JAJT267 june   2023 BQ25180 , BQ25620

 

  1.   1
  2. 1はじめに
  3. 2製品保管期間の最大化
  4. 3ウォッチドッグ・リセットを使用する
  5. 4バッテリー容量を最大限に活用する
  6. 5バッテリの消耗を最小限に抑える
  7. 6テキサス・インスツルメンツのパワー・パス搭載バッテリ充電器
  8. 7まとめ
  9. 8関連ウェブサイト

バッテリー容量を最大限に活用する

充電器 IC を設計する際の目標は主に、バッテリ容量を最大化することです。それにより、充電を行うまでの間の時間を長くすることができるためです。終了電流 (ITERM) の監視が不正確である場合、図 2 に示すように、目的の ITERM 値よりも大きい値で充電が終了し、バッテリ容量を使い切ることができない可能性があります。

パワー・パスにより、ITERM がより正確になり、多くのバッテリ容量を活用できます。リチウムイオン (Li-ion) 充電プロファイルでは、定電圧フェーズ中に充電電流が ITERM に達するまで徐々に弱まり、その後シャットオフされます。バッテリ容量を最大化するには、ITERM を小さくするとともに、低い ITERM 値を正確に測定して充電を正確に終了できることが重要です。パワー・パスにより、Q2 バッテリ FET を通過する電流を測定することで、低い値における正確な電流監視が可能になります。

GUID-20230621-SS0I-BJHG-BKZM-PBQLLVJPXZKC-low.png図 2 低い ITERM により増える容量。

図 2 はまた、不正確な ITERM 監視により 1mA ではなく 4mA で終了する可能性があることも示しています。これは、利用可能な 41mAhr のバッテリ容量のうち 5% が使用できなくなることを意味します。パワー・パス搭載の充電器では、充電電流とシステム電流が個別にレギュレートされるため、システム電流の変動は充電電流に影響を与えません。すなわち、充電の終了を一定の事前定義値において発生させることが可能なため、バッテリの充電状態を最大化できます。

パワー・パスを使用して正確かつ低い ITERM を実現することは、蛇口からコップに水を注ぐことに例えることができます。コップはバッテリ、コップの水はバッテリの電荷量、蛇口からの水は充電電流です。目的は、水が溢れないようにしながら可能な限りたくさんの水をコップに注ぐことです。水がコップの縁に近付いたときに、蛇口から流入する水の量を徐々に減らすことにより、水の総量を容易に制御できるようにすれば、この作業ははるかに簡単になります。蛇口からの水を常に最高の流量にすると、水が溢れる可能性が高くなります。あるいは、コップがいっぱいになる前にコップを蛇口から離すことになります。これをバッテリ充電器に当てはめると、充電電流 (蛇口からの水) を制御された測定可能な ITERM に制限することによって、バッテリの過充電や充電不足を発生させずに、充電器によりバッテリ (コップ) にできるだけ大きい電荷量 (コップの水) を充電できるということになります。