JAJU912 November 2023
過渡的なスイッチング ノイズに対する耐性を向上させるため、LMG3422R030 の IN ピンに入力ローパス フィルタを接続することを推奨します。この設計では 3MHz の入力ローパス フィルタ (上側に R10 (100Ω) と C10 (560pF)、下側に R20 と C48) を使っています。伝搬遅延時間を精度よく一致させるため、許容誤差 5% 以下のコンデンサを推奨します。非常に大きいスイッチング電流でのシステムの過渡ノイズ耐性をさらに高めるため、時定数 (特に容量) は、LMG3422R030 データシートで推奨されている 100Ω と 22pF よりもより大きくしています。システムの必要に応じて、テスト中に調整を行います。
この設計のターンオンおよびターンオフ時の実効的な伝搬遅延は、LMG3422R030 の 1.9V (標準値) の正方向入力スレッショルド電圧と、1V (標準値) の負方向入力スレッショルド電圧の関数です。式 1 と式 2 に、5V CMOS ロジック PWM 信号を想定した実効的な信号遅延を示します。
式 1 と式 2 に記載された入力フィルタを通過する PWM 信号遅延に加えて、LMG3422R030 はターンオンおよびターンオフ遅延を持っており、それは設定されたスルーレートに依存します。スルーレートを 30V/ns に設定している場合、LMG3422R030 のターンオン遅延は約 75ns (標準値)、ターンオフ遅延は約 44ns (標準値) です。したがって、PWM 信号からスイッチ ノードまでの実効的な電圧遅延は、ターンオン時で約 102ns、ターンオフ時で約 134ns です。実効的なターンオン遅延はターンオフ遅延より 32ns 短いため、MCU の PWM モジュールによって生成される相補 PWM のデッドタイムを設定する際は、これを考慮する必要があります。
この設計では、150ns の PWM デッドタイムを生成するように TMS320F28379D マイコンを構成したため、実効的なデッドタイム (標準値) は約 120ns (118ns) となりました。これにより、実効的な総合ターンオンおよびターンオフ遅延のばらつきに対応するのに十分なマージンが得られました。
C10 (100pF) と C48 (100pF) を使用して、PWM フィルタの時定数を 10ns と小さくすることも可能ですが、この設計ではテストしていません。より小さい時定数 (10ns) の PWM フィルタ使うと、伝搬遅延 tD_IN(ON) が約 4.7ns、tD_IN(OFF) が約 16ns に短縮されるため、実効的なデッドタイムをさらに短縮できます。