquation 7を並べ替えて、TON(θ)時間を電力要求の関数として表しています。
Equation 8はUCC28056に実装されているCrM/DCM TON制御原理を示しています。この式は本来は二次式ですが、UCC28056では前のサイクルのδONDCH(θ)の値を基準にして、現在のサイクルのTON(θ)を計算します。このプロセスは、反復法により方程式を数値的に解くのと似ています。
CrM/DCMでの軽負荷動作には、幅広い動作周波数の選択肢があります。定電流パルス、高周波のCrMモード(TDCM=0)で動作できる一方、最大振幅の電流パルス、最低周波のDCMモード(TDCM=TDCMMax)でも動作可能であり、この2つの値の間でUCC28056がTDCM値を選択できます。導通損失は通常、最低動作周波数での動作時に集中しており、効率の低下につながります。スイッチング損失は通常、最高動作周波数(CrM)での動作時に集中しており、これもまた効率の低下につながります。一般に、最も効率のよい動作周波数が生じるのは、パルス電流振幅が最大値の約1/3になるときです。
UCC28056では、入力サイクルのピーク・インダクタ電流がILPkSOptを下回ると、CrM動作からDCM動作に遷移します。DCM動作時には、スイッチング周波数を調整して、あらゆる入力/負荷状態でも入力サイクルのピーク・インダクタ電流がILPkSOpt付近に保たれるようにします。このようにUCC28056は、あらゆる負荷、入力電圧条件下で最大限の効率を実現しようとします。