車載アプリケーション用には、各種のLEDインジケータが存在します。ハイブリッド計器クラスタやEシフタなど一部のアプリケーションには安全性要件が存在し、LEDフォルト診断機能が必須です。HVACパネルなど他のアプリケーションにはLEDのオン-オフ制御しか存在しないため、LED診断機能は必要ありません。両方のアプリケーションに対応するため、TLC6C5816-Q1デバイスには柔軟なLED診断機能が実装されています。レジスタへの書き込みにより、出力チャネルをLED診断機能あり、またはなしのどちらにも構成できます。
TLC6C5816-Q1デバイスは16ビット・シフト・レジスタのLEDドライバで、車載用LEDアプリケーションをサポートするよう設計されています。LEDの開放および短絡の診断機構が搭載されており、安全性保護が強化されています。このデバイスには、パワーDMOSトランジスタ出力を持つ16のチャネルが内蔵されています。チャネルのうち8つは、対応するレジスタを構成することで、LEDフォルト診断をサポートします。このデバイスは診断機能なしで16チャネル、または診断機能ありで8チャネルを駆動できます。LED診断を実行するには、診断チャネルのDIAGnをDRAINnに接続する必要があります。コマンド・エラー・フォルトが発生した場合、チャネルがLED診断用に構成されているにもかかわらず、同時にレジスタ書き込みコマンドによってそのチャネルがオンになったことを意味します。デバイスには巡回冗長性検査(CRC)機能があり、シフト・レジスタのレジスタ値を検証できます。読み戻しモードでは、デバイスは6ビットのCRC剰余を返します。MCUはCRC剰余を読み戻して、剰余が正しいかどうかをチェックすることで、MCUとデバイスとの間の通信ループが良好かどうかを判定できます。
型番 | パッケージ | 本体サイズ(公称) |
---|---|---|
TLC6C5816-Q1 | HTSSOP (28) | 9.70mm×4.40mm |
ピン | I/O | 説明 | |
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名前 | 番号 | ||
CLR | 13 | I | シフト・レジスタのクリア、アクティブLOW。CLRがLOWレベルになると、デバイスのすべてのストレージ・レジスタがクリアされ、シフト・レジスタは通常動作します。CLRがHIGHレベルになると、ストレージ・レジスタとシフト・レジスタの両方が通常動作します。 |
DRAIN0 | 4 | O | チャネル0オープン・ドレイン出力 |
DRAIN1/DIAG0 | 5 | I/O | チャネル1オープン・ドレイン出力または診断入力0 |
DRAIN2 | 6 | O | チャネル2オープン・ドレイン出力 |
DRAIN3/DIAG2 | 7 | I/O | チャネル3オープン・ドレイン出力または診断入力2 |
DRAIN4 | 8 | O | チャネル4オープン・ドレイン出力 |
DRAIN5/DIAG4 | 9 | I/O | チャネル5オープン・ドレイン出力または診断入力4 |
DRAIN6 | 10 | O | チャネル6オープン・ドレイン出力 |
DRAIN7/DIAG6 | 11 | I/O | チャネル7オープン・ドレイン出力または診断入力6 |
DRAIN8 | 18 | O | チャネル8オープン・ドレイン出力 |
DRAIN9/DIAG8 | 19 | I/O | チャネル9オープン・ドレイン出力または診断入力8 |
DRAIN10 | 20 | O | チャネル10オープン・ドレイン出力 |
DRAIN11/DIAG10 | 21 | I/O | チャネル11オープン・ドレイン出力または診断入力10 |
DRAIN12 | 22 | O | チャネル12オープン・ドレイン出力 |
DRAIN13/DIAG12 | 23 | I/O | チャネル13オープン・ドレイン出力または診断入力12 |
DRAIN14 | 24 | O | チャネル14オープン・ドレイン出力 |
DRAIN15/DIAG14 | 25 | I/O | チャネル15オープン・ドレイン出力または診断入力14 |
EN | 14 | I | デバイス・イネーブル、アクティブLOW。ENがHIGHレベルになると、デバイスがシャットダウンされ、すべてのレジスタがリセットして、デバイスはスタンバイ・モードに移行します。ENがLOWレベルになると、デバイスがイネーブルされ、すべての機能が通常動作します。 |
