JAJA602A June   2018  – September 2024 INA138 , INA138-Q1 , INA139 , INA139-Q1 , INA168 , INA168-Q1 , INA169 , INA169-Q1

 

  1.   1
  2.   2
  3.   商標

入力 出力 電源
Iload Min Iload Max Vout Min Vout Max Vcm Min Vcm Max Vee
0.5A 9.9A 250mV 4.95V 12V 400V GND (0V)

設計の説明

このクックブックでは、高い同相電圧が発生するシステム向けに、高精度の電流センシング ソリューションを設計する方法を紹介します。この設計の基本原理は、デバイスの電源をツェナー ダイオード経由で電源バス (Vcm) からフローティングにすることで、単方向回路を使用して Vcm = 400V のシステムを監視するというものです。このクックブックは、「高電圧 12V - 400V DC 電流センスのリファレンス デザイン」に基づいています。

デザイン ノート

  1. 電流センス アンプの概要」ビデオ シリーズでは、電流センス アンプを使用するための実装、誤差要因、高度なトピックについて紹介しています。
  2. この例は、高 VCM、ハイサイド、単方向の DC センシング用です。
  3. 誤差を最小にするため、設計が許す限りシャント電圧を高くします。INA138 デバイスの場合、Vsense >> 15mV を保ちます。
  4. シャント電圧が小さいほど、入力オフセットによる相対誤差が増大するため、オフセット電圧の低い電流センス アンプを使用します。Rshunt は誤差の主な原因なので、Rshunt には高精度の抵抗が必要です。
  5. INA138 は電流出力デバイスであるため、高耐圧のバイポーラ接合トランジスタ (BJT) を使ってグランド基準の電圧を得ます。
    • Q1 用に選択したトランジスタが、コレクタとエミッタとの間に加わる最大電圧に耐えられることを確認します (たとえば 400V が必要なら、マージンを考えて 450V 超のものを選択します)。
    • 複数の BJT をスタックし、直列にバイアスして、高電圧を得ることもできます。
    • このトランジスタのβ値が高いと、ベースからリークする電流によるゲイン誤差が減少します。

設計手順

  1. 動作負荷電流を決定し、Rshunt を計算します。
    • 推奨される Vsense は 100mV、最大推奨値は 500mV なので、次の式を使用して Rshunt を計算できます。ここで Vsense ≦ 500mV です。
    • 動作温度範囲全体にわたって、より正確で高精度の測定を行うため、一部のシステムではシャント抵抗を内蔵した電流モニタを使用できます。
  2. INA138 の電源に適切な電圧降下を生成するためのツェナー ダイオードを選択します。
    • ダイオードのツェナー電圧は、INA138 の電源電圧範囲である 2.7V~36V 内で、必要な最大出力電圧より大きい必要があります。
    • ツェナー ダイオードの電圧により INA138 の電源がレギュレートされ、過渡事象からの保護が行われます。
    • データシートのパラメータは、12V の Vin+ から GND ピンに対して定義されているため、12V のツェナーを選択します。
  3. ツェナー ダイオードの直列抵抗を決定します。
    • この抵抗 (R3) は、電圧降下 (この場合は最大 388V) のため、電力の大部分を消費します。R3 が小さすぎると多くの電力を消費しますが、大きすぎるとツェナー ダイオードが正しくアバランシェ降伏しません。データシートでは、VS = 5V について IQ が規定されているため、VS = 12V での INA138 デバイスの最大静止電流が 108µA であると仮定し、ツェナー ダイオードのバイアス電流 5mA を使用して、次に示すように R3 を計算します。
    • この抵抗の消費電力は、次の式を使用して計算されます。
  4. INA138 データシートの出力電流の式を使用して、Rout を計算します。
    • このシステムは、Vsense = 100mV であれば、Vout = 1V で 10V/V ゲインが得られるよう設計されています。

設計シミュレーション

DC シミュレーション結果

次のグラフは、0.5A~10A の負荷電流、12V ≦ Vcm ≦ 400V に対する線形出力応答を表しています。Iout と Vout は、ツェナー ダイオードが逆バイアスされると、Vcm が変化しても一定に保たれます。

定常状態のシミュレーション結果

次の図は、2A の負荷電流でシステムの DC 定常状態を示したものです。出力電圧は、Rshunt の両端で測定される電圧の 10 倍です。

設計の参照資料

テキサス・インスツルメンツ、SPICE SGLC001 シミュレーション ファイル、SBOA295 ソフトウェア サポート

テキサス・インスツルメンツ、『電流センス・アンプ』、Precison lab ビデオ シリーズ

テキサス・インスツルメンツ、『電流出力電流シャント モニタの同相電圧範囲の拡張』、アプリケーション ブリーフ

テキサス・インスツルメンツ、『高電圧 12V~400V DC 電流センスのリファレンス デザイン』、TIDA-00332 ツール

テキサス・インスツルメンツ、SBOA295 用のソース ファイル、デザイン ツールサポート ソフトウェア

テキサス・インスツルメンツ、「電流センス アンプ」、製品ページ

電流シャント モニタに使用されている設計

INA138
Vss 2.7V~36V
Vin cm 2.7V~36V
Vout 最大 (V+) -0.8V
Vos ±0.2mV~±1mV
Iq 25µA~45µA
Ib 2µA
UGBW 800 kHz
チャネル数 1
INA138

電流シャント モニタの代替設計

INA168
Vss 2.7V~60V
Vin cm 2.7V~60V
Vout 最大 (V+) -0.8V
Vos ±0.2mV~±1mV
Iq 25µA~45µA
Ib 2µA
UGBW 800 kHz
チャネル数 1
INA168