JAJU533A April 2018 – November 2024
実際のアプリケーション環境では、エンコーダはコントローラから遠く離れた場所に存在する可能性があります。エンコーダとコントローラの間に長いケーブルを接続すると、送信遅延や物理的ノイズが発生する可能性があります。
ライン遅延は、送信に使用されるケーブルの長さによる伝搬遅延です。コントローラが MA クロックの送信を開始したとき、クロックがエンコーダに到達するまでにある程度の時間が必要です。エンコーダがクロックを受信すると、エンコーダは SL データにより応答を開始します。エンコーダの応答も、ケーブルを通ってコントローラに向かって逆方向の経路を進みます。電線を経由するデータ送信における遅延時間は、ケーブルの長さに比例します。ケーブル長が 100m までの場合、コントローラがクロックを送信してから、コントローラがエンコーダの応答を受信するまでに、1µs のケーブル遅延が発生する可能性があります。
BiSS-C インターフェイスには、ライン遅延を補償して、長いケーブルの伝送でのエラーを回避するメカニズムがあります。
図 2-3 に、コントローラ側とエンコーダ側の 2 つの観点からの信号を示します。
図 2-3 のマーカー (1) を参照:
コントローラ ラインの MA は、クロックが BiSS-C インターフェイスでどのように見えるかを示しています。これは、ドライブ コントローラが配置されているコールド側です。コントローラは MA 信号を送信してトランザクションを開始します。
図 2-3 のマーカー (2) を参照:
ライン遅延のため、MA クロック信号は、エンコーダ (モーター) で見ると遅延しています。[MA at Encoder] の行は、その遅延を示しています。
図 2-3 のマーカー (3) を参照:
エンコーダは遅延した MA クロックの 2 番目の立ち上がりエッジに応答します。[SLO at Encoder] の行は、[MA at Encoder] に対するエンコーダの応答を示しています。
図 2-3 のマーカー (4) を参照:
この応答がコントローラに戻るには、ある程度の時間がかかります。コントローラへの信号伝達は、[SLO at Controller] 信号に示すように遅延します。MA クロックの 2 番目の立ち上がりエッジから SLO ラインの最初の立ち下がりエッジまでの時間を測定することで、遅延時間の合計を計算できます。送信エラーを防止するために、BiSS-C インターフェイスはこのライン遅延を補償します。