ERR | 27 | O | オープン・ドレインのエラー・フィードバック |
G1 | 2 | I | チャネル・イネーブル、DRAIN0–DRAIN7出力を制御、アクティブLOW |
G2 | 3 | I | チャネル・イネーブル、DRAIN8–DRAIN15出力を制御、アクティブLOW |
NC | 26 | NC | 内部接続なし |
RCK | 16 | I | シリアル・データ・ラッチ。各シフト・レジスタのデータは、RCKの立ち上がりエッジでストレージ・レジスタへ転送されます。一方、ステータス・ビットはシフト・レジスタへロードされます。 |
SER IN | 12 | I | シリアル・データ入力。SER INのデータは、SRCKの立ち上がりエッジごとに、シフト・レジスタへロードされます。 |
SER OUT | 15 | O | シリアル・データ出力。このピンの目的は、シリアル・バスに複数のデバイスをカスケード接続することです。 |
SRCK | 17 | I | シリアル・クロック入力。SRCKの各立ち上がりエッジごとに、データがSER INから内部のシリアル・シフト・レジスタへ転送されます。 |
VCC | 1 | P | デバイスの電源ピン。このピンの近くに0.1µFのセラミック・コンデンサを追加します。 |
GND | 28 | G | 電力グランドで、デバイスのグランド・リファレンス・ピンです。このピンは、PCBのグランド・プレーンに接続する必要があります。 |
放熱パッド | — | — | Polygon Pourに接続して放熱性能を最適化 |
最小 | MAX | UNIT | ||
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VCC | 電源電圧 | –0.3 | 6 | V |
VI | ロジック入力電圧、CLR、EN、G1、G2、RCK、SER IN、SRCK | –0.3 | 6 | V |
VO | ロジック出力電圧、SER OUT | –0.3 | VCC + 0.3 | V |
VDS | パワーDMOSのドレイン-ソース間電圧、DRAIN0–DRAIN15 | –0.3 | 45 | V |
VERR | エラー出力電圧、ERR | –0.3 | 6 | V |
IO | チャネル出力電流 | 50 | mA | |
Operating junction temperature, TJ | –40 | 150 | ℃ | |
保管温度、Tstg | –55 | 165 | ℃ |
値 | 単位 | ||||
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V(ESD) | Electrostatic discharge | Human-body model (HBM), per AEC Q100-002(1) | ±4000 | V | |
Charged-device model (CDM), per AEC Q100-011 | All pins | ±1000 |
最小 | MAX | UNIT | ||
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VCC | 電源電圧 | 3 | 5.5 | V |
VIH | Hiレベル入力電圧、CLR、EN、G1、G2、RCK、SER IN、SRCK | 2.4 | V | |
VIL | Loレベル入力電圧、CLR、EN、G1、G2、RCK、SER IN、SRCK | 0.7 | V | |
TA | 動作周囲温度 | –40 | 125 | °C |
熱特性(1) | TLC6C5816-Q1 | UNIT | ||
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PWP (HTSSOP) | ||||
28ピン | ||||
RθJA | 接合部から周囲温度への熱抵抗 | 44.4 | °C/W | |
RθJC(top) | 接合部からケース(上面)への熱抵抗 | 29.9 | °C/W | |
RθJB | 接合部から基板への熱抵抗 | 26.9 | °C/W | |
ψJT | 接合部から上面への特性パラメータ | 2 | °C/W | |
ψJB | 接合部から基板への特性パラメータ | 26.7 | °C/W | |
RθJC(bot) | 接合部からケース(底面)への熱抵抗 | 5.3 | ℃/W |
PARAMETER | TEST CONDITIONS | MIN | TYP | MAX | UNIT | ||
