JAJA651A September   2018  – June 2024 ADS7945 , ISO224 , REF5050

 

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  3.   商標

ISO224 入力電圧 ISO 出力、ADC 入力 (VOUTP - VOUTN) デジタル出力 ADS7945
+12V +4V 1999H
-12V -4V E666H
電源および基準電圧
VDD1 VDD2 および AVDD REF5050 の外部基準電圧
15V 5V 5V

設計の説明

この回路は、ISO224 絶縁アンプと ADS745 SAR ADC を活用して ±12V の絶縁電圧センシングを行います。ISO224 は ±12V の真の差動信号を ⅓V/V の固定ゲインで測定し、VDD2/2 の出力同相電圧で絶縁差動出力電圧を生成できます。ADS7945 は、フルスケール入力電圧が ±VREF、同相入力電圧が VREF/2±200mV の完全差動入力 ADC です。+5V の基準電圧を選択すると、ADS7945 は ISO224 からのフルスケールおよび同相出力に対応できます。ISO224 の出力を完全差動入力 ADC でキャプチャすると、シングルエンド変換と比べてシステムのダイナミック レンジは 2 倍になります。保護リレーチャネル間絶縁された ±10V アナログ入力カードインバータとモーター制御など多くの産業用高電圧アプリケーションに適用できます。本書の「部品選定」の式と説明は、各システムの仕様や要求に応じてカスタマイズできます。

仕様

仕様 計算結果 シミュレーション結果
100kSPS での ADC 過渡入力電圧セトリング 305µV 11µV
コンディショニングされた信号の範囲 ±4V ±4V
入力でのノイズ 1.9mVRMS 1.73mVRMS
閉ループ帯域幅 175kHz 185kHz

デザイン ノート

  1. 低消費電力であること、アナログ入力構造が ISO224 と互換であることから、ADS7945 を選択しました。
  2. システムが、目的の入力信号範囲について線形動作することを確認します。これは、「DC 伝達特性」セクションで、シミュレーションにより検証しています。
  3. 歪みを最小限に抑えるため、CFILT には C0G コンデンサを選択します。
  4. Understanding and Calibrating the Offset and Gain for ADC Systems』で、誤差解析の方法を説明しています。ゲイン、オフセット、ドリフト、およびノイズの誤差を最小限に抑える方法については、リンク先をご覧ください。
  5. TI プレシジョン ラボ - ADC トレーニング ビデオ シリーズでは、電荷バケツ回路の RFILT と CFILT を選択する方法について解説しています。これらの部品の値はアンプの帯域幅、データ コンバータのサンプリング レート、データ コンバータの設計に依存します。ここに示す値は、この例のアンプとデータ コンバータで適切なセトリングとAC性能を実現します。設計を変更する場合は、別のRCフィルタを選定する必要があります。最高水準のセトリングと AC 性能を実現する RC フィルタの選定方法については、『Introduction to SAR ADC Front-End Component Selection』を参照してください。

部品選定

  1. 入力電圧範囲に基づいて絶縁アンプを選択し、出力同相電圧および出力電圧の範囲を決定します。

    ISO224

    • ±12V のシングルエンド入力範囲
    • ⅓ の固定ゲインによる ±4V の差動出力
    • +2.5V の出力同相電圧
    • ハイサイド電源 4.5V~18V、ローサイド電源 4.5V~5.5V
    • 入力オフセット:25℃で ±5mV、±42µV/℃ (最大値)
    • ゲイン誤差:25℃で ±0.3%、±50ppm/℃ (最大値)
    • 非線形性:±0.01%、±1ppm/℃ (最大値)
    • 1.25MΩ の高い入力インピーダンス

  2. ISO224 の +2.5V の同相および ±4V の差動出力と組み合わせるため、適切な同相および差動入力範囲の ADC を選択します。

    ADS7945

    • ±5V の最大アナログ入力範囲
    • フルスケール入力範囲は ± 基準電圧で設定
    • 入力同相範囲は VREF/2±0.2V
    • 2.7V~5.25V の電源
    • 84dB の高 SNR、2Msps で 11.6mW の低消費電力

