設計目標

設計の説明

この回路は、高精度の低レベル電流 I_L を負荷 R_L に供給します。この設計は 5V 単一電源で動作し、1 つの高精度、低ドリフトのオペアンプと、1 つの計装アンプを使用します。簡単な変更を加えることで、電圧 / 電流 (V-I) コンバータの範囲と精度を変更できます。

デザイン ノート

1. 電圧範囲は主に、オペアンプの線形出力スイング (データシートの A_OL テスト条件を参照) と計装アンプの線形出力スイングに支配されます。詳細については、アナログ技術者向けカリキュレータを参照してください。
2. 電圧範囲は、R_LMin、R_LMax、R_set とともに、I_L の範囲に影響します。
3. オペアンプと計装アンプの入力同相電圧範囲をチェックしてください。
4. 安定した動作のため、安定性解析を行って、R₄ と C₁ を選択する必要があります。
5. R₄ と C₁ を選択するためのループの安定性解析は、設計ごとに異なります。ここで示す補償は、この設計に使用される抵抗性の負荷範囲に対してのみ有効です。他の種類の負荷の場合、オペアンプ、計装アンプ、またはこれらの両方には、異なる補償設計が必要です。オペアンプの安定性に関する他の資料については、「設計の参照資料」セクションを参照してください。

設計手順

1. 電圧範囲に基づいて R_set を選択し、I_LMin をチェックします。
   ${\mathrm{I}}_{\mathrm{LMax}}=\frac{{\mathrm{V}}_{\mathrm{oOPAMax}}}{{\mathrm{R}}_{\mathrm{set}}+{\mathrm{R}}_{\mathrm{LMax}}}$
   $\text{10}\mathrm{\mu A}=\frac{\text{4.9}\mathrm{V}}{{\mathrm{R}}_{\mathrm{set}}+\text{390}\mathrm{k\Omega }}\to {\mathrm{R}}_{\mathrm{set}}=\text{100}\mathrm{k\Omega }$
   ${\mathrm{I}}_{\mathrm{LMin}}=\frac{{\mathrm{V}}_{\mathrm{oOPAMin}}}{{\mathrm{R}}_{\mathrm{set}}+{\mathrm{R}}_{\mathrm{LMin}}}$
   ${\mathrm{I}}_{\mathrm{LMin}}=\frac{\text{0.1}\mathrm{V}}{\text{100}\mathrm{k\Omega }+\text{0}\mathrm{\Omega }}=\text{1}\mathrm{\mu A}$
   
2. 計装アンプのゲイン G を計算します。
   ${\mathrm{V}}_{\mathrm{setMin}}={\mathrm{I}}_{\mathrm{LMin}}\times {\mathrm{R}}_{\mathrm{set}}=\text{1}\mathrm{\mu A}\times \text{100}\mathrm{k\Omega }=\text{0.1}\mathrm{V}$
   ${\mathrm{V}}_{\mathrm{setMax}}={\mathrm{I}}_{\mathrm{LMax}}\times {\mathrm{R}}_{\mathrm{set}}=\text{10}\mathrm{\mu A}\times \text{100}\mathrm{k\Omega }=\text{1}\mathrm{V}$
   $\mathrm{G}=\frac{{\mathrm{V}}_{\mathrm{iMax}}-{\mathrm{V}}_{\mathrm{iMin}}}{{\mathrm{V}}_{\mathrm{setMax}}-{\mathrm{V}}_{\mathrm{setMin}}}$
   $\mathrm{G}=\frac{\text{4.9}\mathrm{V}-\text{0.49}\mathrm{V}}{\text{1}\mathrm{V}-\text{0.1}\mathrm{V}}=4.9$
3. INA326 計装アンプのゲイン G に応じて R₁ を選択します。データシートの推奨 R₂ = 200kΩ および C₂ = 510pF を使用します。
   $\mathrm{G}=2\times \left(\frac{{\mathrm{R}}_2}{{\mathrm{R}}_1}\right)$
   ${\mathrm{R}}_1=\frac{2\times {\mathrm{R}}_2}{\mathrm{G}}$
   ${\mathrm{R}}_1=\left(\frac{2\times \text{200}\mathrm{k\Omega }}{4.9}\right)=\text{81.6327}\mathrm{k\Omega }\approx \text{81.6}\mathrm{k\Omega }$
4. 回路の最終的な伝達関数は次の式で示されます。
   ${\mathrm{I}}_{\mathrm{L}}=\frac{{\mathrm{V}}_{\mathrm{i}}}{\mathrm{G}\times {\mathrm{R}}_{\mathrm{set}}}$
   ${\mathrm{I}}_{\mathrm{L}}=\frac{{\mathrm{V}}_{\mathrm{i}}}{4.9\times \text{100}\mathrm{k\Omega }}=\frac{{\mathrm{V}}_{\mathrm{i}}}{\text{490}\mathrm{k\Omega }}$
   ${\mathrm{V}}_{\mathrm{i}}=\text{0.49}\mathrm{V}\to {\mathrm{I}}_{\mathrm{L}}=\text{1}\mathrm{\mu A}$
   ${\mathrm{V}}_{\mathrm{i}}=\text{4.9}\mathrm{V}\to {\mathrm{I}}_{\mathrm{L}}=\text{10}\mathrm{\mu A}$

設計シミュレーション

DC シミュレーション結果

設計の参照資料

テキサス・インスツルメンツ、SBOMAT8 TINA-TI™ 回路シミュレーション、ファイル ダウンロード

テキサス・インスツルメンツ、0V～5V 入力、0µA～5µA 出力の低レベル V-I コンバータのリファレンス デザイン、製品ページ

テキサス・インスツルメンツ、オペアンプの安定性の問題の解決方法、E2E^TM アンプ フォーラム

設計に使用されているオペアンプ

設計に使用されている計装アンプ