JAJU889 may   2023

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   リソース
  4.   特長
  5.   アプリケーション
  6.   6
  7. 1システムの説明
    1. 1.1 主なシステム仕様
  8. 2システム概要
    1. 2.1 ブロック図
    2. 2.2 設計上の考慮事項
    3. 2.3 主な使用製品
      1. 2.3.1  UCC5880-Q1
      2. 2.3.2  AM2634-Q1
      3. 2.3.3  TMS320F280039C-Q1
      4. 2.3.4  UCC14240-Q1
      5. 2.3.5  UCC12051-Q1
      6. 2.3.6  AMC3330-Q1
      7. 2.3.7  TCAN1462-Q1
      8. 2.3.8  ISO1042-Q1
      9. 2.3.9  ALM2403-Q1
      10. 2.3.10 LM5158-Q1
      11. 2.3.11 LM74202-Q1
    4. 2.4 システム設計理論
      1. 2.4.1 マイクロコントローラ
        1. 2.4.1.1 マイクロコントローラ – C2000™
        2. 2.4.1.2 マイクロコントローラ – Sitara™
      2. 2.4.2 絶縁バイアス電源
      3. 2.4.3 電源ツリー
        1. 2.4.3.1 はじめに
        2. 2.4.3.2 電源ツリーのブロック図
        3. 2.4.3.3 12V の分配と制御
        4. 2.4.3.4 ゲート・ドライブ電源
        5. 2.4.3.5 5V 電源ドメイン
        6. 2.4.3.6 電流および位置センシング電源
  9. 3ハードウェア、ソフトウェア、テスト要件、テスト結果
    1. 3.1 ハードウェア要件
      1. 3.1.1 ハードウェア・ボードの概要
        1. 3.1.1.1 制御ボード
        2. 3.1.1.2 MCU 制御カード – Sitara™
        3. 3.1.1.3 MCU 制御カード – C2000™
        4. 3.1.1.4 ゲート・ドライバとバイアス電源ボード
        5. 3.1.1.5 DC バス電圧センス
        6. 3.1.1.6 SiC パワー・モジュール
          1. 3.1.1.6.1 XM3 SiC パワー・モジュール
          2. 3.1.1.6.2 モジュールの電源端子
          3. 3.1.1.6.3 モジュールの信号端子
          4. 3.1.1.6.4 内蔵 NTC 温度センサ
        7. 3.1.1.7 ラミネート・バス・コンデンサと DC バス・コンデンサ
          1. 3.1.1.7.1 放電 PCB
    2. 3.2 テスト構成
      1. 3.2.1 ソフトウェア設定
        1. 3.2.1.1 Code Composer Studio プロジェクト
        2. 3.2.1.2 ソフトウェアの構造
    3. 3.3 テスト方法
      1. 3.3.1 プロジェクトの設定
      2. 3.3.2 アプリケーションの実行
    4. 3.4 テスト結果
      1. 3.4.1 絶縁バイアス電源
      2. 3.4.2 絶縁型ゲート・ドライバ
      3. 3.4.3 インバータ・システム
  10. 4テキサス・インスツルメンツの高電圧評価基板 (TI HV EVM) におけるユーザーの安全のための一般的な指針
  11. 5設計とドキュメントのサポート
    1. 5.1 設計ファイル
      1. 5.1.1 回路図
      2. 5.1.2 BOM
      3. 5.1.3 PCB レイアウトに関する推奨事項
        1. 5.1.3.1 レイアウトのプリント
      4. 5.1.4 Altium プロジェクト
      5. 5.1.5 ガーバー・ファイル
      6. 5.1.6 アセンブリの図面
    2. 5.2 ツールとソフトウェア
    3. 5.3 ドキュメントのサポート
    4. 5.4 サポート・リソース
    5. 5.5 商標
  12. 6用語

設計上の考慮事項

トラクション・システムの主な目的は、トラクション・モーターを効率的に駆動することです。トラクション・モーターは通常、制御帯域幅の広い誘導モーターまたは内部永久磁石同期モーター (IPMSM) です。このため、TIDM-02014 は C2000 リアルタイム制御 MCU を搭載し、モーターを駆動するためのフィールド・オリエンテッド・コントロール (FOC) 方式を実装しています。このデザインは、テキサス・インスツルメンツの Sitara™ AM263x MCU ベースの制御実装もサポートしており、機能安全要件をサポートしながら高いリアルタイム性能を実現できます。

SiC インバータの高効率動作を実現するため、UCC5880-Q1 機能安全に準拠した絶縁型ゲート・ドライバの設計が利用されます。高度な構成および保護機能に加えて、UCC5880-Q1 のリアルタイム可変ゲート駆動強度機能により、効率を最適化できます。ゲート・ドライブ・バイアス電源の設計には、絶縁型トランスとポスト・レギュレーションを内蔵した UCC14240-Q1 バイアス電源デバイスが使用されています。UCC14240-Q1 の厳格なレギュレーション機能により、動作中のデバイスの導通損失を最小限に抑えることができます。これらの設計により、ゲート・ドライブの BOM と PCB フットプリントを最大 30% 削減できます。

電力段の設計理念は、高電流容量で低インダクタンスの設計により最高の性能を達成する同時に、コストと複雑さを最小にすることを目標としています。この目標を達成するために、5 つの重要なパラメータを考慮します。第 1 に、SiC モジュールは電流密度が高く、比較的サイズが小さいため、熱伝達を最大にするために高性能のサーマル・スタックアップが実装されています。第 2 に、バスバー構造によって生じる浮遊インダクタンスは、低インダクタンスの平面をオーバーラップさせた構造を使用することで最小限に抑えられます。第 3 に、高周波スイッチング・ループを効果的に閉じるために、低インダクタンスでリップル定格の高いコンデンサを使用する必要があります。第 4 に、ゲート・ドライバの高速保護機能と高ノイズ耐性機能を活用して、SiC モジュールを効果的にスイッチングし、フォルト状況で最大の耐久性を実現します。最後に、電力段のエンジニアリングは、アセンブリ、製造、およびシステム・コストの複雑さを最小限に抑えることを目標としています。このインバータは、寸法 279mm x 291mm x 115mm、合計体積 9.3L であり、最大電力密度 32.25kW/L は同等のシリコン (Si) ベースのインバータの 2 倍以上です。