  3. ISO224 の同相出力 2.5V と、ADS7945 の同相入力電圧 VREF/2±0.2V により設定される同相制限をサポートできる基準電圧を選択します。これは、基準出力電圧が 5V、低ノイズである必要があり、入力電圧は構成可能が望ましいことを意味します。

    REF5050

    • 5V 出力
    • 5.2V~18V の入力電圧の電源
    • 3μVPP/V のノイズ

  4. 入力信号のセトリングと 100ksps のサンプル レートに合わせて R1FILT、R2FILT、CFILT を選択します。

    TI Precision Labs のビデオ『Refine the RFILT and CFILT Values』では、RFILT とCFILT の選定方法を説明しています。最終的に、120Ω と 510pF という値で、アクイジション時間内に最下位ビット (LSB) の 1/2 を優に下回るまでセトリングできることが分かりました。

DC 伝達特性

次のグラフは、±15V の入力に対する出力のシミュレーション結果を示しています。目標の線形範囲は、±12V 入力に対して ±4V の出力です。このシミュレーションは、線形出力範囲が要件を十分上回る約 ±4.6V であることを示しています。

この伝達関数は、ISO224 のゲインが ⅓ であること (すなわち、ゲイン VIN = VOUT、(⅓)·(12V) = 4V) を示しています。

AC 伝達特性

シミュレートされた帯域幅は約 186kHz、ゲインは -9.57dB (または 0.332V/V) であり、これは、ISO224 のゲインと帯域幅の期待値 (仕様値:fc = 175kHz、ゲイン = 0.333V/V) とほぼ一致しています。

ADC 過渡入力電圧セトリング シミュレーション

以下に、アクイジション時間が 9.6μs のときの過渡セトリングのシミュレーション結果を示します。11μV のセトリング誤差は、0.5 × LSB の制限である 305μV を十分に下回っています。この件の詳しい理論については、『Refine the Rfilt and Cfilt Values』を参照してください。

ノイズ シミュレーション

以下のノイズの計算では、ISO224 のノイズのみに着目しています。ISO224 のノイズは、回路内のその他のノイズ源よりもはるかに大きいため、総ノイズは ISO224 のノイズに等しいと近似できます。B グレードについても同じ方法を使用できます。

ノイズのシミュレーション結果は、計算された期待値を上回っています。この差は、シミュレーション モデルでのノイズのピーキングが原因です。ノイズのピーキングは計算に含まれていません。この件の詳しい理論については、『Calculating the Total Noise for ADC Systems』を参照してください。

使用デバイス

デバイス 主な特長 リンク 類似デバイス
ISO224 ±12V のシングルエンド入力範囲、⅓ の固定ゲイン、±4V の差動出力を生成、出力同相電圧 +2.5V、ハイサイド電源 4.5V~18V、ローサイド電源 4.5V~5.5V、入力オフセット:25℃で ±5mV、最大値 ±42µV/℃、ゲイン誤差:25℃で ±0.3%、最大値 ±50ppm/℃、非直線性:最大値 ±0.01%、±1ppm/℃、1.25MΩ の高入力インピーダンス www.ti.com/product/ISO224 www.ti.com/isoamps
ADS7945

±5V の最大アナログ入力範囲、フルスケール入力スパンは ± 基準電圧で設定、入力同相範囲は VREF/2±0.2V、電源 2.7V~5.25V、84dB の高い SNR、2Msps で 11.6mW の低消費電力

www.ti.com/product/ADS7945 http://www.ti.com/opamps
REF5050 ドリフト:3ppm/℃、初期精度:0.05%、ノイズ:4µVpp/V www.ti.com/product/REF5050 http://www.ti.com/vref

設計の参照資料

テキサス・インスツルメンツの総合的な回路ライブラリについては、『アナログ エンジニア向け回路クックブック』を参照してください。

主要なファイルへのリンク

絶縁設計の TINA ファイルを参照してください。