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V(POR-rising) | パワーオンリセット立ち上がりスレッショルド | 1.5 | 2.5 | V | |||
V(POR-falling) | パワーオンリセット立ち下がりスレッショルド | 1 | V | ||||
t(device-ready) | デバイス準備時間 | VCC>0.5V、EN=0 | 50 | µs | |||
ICC | Logic supply current | 全出力オフ、クロック信号なし、EN=0 | 60 | 120 | µA | ||
全出力オン、クロック信号なし、EN=0 | 210 | 300 | |||||
ICC(FRQ) | Logic supply current at frequency | fSRCK = 5 MHz, CL = 30 pF, all outputs on | 320 | 600 | µA | ||
I(Q) | 静止電流 | EN=1 | 1 | µA | |||
VOH | HIGHレベル出力電圧 SER OUT | IOH=-20µA | 4.9 | 4.99 | V | ||
IOH = –4 mA | 4.5 | 4.69 | |||||
VOL | LOWレベル出力電圧 SER OUT | IOH=-20µA | 0.001 | 0.01 | V | ||
IOH = –4 mA | 0.25 | 0.4 | |||||
IIH | High-level input current | VI=5V | 0.2 | µA | |||
IIL | Low-level input current | VI=0V | -0.2 | µA | |||
ID(SX) | Off-state drain current | VDS = 30 V | 0.01 | 0.1 | µA | ||
VDS=30V、TA=125℃ | 0.1 | 0.3 | |||||
rDS(on) | Static drain-source on-state resistance | VCC=5V、ID=20mA | TA=25℃、単一チャネルがオン | 5 | 6.2 | 8 | Ω |
VCC=3.3V、ID=20mA | TA=25℃、すべてのチャネルがオン | 6 | 7.3 | 9 | |||
TA=125℃、すべてのチャネルがオン | 9 | 11.6 | 13.5 | ||||
T(SHUTDOWN) | Thermal shutdown threshold | 175 | °C | ||||
T(HYS) | Thermal shutdown hysteresis | 15 | °C | ||||
V(OC_th) | LED開放検出スレッショルド | 4 | 4.3 | 4.5 | V | ||
Vhys(OC) | LED開放検出スレッショルドのヒステリシス | 60 | mV | ||||
V(SC_th) | LED短絡検出スレッショルド | 1 | 1.22 | 1.5 | V | ||
Vhys(SC) | LED短絡検出スレッショルドのヒステリシス | 60 | mV | ||||
V(ERR_PD) | ERRピンのオープン・ドレイン電圧降下 | IERR=4mA | 0.3 | V | |||
Ilkg(ERR) | ERRピンの漏れ電流 | VERR=5V | -1 | 1 | µA |
最小 | 標準 | 最大 | UNIT | ||
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fSRCK | シリアル・クロック周波数 | 10 | MHz | ||
tSRCK | シリアル・クロック幅 | 100 | ns | ||
tSRCKH | SRCKパルス幅、HIGH | 30 | ns | ||
tSRCKL | SRCKパルス幅、LOW | 30 | ns | ||
tsu | セットアップ時間、SRCK立ち上がり前のSER IN HIGH | 15 | ns | ||
th | ホールド時間、SRCK立ち上がり後のSER IN HIGH | 15 | ns | ||
tSER IN | SER INのパルス幅 | 40 | ns | ||
td | 最後のSRCK立ち上がりからRCK立ち上がりまで | 200 | ns |
パラメータ | MIN | TYP | MAX | UNIT | |
