JAJU896 June 2023 ADS131M08 , MSPM0G1507
電流トランス (CT) をセンサとして使用すると、CT によって電流信号に追加の位相シフトが発生します。また、電圧および電流入力回路の受動部品によって、別の位相シフトが発生することもあります。正確な測定を行うには、電圧サンプルと電流サンプルの間の相対的な位相シフトを補償する必要があります。位相シフト補償は、整数部と分数部に分けて実装されます。整数部は、N サンプル遅延によって行われます。分数部は、1 タップの有限インパルス応答 (FIR) フィルタを使用して 2 つのサンプルの間を補間することで行われます。これは、無効エネルギーの測定で FIR フィルタを使用して 90°シフトされた電圧サンプルを供給するのと同様の操作です。テスト・ソフトウェアで、分数遅延の生成に使用されるフィルタ係数は、ルックアップ・テーブルに示されています。このルックアップ・テーブルには、最小でサンプルの 1/256 の分数位相シフトが示されています。このアプリケーションで使用されるサンプル・レートは 8000Hz で、これは 50Hz で 0.0088°の分解能に対応します。ルックアップ・テーブルには、フィルタ係数のほかに、フィルタ係数の各セットに対応するゲイン変数も示されています。このゲイン変数を使用すると、特定のフィルタ係数セットを使用して得られたゲインを除去できます。
この設計で使用されるソフトウェア位相補償の代わりに、ADS131M08 デバイスの位相補償機能を使用することもできます。このハードウェア位相補償方式を使用する場合、フィルタ係数は必要ないため、フィルタ係数のゲインで除算する必要はありません。