JAJSEI9B October 2017 – January 2018 UCC28056
PRODUCTION DATA.
ブースト・ダイオードが導通している(また、ブースト・ダイオードと直列のインピーダンスを無視している) TDCH期間中は、MOSFETの電圧が出力電圧にほぼ等しくなります。UCC28056はZCD/CS端子に接続した外付け分圧ネットワークを介して、MOSFETの電圧を監視します。この監視により、VOSNS端子の分圧器が万一損傷しても、別の方法で過剰な出力電圧を検出することができます。固定閾値(VOvp2Th)を持つOvp2コンパレータは、TDCH期間中にZCD/CS端子の電圧を監視します。DRV波形の立ち下がりエッジ後に固定ブランキング期間(TOvp2Blk)を印加することで、ドレイン波形のリーディング・エッジにおける誘導性スパイクによりOvp2コンパレータがトリップしないようにします。
UCC28056は、突入電流制限NTC抵抗をブーストMOSFETの負荷側に配置して動作できます。NTC抵抗をこの位置に配置することで、定格電流の小さい小型のコントローラの使用が可能になり、効率が向上します。特に低温時には、NTCによる直列抵抗を通した電圧降下が原因で、ブースト・ダイオードおよびNTC抵抗を流れる電流が最高値をとるTDCH期間の前半などに、ブーストMOSFETにおける電圧降下が出力電圧より高くなってしまいます。低温NTCが引き起こすブーストMOSFETの過電圧は、次の2つの重大な影響をもたらします。
3スイッチング・サイクル連続でOvp2コンパレータ出力の立ち下がりエッジからZcdb信号までの時間がTOvp2Enを下回ると、UCC28056はOvp2異常を検知します。NTC抵抗を流れる電流が小さければ、Ovp2コンパレータをZcdb点付近にトリップしなければならないため、誤ったOvp2異常の検知に要する直列インピーダンスが大幅に増大します。
各スイッチング・サイクルでCOMP端子とGND端子の間の内蔵放電抵抗(RCODisch)が接続されることによって、Ovp2コンパレータはトリップします。この内蔵抵抗は、外部補償ネットワークを放電して、電力要求を低減し、ひいてはNTC抵抗を流れるピーク電流を低減します。内蔵COMP放電抵抗は、Ovp2コンパレータを検知するスイッチング・サイクルでは、接続されたままとなります。Ovp2コンパレータを検知しない最初のスイッチング・サイクルの後、内蔵COMP放電抵抗は切断されます。この回路は、低温NTC抵抗を流れるピーク電流を抑制することにより、コールドスタート時にブーストMOSFETに印加されるピーク電圧を抑制できます。