JAJA762 October 2023 MSPM0G3507-Q1 , MSPM0L1306-Q1
自動車メーカーは毎年、安全性、コスト、使いやすさを改善をするために、多くの新しいテクノロジーを設計に統合しています。現代の車両は、極度に過酷な環境に耐えることができる、高精度で高性能のマイクロコントローラを多数使用しています。ここ数年市場の需要が高まっていることから、ヒューマン・マシン・インターフェイス、ウィンドウとミラーの制御、トランク・オープナーなどの車載アクセサリにおいて、顧客の体験を向上する必要があることが明らかになっています。これらのアプリケーションは、それぞれの電子制御ユニット (ECU) を制御するデバイスを使用して、リアルタイム・データを処理し、連携動作するユニット間の長距離バス・ラインを介してメッセージを通信します。
テキサス・インスツルメンツ MSPM0 Arm® Cortex®-based M0+ マイクロコントローラ (MCU) には、ボディ・エレクトロニクス・アプリケーション用のシステム要件を満たすように設計された車載認証済み (AEC-Q100) MCU が搭載されています。これらの MCU は、小型パッケージ、使いやすい標準化ソフトウェア、高性能で低消費電力のペリフェラル、フル・スペクトルのピン互換スケーラビリティを、低コストで実現しています。
ボディ・エレクトロニクス制御は、車両の主要な ECU の一部であり、車両に搭載されているさまざまなインターフェイス用の制御メカニズムで構成されています。これらのメカニズムの例として、トランク・オープナー、電子シフタ、ウィンドウ、サイド・ミラーの制御モジュールなどが挙げられます。これらのシステムは、車体に関連するリアルタイムの電子操作を管理および制御するので、現代の車両には不可欠です。これらの設計は、システムの機能と安全性を適切に活用するために、車両内の他のサブシステムと共に計算を行う小型の低消費電力集積回路 (IC) を使用します。
ボディ・エレクトロニクスの設計には、以下のような一般的な部品が含まれます。
車載認証済み MSPM0 MCU がボディ・エレクトロニクスの設計にどのような利点をもたらすかをより深く理解するために、現代の車両における一般的なアプリケーションをいくつか紹介します。
デュアル・ウィンドウ・コントロール・ユニットは、現代のほとんどの車両に一般的に搭載されており、ウィンドウを容易に昇降させることができるように、ウィンドウへの電源供給を管理します。ユーザーは通常、ドア・パネルに配置されたスイッチを使ってウィンドウ制御モジュールにアクセスします。
サイド・ミラー・モジュールは、サイド・ミラーの位置調整や格納など、サイド・ミラーのさまざまな機能を制御する電子ユニットです。サイド・ミラー・モジュールは、自動車のボディ制御モジュールに接続されています。ユーザーは通常、運転席付近にある制御スイッチを使用してサイド・ミラーにアクセスします。
これらのアプリケーションで使用する MCU の主な機能要件:
これらの設計では、PCB 上のすべてのインターフェイス部品において、MSPM0 MCU はメイン・コントローラおよびプロセッサとして重要な役割を果たします。アクティブ・モードでの消費電力は、室温で 96μA/MHz です。スタンバイ・モードでは、わずか 1μA の動作電流しか消費しません。ユーザーがスイッチをアクティブにするまで、MCU は低電流のスリープ・モードになります。この低消費電力モードでは、ADC、コンパレータ、RTC、ウォッチドッグ・タイマなどの複数のモジュールが同時に動作できるため、全体的な消費電力が低減されます。
指示を受け取ると、MCU は SPI または PWM を介して制御信号をモーター・ドライバに送信します。このシリアル通信手順では、MCU はホストとして動作します。MCU はドライバの内部レジスタを構成し、ステータスを読み取り、ミラーとウィンドウの動きを駆動するのに必要な PWM 周波数を設定できます。MSPM0G350x には、PWM 出力に使用できる 3 種類のタイマが搭載されています。16 ビット分解能の汎用タイマ、16 ビットの高度制御タイマ、および 32 ビットの高分解能タイマです。これらのタイマは、同じ電力ドメイン内での同期とクロス・トリガ接続もサポートします。
MCU は、モーターを流れる電流を監視するために、モーター・ドライバからアナログ入力を受信することもできます。12 ビット ADC を使用して最大 4MSPS のサンプル・レートでモーターを流れる電流を効率的に測定できるので、MCU でドライバの電流制御設定をリアルタイムで調整できます。
また、MSPM0 ポートフォリオには、最小 5 x 5mm2 のパッケージに高速 CAN FD が統合されています。このペリフェラルにより、CAN トランシーバを介して、ボディ・コントロール・ユニット間のシリアル通信が行われるメイン・バスに迅速かつ安定してアクセスできます。
スマート・トランク・オープナーの電気制御ユニットは、近接センサからの入力を受信し、トランクの開閉を制御するために必要な出力を送信します。このシステムによって、ユーザーは自動車に物理的に触れることなくトランクを安全に簡単に操作できます。
これらのアプリケーションで使用する MCU の主な機能要件:
前述の設計と同様に、MCU はホストとして機能し、近接センサからフロント・エンドのアナログ読み取り値を受信し、情報パケットを LIN バスに送信してドアのロック解除をトリガします。この設計実装の簡単なフローチャート例を以下に示します。
左上のスタート状態 (デバイスを起動した後の初期状態) から開始します。MSPM0 はスリープ・モードで起動し、CPU はオフ状態で割り込みトリガを待機します。この低消費電力の待機状態では、ウォッチドッグ・タイマがアクティブになり、フォルトの有無をチェックし、次のシステム更新のための時間を記録するリアルタイム・クロックと並行して動作します。しばらくすると、近接センサが信号を検出します。この信号は MSPM0 のレジスタ付きコンパレータ・ピンに供給されます。センサ信号電圧が構成されたリファレンス電圧より高い場合、出力は High になり、MSPM0 はスリープ・モードから最短 10μs でウェークアップします。これで CPU がアクティブになります。その後 ADC がアナログ・センサ・データを取り込み、デジタルに変換します。このデータは、整合性を検証するため、巡回冗長検査 (CRC) モジュールを使用して確認されます。その後、データは CPU によって分析され、トランクの望ましい動作に基づいてアルゴリズムが適用されます。たとえば、システムの観点からは、トランクを異なる高さで開くことができる場合や、トランク・ドアの動作経路を塞いでいる物体があるかどうかを確認するためにセンサを起動できる場合があります。この命令の後、データは将来の参照用にメモリに保存されます。これと並行して、LIN のメッセージが準備され、最終的に LIN バスを介してボディ制御モジュールに送信されます。
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