JAJU533A April   2018  – November 2024

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   リソース
  4.   特長
  5.   アプリケーション
  6.   6
  7. 1システムの説明
    1. 1.1 主なシステム仕様
  8. 2システム概要
    1. 2.1 ブロック図
    2. 2.2 主な使用製品
      1. 2.2.1 C2000 リアルタイム MCU LaunchPad
      2. 2.2.2 SN65HVD78
      3. 2.2.3 TLV702
      4. 2.2.4 TPS22918-Q1
    3. 2.3 設計上の考慮事項
      1. 2.3.1 BiSS-C プロトコル
        1. 2.3.1.1 ライン遅延補償
        2. 2.3.1.2 エンコーダによる処理時間要求
        3. 2.3.1.3 制御通信
      2. 2.3.2 C2000 BiSS-C エンコーダ インターフェイスの概要
      3. 2.3.3 TIDM-1010 の基板実装
      4. 2.3.4 MCU のリソース要件
        1. 2.3.4.1 入力、出力信号、CLB タイル
      5. 2.3.5 CLB BiSS-C 実装の詳細
        1. 2.3.5.1 トランザクションの波形
        2. 2.3.5.2 FRAME_STATE の生成
        3. 2.3.5.3 CLB_SPI_CLOCK の生成
        4. 2.3.5.4 ENCODER_CLOCK (MA) 生成
      6. 2.3.6 PM BiSS-C インターフェイス ライブラリ
        1. 2.3.6.1 PM BiSS-C ライブラリ関数
  9. 3ハードウェア、ソフトウェア、テスト要件、テスト結果
    1. 3.1 ハードウェア
      1. 3.1.1 TIDM-1010 のジャンパ構成
    2. 3.2 ソフトウェア
      1. 3.2.1 C2000 ドライバ ライブラリ (DriverLib)
      2. 3.2.2 C2000 SysConfig
      3. 3.2.3 C2000 構成可能ロジック ブロック ツール
      4. 3.2.4 Code Composer Studio™ と C2000WARE-MOTORCONTROL-SDK のインストール
      5. 3.2.5 リファレンス ソフトウェアの場所
    3. 3.3 テストと結果
      1. 3.3.1 ハードウェアの構成
      2. 3.3.2 プロジェクトのビルドおよびロード
      3. 3.3.3 実行するサンプル コード
      4. 3.3.4 エンコーダのテスト
      5. 3.3.5 ベンチマーク
      6. 3.3.6 トラブルシューティング
  10. 4デザイン ファイル
  11. 5ソフトウェア ファイル
  12. 6関連資料
    1.     商標
  13. 7用語
  14. 8著者について
  15. 9改訂履歴

ライン遅延補償

実際のアプリケーション環境では、エンコーダはコントローラから遠く離れた場所に存在する可能性があります。エンコーダとコントローラの間に長いケーブルを接続すると、送信遅延や物理的ノイズが発生する可能性があります。

ライン遅延は、送信に使用されるケーブルの長さによる伝搬遅延です。コントローラが MA クロックの送信を開始したとき、クロックがエンコーダに到達するまでにある程度の時間が必要です。エンコーダがクロックを受信すると、エンコーダは SL データにより応答を開始します。エンコーダの応答も、ケーブルを通ってコントローラに向かって逆方向の経路を進みます。電線を経由するデータ送信における遅延時間は、ケーブルの長さに比例します。ケーブル長が 100m までの場合、コントローラがクロックを送信してから、コントローラがエンコーダの応答を受信するまでに、1µs のケーブル遅延が発生する可能性があります。

BiSS-C インターフェイスには、ライン遅延を補償して、長いケーブルの伝送でのエラーを回避するメカニズムがあります。

TIDM-1010 BiSS-C ライン遅延図 2-3 BiSS-C ライン遅延

図 2-3 に、コントローラ側とエンコーダ側の 2 つの観点からの信号を示します。

図 2-3 のマーカー (1) を参照:

コントローラ ラインの MA は、クロックが BiSS-C インターフェイスでどのように見えるかを示しています。これは、ドライブ コントローラが配置されているコールド側です。コントローラは MA 信号を送信してトランザクションを開始します。

図 2-3 のマーカー (2) を参照:

ライン遅延のため、MA クロック信号は、エンコーダ (モーター) で見ると遅延しています。[MA at Encoder] の行は、その遅延を示しています。

図 2-3 のマーカー (3) を参照:

エンコーダは遅延した MA クロックの 2 番目の立ち上がりエッジに応答します。[SLO at Encoder] の行は、[MA at Encoder] に対するエンコーダの応答を示しています。

図 2-3 のマーカー (4) を参照:

この応答がコントローラに戻るには、ある程度の時間がかかります。コントローラへの信号伝達は、[SLO at Controller] 信号に示すように遅延します。MA クロックの 2 番目の立ち上がりエッジから SLO ラインの最初の立ち下がりエッジまでの時間を測定することで、遅延時間の合計を計算できます。送信エラーを防止するために、BiSS-C インターフェイスはこのライン遅延を補償します。