注: リジッド PCB で高精度の温度読み取りを行う場合、サーマル・パッドをはんだ付けしないでください。フレキシブル PCB では、サーマル・パッドをはんだ付けして、基板レベルの信頼性を向上させることができます。サーマル・パッドをはんだ付けする場合は、グランドに接続するか、フローティングのままにする必要があります。
基板レイアウトの詳細については、ti.com にある『TMP116 および TMP117 での高精度温度測定』 (SNOA986) および『熱応答に最適化されたウェアラブル温度センシング・レイアウトの考慮事項』 (SNIA021) アプリケーション・レポートを参照してください。
電源バイパス・コンデンサは、電源とグランドのピンにできるだけ近づけて配置します。このバイパス・コンデンサの推奨値は 0.1μF です。場合によっては、プルアップ抵抗が熱源になることもあるので、抵抗とデバイスとの間に多少の距離を確保します。
TMP117 を PCB パッドに取り付けることで、測定対象物の表面や周囲の空気との熱抵抗をできるだけ小さくします。推奨の PCB レイアウトでは、デバイスの自己発熱効果が最小になり、温度変化に伴う遅延時間が短縮され、デバイスと物体の間の温度オフセットも最小になります。
- TMP117 のサーマル・パッドを PCB にはんだ付けすると、PCB との熱抵抗が最小になり、温度変化に伴う応答時間が短縮され、デバイスと測定対象物体の間の温度オフセットも最小になります。ただし、サーマル・パッドのはんだ付けを行うと機械的ストレスが発生し、測定誤差が増える可能性があります。システム・キャリブレーションが計画されていない場合は、サーマル・パッドを PCB にはんだ付けしないことをお勧めします。デバイスの熱質量が小さいので、サーマル・パッドをはんだ付けしなくても、記載されている特性に及ぼす影響は小さなものです。デバイスを PCB に手動ではんだ付けすると、パッケージへの機械的ストレスが増えるため、精度の劣化を防止するために、標準の PCB リフロー・オーブン・プロセスを強く推奨します。
- デバイスを使用して固体表面温度を測定する場合:
- 厚さができるだけ小さい PCB を使用します。
- PCB を曲げるとパッケージに機械的ストレスが生まれる可能性があるので、これを避けます。
- PCB の底面は銅プレーンで覆います。
- 可能なら、底面のはんだマスクを取り外し、露出した銅を金の層で覆います。
- PCB と物体の表面との間に熱伝導性ペーストを使用します。
- PCB に未使用の内部層がある場合は、それらの層をセンサの下まで伸ばします。
- 基板上の銅線の量を最小限に抑えます。
- 周囲の空気に温度が「リーク」することを最小限に抑えるため、気流が最小限の場所にセンサを配置します。水平な表面が望ましいです。
- 周囲の空気に熱が「リーク」することで温度オフセットが発生することを最小限に抑えるため、センサを熱絶縁フォームやテープでカバーするか、最低でも染料でカバーします。
- デバイスを使用して移動する空気の温度を測定する場合:
- 移動する空気の温度には一般に多くの変動が伴うため、PCB の熱質量が増加すると、測定ノイズが減少します。
- PCB のはんだ付けパッドを通常より大きくします。特にパッケージのコーナー・パッドを大きくします。
- 可能なら、銅層が厚い PCB を使用します。
- 基板の使用していない部分の両側は銅層で覆います。
- PCB は気流に沿って垂直に配置します。
- デバイスを使用して静止した空気の温度を測定する場合:
- 基板を小型化して熱質量を減らします。熱質量が小さいと、熱応答が高速化します。
- 露出したパッドの上面と底面に、同じサイズの 2 つの銅プレーンを配置します。
- 上面のはんだマスクを取り外します。
- 酸化を防止するため、露出した銅をはんだペーストで覆います。
- 熱源となる部品から、PCB を経由して熱結合が発生することを防ぐため、熱絶縁が必要です。
- 温度センサの下に銅プレーンを配置することは避けます。
- センサと周囲の銅領域 (アンチエッチング) との間のエアギャップを最大にします。熱源に近い場合は特に重要です。
- センサと他の回路の間に PCB の切り欠きを作成します。アイランドへの配線ブリッジとして、狭いチャネルは熱源部品から離します。
- 熱源が上面にある場合は、上面に配線を置くことを避け、すべての信号を底面に配線します。
- 基板を垂直に配置すると、気流が改善され、ほこりの付着が減少します。