JAJU534E october 2022 – july 2023
Tamagawa (多摩川精機) は、工作機械、ロボット、モーター・ドライブなどの高精度位置情報取得に使用されるエンコーダ技術のメーカーです。Tamagawa 製のロータリー・エンコーダには、多く分けて増分エンコーダと絶対エンコーダの 2 種類があります。増分エンコーダは一連のパルスを送信し、絶対エンコーダは絶対デジタル値を送信します。絶対エンコーダには、シングル・ターンとマルチ・ターンの両方のタイプがあります。
TIDM-1011 リファレンス・デザインでは、RS-485 のライン・ドライバ経由でデジタル出力を供給する絶対エンコーダについて扱います。TIDM-1011 でサポートされているトランザクションのプロトコル形式を、T フォーマットと呼びます。
C2000 T フォーマット・エンコーダ・インターフェイスは、コントローラがエンコーダと通信するために必要な物理層を提供します。このエンコーダ・インターフェイスには、エンコーダとのデジタル情報の送受信を行うための RS-485 ドライブ制御機能があります。ここでの T フォーマットのトランザクションとは、コントローラからの要求の送信と、エンコーダからの応答を合わせたものです。エンコーダ・インターフェイスの観点から、トランザクションは図 2-2 に示す FRAME_STATES に分割できます。
このパターンは、エンコーダとのトランザクションごとに繰り返されます。
T フォーマットの通信プロトコルは、データの読み出し、リセット、EEPROM へのアクセスという 3 種類のトランザクションに大きく分けられます。各トランザクションには、プロトコルによって定義された一意のデータ ID があります。データ ID は、エンコーダ・インターフェイス経由でコントローラが行う特定の要求を識別するために使用されます。
トランザクションのタイプ | データ ID | トランザクション |
---|---|---|
読み出し | ID 0 | 1 回転の絶対データを読み出し |
ID 1 | マルチ・ターンのデータ | |
ID 2 | エンコーダ ID | |
ID 3 | 上記のすべてとエンコーダのエラー・ステータス | |
リセット | ID 7 | 1 回転の絶対データをリセット |
ID 8 | マルチ・ターン・データのリセット | |
ID C | エラーのリセット | |
EEPROM | ID D | エンコーダの EEPROM の読み取り |
ID 6 | エンコーダ EEPROM への書き込み |
各トランザクションは 10 ビットのフィールドで構成されます。各フィールドは、表 2-3 に示すような形式です。最初のビットはスタート・ビット (常に 0)、最後のビットは区切りビット (常に 1) です。スタート・ビットと区切りの間にある 8 ビット・データの内容は、フィールドのタイプによって異なります。
ビット 1 | ビット 2 | ビット 3 | ビット 4 | ビット 5 | ビット 6 | ビット 7 | ビット 8 | ビット 9 | ビット 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
コンテンツ | スタート・ビット は常に 0 |
8 データ・ビット:LSB が先頭にある この内容はフィールドによって異なります。これら 8 ビットのデータは CRC の計算に含まれます。 |
区切りビット は常に 1 |
T フォーマットのプロトコルで定義されるフィールドは次のとおりです。
要求で使用されるフィールドを、表 2-4 に示します。トランザクションを開始するため、コントローラはエンコーダ・インターフェイス経由で要求を送信します。要求は、Data ID を含む ControlField で開始されます。エンコーダは、データ ID を使用して、要求されたトランザクションを正確に識別します。読み出し要求またはリセット要求に必要なのは、ControlField のみです。EEPROM の読み取りまたは書き込みの場合、コントローラは EEPROM アドレス・フィールドと EEPROM データ・フィールド (書き込み用) に続いて、CRCField も送信します。
要求タイプ | 送信されるフィールド | |||
---|---|---|---|---|
読み出し | ControlField | |||
リセット | ControlField | |||
EEPROM 書き込み | ControlField | EEPROM AddressField | EEPROM DataField | CRCField(1) |
EEPROM 読み出し | ControlField | EEPROM AddressField | CRCField |
エンコーダの応答で使用されるフィールドは、要求によって異なります。読み出しおよびリセットのトランザクション (表 2-5) では、エンコーダが ControlField のエコーで応答し、その後に StatusField と 1 つ以上の DataField が続きます。最後に、エンコーダは常に CRCField を送信します。CRCField は、受信データの整合性チェックとして使用できます。
データ ID | タイプ | 制御 フィールド(1) |
ステータス・ フィールド |
データ・フィールド (DF0:DF1:…DF7) + CRC (2) (3) | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ID 0 | 読み出し | CF | SF | ABS0(4) | ABS1 | ABS2 | CRC | |||||
ID 1 | 読み出し | CF | SF | ABM0(5) | ABM1 | ABM2 | CRC | |||||
ID 2 | 読み出し | CF | SF | ENID(6) | CRC | |||||||
ID 3 | 読み出し | CF | SF | ABS0 | ABS1 | ABS2 | ENID | ABM0 | ABM1 | ABM2 | ALMC(7) | CRC |
ID 7 | リセット | CF | SF | ABS0 | ABS1 | ABS2 | CRC | |||||
ID 8 | リセット | CF | SF | ABS0 | ABS1 | ABS2 | CRC | |||||
ID C | リセット | CF | SF | ABS0 | ABS1 | ABS2 | CRC |
次のデータ読み出しの例では、コントローラがマルチ・ターンのデータ (データ ID 1) を要求します。表 2-5 を参照すると、応答の DataField はマルチ・ターンのデータ (ABM0:ABM1:ABM2) に対応しています。
要求 | データ ID 1 の ControlField |
|||||
応答 | データ ID 1 の ControlField |
StatusField | DataField0 | DataField1 | DataField2 | CRC |
EEPROM トランザクションの場合、表 2-7 に示すように、エンコーダは ControlField + EEPROM AddressField + EEPROM DataField + CRCField で応答します。
データ ID | 要求 | フィールド 0 | フィールド 1 | フィールド 2 | フィールド 3 |
---|---|---|---|---|---|
ID 6 | 書き込み | ControlField | EEPROM AddressField |
EEPROM DataField (1) |
CRCField(3) |
ID D | 読み出し | ControlField | EEPROM AddressField |
EEPROM DataField (2) |
CRCField |