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tpd(deg_open) | LED開放からERRピンがプルダウンされるまでの時間 | 35 | µs | ||
tpd(deg_short) | LED短絡からERRピンがプルダウンされるまでの時間 | 35 | µs | ||
tpd(GOFF) | 伝搬遅延時間、Gx立ち上がりからの出力オフ(VOUT=10% LED電源電圧) | 250 | ns | ||
tpd(GON) | 伝搬遅延時間、Gx立ち下がりからの出力オン(VOUT=90% LED電源電圧) | 250 | ns | ||
tpd(ROFF) | 伝搬遅延時間、RCK立ち上がりからの出力オフ(VOUT=10% LED電源電圧) | 250 | ns | ||
tpd(RON) | 伝搬遅延時間、RCK立ち上がりからの出力オン(VOUT=90% LED電源電圧) | 250 | ns | ||
tr | 立ち上がり時間、ドレイン出力 | 100 | ns | ||
tf | 立ち下がり時間、ドレイン出力 | 100 | ns | ||
tpd(SIO) | 伝搬遅延時間、SRCK立ち下がりエッジからSEROUT変更まで | 35 | ns | ||
tr(o) | SEROUT立ち上がり時間(10%から90%へ) | 20 | ns | ||
tf(o) | SEROUT立ち下がり時間(90%から10%へ) | 20 | ns |
VCC=5V |
VCC=5V | 単一チャネルがオン |
VCC=5V | すべてのチャネルがオン |
VCC=3.3V | 単一チャネルがオン |
VCC=3.3V | すべてのチャネルがオン |
TLC6C5816-Q1は 16ビット・シフト・レジスタのLEDドライバで、車載LEDアプリケーションに対応するように設計されています。LEDの開放および短絡の診断機構が搭載されており、安全保護機能が強化されています。TLC6C5816-Q1には、パワーDMOSトランジスタ出力を備えた16のチャネルが内蔵されていますが、うち8つは構成レジスタの対応するDIAGnビットで構成することにより、LEDフォルト診断をサポートします。LED診断を実行するには、診断チャネルのDIAGnをDRAINnに接続する必要があります。コマンド・エラー・フォルトが発生した場合、チャネルがLED診断用に構成されているにもかかわらず、同時にレジスタ書き込みコマンドによってそのチャネルがオンになったことを意味します。TLC6C5816-Q1には巡回冗長性検査(CRC)機能があり、シフト・レジスタのレジスタ値を検証できます。読み戻しモードでは、6ビットのCRC剰余を返します。MCUはCRC剰余を読み戻して、剰余が正しいかどうかをチェックできます。これにより、MCUとTLC6C5816-Q1との間の通信ループが良好かどうかを確認できます。
TLC6C5816-Q1の機能について以下に述べます。Table 1にさまざまな条件におけるTLC6C5816-Q1の動作を示します。
構成レジスタ | ステータス・レジスタ | 出力0-7 | 出力8-15 | デバイス電流 | ||
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EN=HIGH | CLR=X | クリア | クリア | ハイ・インピーダンス | ハイ・インピーダンス | 低I(Q) |
EN=LOW | CLR=LOW | クリア | クリア | ハイ・インピーダンス | ハイ・インピーダンス | アクティブ電流 |
CLR=HIGH | インターフェイスにより設定 | フォルト検出により設定 | 構成およびG1レベルにより制御 | 構成およびG2レベルにより制御 | 動作電流 |
TLC6C5816-Q1は低I(Q)モードを備えています。ENがHIGHレベルになると、デバイスがシャットダウンされ、すべてのレジスタがリセットして、デバイスはスタンバイ・モードに移行します。ENがLOWレベルになると、デバイスがイネーブルされ、すべての機能が通常動作します。
TLC6C5816-Q1は、2つのアクティブLOW入力により、ゲート出力を制御します。G1はチャネルDRAIN0–DRAIN7のオン/オフを切り替え、G2はチャネルDRAIN8–DRAIN15のオン/オフを切り替えます。
TLC6C5816-Q1には、レジスタをクリアする便利な機能があります。CLR入力がLOWレベルになると、すべての内部レジスタとすべてのフォルト状態がクリアされます。CLRがHIGHレベルになると、デバイスは通常動作します。