JAJA789 September 2020 AMC3302
オンボード チャージャ、ソーラー インバータ、DC 充電 (バッテリ) ステーション、電力変換システム、モーター ドライブなど、産業用および車載用のいくつかの用途では、測定を実行する高電圧回路からデジタル回路を保護するために絶縁を必要とします。これらの用途向けの絶縁型電流検出を実現する方法として、絶縁型のシャント方式の検出と磁気 (ホールまたはフラックスゲート) 方式の検出の 2 つがあります。この資料では、単一電源の絶縁型アンプであるテキサス・インスツルメンツの AMC3302 と一般的な閉ループ電流センサ (CLCS) との比較を示します。
想定される抵抗の変動はゲイン誤差に直接影響するため、供給される電流に対して期待される電圧を生成するには、シャント抵抗に非常に高い精度が求められます。シャント方式の電流検出の利点は、業界をリードする精度、磁気干渉に対する耐性、拡張性、小型サイズを実現できることです。
2 つのテクノロジーの比較について詳しくは、こちらをご覧ください。
AMC3302 の回路の測定に使用した 500µΩ のシャント 1 と制御の測定に使用した 500µΩ のシャント 2 は周囲温度の変化の影響を受けていないことに注意してください。そのため、この分析にはシャントの温度ドリフトの誤差は含まれていません。どちらのシャントも、許容誤差 ±0.25%、温度係数 ±15ppm/℃、消費電力 20W を定格としています。
以下の回路図は、精度の比較に使用した AMC3302 と TLV6002 の回路を示したものです。TLV6002 のチャネル 1 を使用して、分圧抵抗経由で生成されるリファレンス電圧をバッファし、AMC3302 の差動出力をチャネル 2 経由で差動からシングルエンドに変換しました。そのため、AMC3302 の回路は CLCS と同じ VDD、GND、VREF、VOUT のインターフェイスを備えています。
AMC3302 のプリント基板 (PCB) を以下に示します。AMC3302 の回路の PCB は、x と y が CLCS と同じ 13.4mm × 21.9mm のフットプリントに収まるように設計されています。AMC3302 の PCB の高さは 2.6mm で、CLCS の 16mm と比較して 84% 小さくなっています。
図 6. は、全温度範囲にわたる ±85A の 1 次側電流掃引の精度の結果について、その誤差を 25℃ のオフセット較正後のフルスケールの出力に対するパーセンテージとして示したものです。AMC3302 の回路の結果を赤、CLCS の結果を青で示してあります。AMC3302 の回路は、電流および温度の全範囲にわたってゲイン較正なしで 0.1% 以内と非常に正確です。CLCS は、AMC3302 の回路に比べてゲイン誤差ドリフトと直線性性能が悪く、全体の誤差が 0.5% を上回っています。AMC3302 の回路は、電流および温度の全範囲にわたって、CLCS に比べて 5 倍以上の精度向上を実現しています。
絶対最大誤差の精度の比較を次の表に示します。
温度 |
-40C |
25C |
85C |
---|---|---|---|
AMC3302 回路 |
-0.077% |
-0.029% |
0.035% |
CLCS |
-0.356% |
-0.492% |
-0.573% |
以下の表は、AMC3302 の回路と CLCS の比較をまとめたものです。業界をリードする精度という点では、AMC3302 の回路の方が CLCS よりも明らかに優れています。サイズについても、この比較で使用した AMC3302 の回路は x と y の寸法は同じですが、高さ z の点で明らかな利点があります。AMC3302 の回路は、磁気干渉に対する耐性と拡張性にも優れています。
AMC3302 回路 |
CLCS |
|
---|---|---|
精度 |
++ |
+ |
サイズ |
+ |
- |
磁気耐性 |
++ |
-- |
スケーラビリティ |
++ |
- |
設計しやすさ |
+ |
++ |