JAJA760 August 2022 TPS61094
MPPT 機能を実現し、システム・テスト時間を短縮します。このシステムでは自動降圧モードまたは自動昇圧モードが使用されています。テスト・ボードでは、より小型のスーパーキャパシタを使用しています。このテストにおける設定を 表 3-1 に示します。
パラメータ | 値 |
---|---|
ソーラー・パネル | 5.5V、100mW |
スーパーキャパシタ | 3F、2.7V |
目標電圧 | 4.8V |
充電電流 | 150mA |
充電電圧 | 2.7V |
このシステムの実現には、ソーラーパネルから大きな電流を取り出すと、その電圧が低下するという特性が主に利用されています。TPS61094 の自動昇降圧仕様との組み合わせでは、目標電圧は 4.8V、充電電流は 150mA であり、これは Impp を上回っています。太陽電池の特性により TPS61094 は異なるモードをすばやく切り替えることができます。その結果、出力電圧は目標電圧付近で変動します。また、出力電圧は照射光や負荷に関係なく安定しています。このソリューションは、バッテリ充電だけでなく後段電源の MPPT も実現します。システムの主な動作モードを 図 3-5 に示します。
TPS61094 は最初に降圧モードで動作します。SUP ピンに大きな負荷過渡が生じており、ソーラー・パネルではそれを抑えることできないため、出力電圧は出力目標電圧 (OSEL ピン設定) よりも低くなります。TPS61094 は降圧モードから補完モードに切り替わります。ソーラー・パネルと SUP 電源はともに負荷に電力を供給します。
補完状態では SUP が充電されないため入力電圧が上昇します。また、出力電圧は出力目標電圧 +100mV を上回ります。これは、ソーラー・パネルが出力負荷をサポートできることを意味し、TPS61094 は補完モードから降圧モードに移行します。
システムの波形を 図 3-4 に示します。黄色の線はソーラー・パネルの端子電圧を示し 4.8V 付近に維持されています。紫色の線は出力電圧を示しています。25Hz のスイッチング・リップルをフィルタして除去するため、出力とグランドとの間に 47μF の電解コンデンサを追加します。緑色の線はインダクタの電流を示します。TPS61094 は電流が正のとき降圧モード、電流が負のときは補完モードです。この結果から、本ソリューションは MPPT を良好に実現できることが分かります。