JAJU732E June 2019 – April 2024 TMS320F28P550SJ , TMS320F28P559SJ-Q1
セクション 2.3.2 で説明しているように、ゼロ電圧スイッチングはインダクタ電流 IL に依存します。期間 1 と期間 2 の間の ZVS 遷移を有効にするには、Q5 と Q8 がオンのときに IL が正になっている必要があります 。この時点の電流は、I1 と定義されます (式 9 を参照)。期間 2 と 期間 3 の間の ZVS 遷移では、同じように、IL が正になっている必要があります。この時点の電流は、I2 と定義されます (式 10 を参照)。期間 3 と期間 4、および期間 4 と期間 1 の間の ZVS 遷移では、IL が負になっている必要があります。電流波形は対称であるため、これらの時点の電流は、–I1 および –I2 と等しくなります。
MOSFET の出力容量を無視すると、ZVS 範囲は、式 式 9 および 式 10 を 0 に設定して、φ について解くことで導出できます。これで、入力および出力電圧比 d に応じて、ZVS に必要な最小位相シフトが得られます。これにより、式 11 および 式 12 となります。
図 2-16 の赤い線は、ある電圧比について可能な最大出力電力 POUT,max を示してい ます。軽負荷 (黒でプロットした ZVS 境界を下回る出力電力) で電圧比 d < 1 の場合には、2 次側でハード スイッチングが発生し、d > 1 で軽負荷の場合には、1 次側でハード スイッチングが発生します。電圧比 d が 1 に近い場合には、非常に低い負荷まで ZVS を実現できます。ZVS 範囲は、拡張、デュアル、またはトリプル位相シフト制御など、さまざまな制御方式を適用することで拡大できます。
拡張位相シフト制御が実装されており、ソフトウェアで利用できます。詳細については、セクション 6 を参照してください。