JAJSEI9B October   2017  – January 2018 UCC28056

PRODUCTION DATA.  

  1. 特長
  2. アプリケーション
  3. 概要
    1.     スタンバイ消費電力
      1.      Device Images
        1.       アプリケーション概略図
  4. 改訂履歴
  5. 端子構成および機能
    1.     端子機能
  6. 仕様
    1. 6.1 絶対最大定格
    2. 6.2 ESD定格
    3. 6.3 推奨動作条件
    4. 6.4 熱特性
    5. 6.5 電気的特性
    6. 6.6 代表的特性
  7. 詳細説明
    1. 7.1 概要
    2. 7.2 機能ブロック図
    3. 7.3 機能説明
      1. 7.3.1 CrM/DCM制御原理
      2. 7.3.2 入力電圧フィードフォワード
        1. 7.3.2.1 ピーク入力電圧検出
      3. 7.3.3 バレー・スイッチングとCrM/DCMヒステリシス
        1. 7.3.3.1 バレー遅延調整
      4. 7.3.4 過渡応答高速化機能を備えたトランスコンダクタンス・アンプ
      5. 7.3.5 異常と保護
        1. 7.3.5.1 電源低電圧誤動作防止
        2. 7.3.5.2 2つの値の過電流保護
          1. 7.3.5.2.1 サイクル単位の電流制限Ocp1
          2. 7.3.5.2.2 Ocp2による重大過電流/CCM保護
        3. 7.3.5.3 出力過電圧保護
          1. 7.3.5.3.1 1次出力過電圧保護(Ovp1)
          2. 7.3.5.3.2 2次過電圧保護(Ovp2)
        4. 7.3.5.4 過熱保護動作
        5. 7.3.5.5 低入力電圧/ブラウンイン
      6. 7.3.6 大電流ドライバ
    4. 7.4 コントローラの機能モード
      1. 7.4.1 バースト・モード動作
      2. 7.4.2 ソフト・スタート
  8. アプリケーションと実装
    1. 8.1 アプリケーション情報
    2. 8.2 代表的なアプリケーション
      1. 8.2.1 設計要件
      2. 8.2.2 詳細な設計手順
        1. 8.2.2.1 WEBENCH®ツールによるカスタム設計
        2. 8.2.2.2 電力段設計
          1. 8.2.2.2.1 ブースト・インダクタ設計
          2. 8.2.2.2.2 ブースト・スイッチの選定
          3. 8.2.2.2.3 ブースト・ダイオードの選定
          4. 8.2.2.2.4 出力コンデンサの選定
        3. 8.2.2.3 ZCD/CS端子
          1. 8.2.2.3.1 ZCD/CS端子波形に生じる電圧スパイク
        4. 8.2.2.4 VOSNS端子
        5. 8.2.2.5 電圧ループ補償
          1. 8.2.2.5.1 プラント・モデル
          2. 8.2.2.5.2 補償設計
      3. 8.2.3 アプリケーション曲線
  9. 電源に関する推奨事項
  10. 10レイアウト
    1. 10.1 レイアウトのガイドライン
      1. 10.1.1 VOSNS端子
      2. 10.1.2 ZCD/CS端子
      3. 10.1.3 VCC端子
      4. 10.1.4 GND端子
      5. 10.1.5 DRV端子
      6. 10.1.6 COMP端子
    2. 10.2 レイアウト例
  11. 11デバイスおよびドキュメントのサポート
    1. 11.1 WEBENCH®ツールによるカスタム設計
    2. 11.2 ドキュメントの更新通知を受け取る方法
    3. 11.3 コミュニティ・リソース
    4. 11.4 商標
    5. 11.5 静電気放電に関する注意事項
    6. 11.6 Glossary
  12. 12メカニカル、パッケージ、および注文情報

ブースト・ダイオードの選定

ブースト・ダイオードは、スイッチがオフの間(TDCH)はブースト・インダクタ電流を伝導し、スイッチがオンの間(TON)はゼロ電流を伝導します。Equation 34はライン・ハーフサイクルで角度θ時の1スイッチング・サイクルでのRMSダイオード電流を計算します。

Equation 34. UCC28056 eq-34.gif

Equation 35 は理想的な遷移モード動作におけるブースト・ダイオード導通のデューティ・サイクルを表します。

Equation 35. UCC28056 eq-35.gif

Equation 36 は完全なライン・ハーフサイクルでのRMSブースト・ダイオード電流を表します。

Equation 36. UCC28056 eq-36.gif

ブースト・ダイオードの最大RMS電流は、最大負荷および最小入力時に発生します。

Equation 37. UCC28056 eq-37.gif

ブースト・ダイオードの導通電力損失は、主に平均出力電流の関数となります。

Equation 38. UCC28056 eq-38.gif

上記の計算と以下のガイドラインを参考にして、ブースト・ダイオードを選定します。

  • ブースト・ダイオードの定格電圧は最大出力電圧を上回るようにします。過渡/入力サージ試験では、出力電圧が通常のレギュレーション値をはるかに上回ることがあります。
  • ブースト・ダイオードの平均/RMS定格電流はEquation 37およびEquation 38で計算した数値を上回っていなければなりません。
  • ダイオードはさまざまな速度/回復電荷で供給されています。逆回復電荷が小さい高速ダイオードでは通常、順方向電圧降下が大きくなります。高速ダイオードは導通損失が大きいものの、スイッチング損失は小さくなります。逆回復電荷が大きい低速ダイオードでは通常、順方向電圧降下が小さくなります。低速ダイオードは導通損失が小さいものの、スイッチング損失は大きくなります。用途に合った定格速度のダイオードを選定することで、最大限の効率を確保できます。
  • ブースト・コンバータ入力に電圧が最初に印加されると、出力コンデンサが入力電圧ピーク値まで充電する間に、制御されていない電流がブースト・ダイオードを流れます。充電電流は入力およびEMIフィルタ段のインピーダンスによってのみ制限されるため、出力コンデンサ充電期間中に非常に高い値に達することがあります。この電流を伝導するダイオードの定格は、この非反復サージ電流を伝導できるものとします。通常はバイパス・ダイオードを追加して、この充電電流の大半をブースト・ダイオードからそらします。バイパス・ダイオードには、順方向電圧降下が小さい低速タイプを使用できます。このため、高速なブースト・ダイオードに比べて安価でより安定しています。
  • この設計例では、 STMicroelectronics®のSTTH5L06ダイオードを選定しました。このダイオードは定格電圧が600Vで、平均定格電流は5Aです。順方向電圧降下が約0.85Vであるため、ブースト・ダイオードの導通損失は0.5W未満となります。