JAJSEI9B October 2017 – January 2018 UCC28056
PRODUCTION DATA.
プラントの積分器の応答により、ゲイン・ロールオフは1ディケード当たり-20dBとなり、90°の位相遅れが生じます。単純な積分補償ネットワークでは、電圧ループにもう一回90°の位相遅れが生じるため、容認しがたい位相マージンになります。十分な位相マージンを確保するには、タイプ2補償ネットワークを採用して、ゲイン・クロスオーバー周波数で希望する位相ブーストが得られるようにします。Equation 84はエラー・アンプとタイプ2補償ネットワークを組み合わせた場合の小信号ゲインを表します。
は次のように表すこともできます。
where
Equation 86、Equation 87、Equation 88を並べ替えると次のようになります。
ゲイン・クロスオーバー周波数で最大の位相ブーストを得るために、補償設計に際し、ボード線図で極/ゼロはゲイン・クロスオーバー周波数(fB)を中心に対照的に配置します。周波数軸は対数目盛りとするため、これにより次のような極(fP)およびゼロ(fZ)周波数が得られます。
プラントに採用されている積分器の特性と補償器により180°の位相遅れが生じるため、ループの位相マージンはタイプ2補償による位相ブーストと等しくなります。fBで所望する位相マージン(ΦPM)を実現するために、Equation 92およびEquation 93をEquation 85に代入し、位相ブースト角度となるKを解いて、極周波数とゼロ周波数の分離を確認します。
次に、希望する位相マージンを選択します。標準的な位相マージンの範囲は45°~75°です。この設計例では、目標位相マージンを65°とします。
次に、ループ・ゲイン・クロスオーバー周波数(fB)を決定します。高速ループでは、COMP端子電圧における入力周波数の2倍のリップルが増えて、入力電流歪みの増大につながります。
まず、入力周波数の2倍のCOMP電圧リップルによる第三高調波歪み1%という目標を設定します。この目標を達成するには、定常状態フルパワー動作時に入力周波数の2倍のCOMP端子リップルをDC値の2%未満に抑える必要があります。次に、入力周波数の2倍のCOMP端子リップルの振幅がDC値の2%を超えないようなループ・ゲイン・クロスオーバー周波数(fB)を選択します。
Equation 97を用いて、出力コンデンサにおける入力周波数の2倍の電圧リップルの振幅を計算します。
COMP端子電圧で2%のリップル振幅という目標を達成するには、出力電圧リップルの振幅を帰還ネットワークで減衰する必要があります。
Equation 99はEquation 98を簡単にしたものです。
where
Equation 100 はゲイン・クロスオーバー周波数でのユニティを表します。
Equation 100はEquation 101のように表すこともできます。
Equation 92およびEquation 93を用いて、極周波数とゼロ周波数を計算します。それからEquation 89、Equation 90、Equation 91を用いて補償部品の値を求めます。