JAJU915A December   2023  – June 2024

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   参照情報
  4.   特長
  5.   アプリケーション
  6.   6
  7. 1システムの説明
    1. 1.1 DC/DC コンバータを備えた PV またはバッテリ入力
    2. 1.2 絶縁型 CLLLC コンバータ
    3. 1.3 DC/AC コンバータ
    4. 1.4 主なシステム仕様
  8. 2システム設計理論
    1. 2.1 昇圧コンバータの設計
    2. 2.2 MPPT 動作
    3. 2.3 CLLLC コンバータの設計
      1. 2.3.1 ゼロ電圧スイッチング (ZVS) の達成
      2. 2.3.2 共振タンク設計
    4. 2.4 DC/AC コンバータの設計
  9. 3システム概要
    1. 3.1 ブロック図
    2. 3.2 設計上の考慮事項
      1. 3.2.1 DC/DC コンバータ
        1. 3.2.1.1 入力電流および電圧検出と MPPT
        2. 3.2.1.2 突入電流制限
      2. 3.2.2 CLLLC コンバータ
        1. 3.2.2.1 低電圧側
        2. 3.2.2.2 高電圧側
        3. 3.2.2.3 変調方式
      3. 3.2.3 DC/AC コンバータ
        1. 3.2.3.1 能動部品の選定
          1. 3.2.3.1.1 高周波数 FET:GaN FET
          2. 3.2.3.1.2 絶縁型電源
          3. 3.2.3.1.3 低周波数 FET
        2. 3.2.3.2 受動部品の選定
          1. 3.2.3.2.1 昇圧インダクタの選択
          2. 3.2.3.2.2 Cx 容量の選択
          3. 3.2.3.2.3 EMI フィルタの設計
          4. 3.2.3.2.4 DC リンクの出力容量
        3. 3.2.3.3 電圧と電流の測定
    3. 3.3 主な使用製品
      1. 3.3.1  TMDSCNCD280039C - C2000™ マイコン controlCARD™ 向けの TMS320F280039C 評価基板
      2. 3.3.2  LMG3522R050 - ドライバ内蔵、650V、50mΩ GaN FET
      3. 3.3.3  LMG2100R044 - 100V、35A GaN ハーフ ブリッジ電力段
      4. 3.3.4  TMCS1123 - 高精度ホール効果電流センサ
      5. 3.3.5  AMC1302 - 高精度、±50mV 入力、強化絶縁型アンプ
      6. 3.3.6  AMC3330 - DC/DC コンバータ内蔵、高精度、±1V 入力、強化絶縁アンプ
      7. 3.3.7  AMC1311 - ハイ インピーダンス、2V 入力、強化絶縁型アンプ
      8. 3.3.8  ISO6741 - 堅牢な EMC 性能を備えた汎用強化絶縁型クワッド チャネル デジタル アイソレータ
      9. 3.3.9  UCC21540 - 強化絶縁型デュアルチャネル ゲート ドライバ
      10. 3.3.10 LM5164 - 超低静止電流 (IQ)、100V 入力、1A の同期整流降圧 DC/DC コンバータ
  10. 4ハードウェア、ソフトウェア、テスト要件、テスト結果
    1. 4.1 ハードウェア要件
    2. 4.2 テスト構成
      1. 4.2.1 DC/DC テスト
      2. 4.2.2 DC/AC テスト
    3. 4.3 テスト結果
      1. 4.3.1 入力 DC/DC 昇圧の測定結果
      2. 4.3.2 CLLLC の測定結果
      3. 4.3.3 DC/AC の測定結果
  11. 5設計とドキュメントのサポート
    1. 5.1 デザイン ファイル
      1. 5.1.1 回路図
      2. 5.1.2 BOM
    2. 5.2 ツールとソフトウェア
    3. 5.3 ドキュメントのサポート
    4. 5.4 サポート・リソース
    5. 5.5 商標
  12. 6著者について
  13. 7改訂履歴

DC/DC コンバータ

このリファレンス デザインの初段は LV 非絶縁型 DC/DC コンバータです。このリファレンス デザインは、1 つの共通出力レールを持つ 4 つの同一チャネルを備えています。昇圧コンバータの性質上、動作中の出力電圧は入力電圧よりも高い必要があります。大半の PV パネルの電圧は 30~50V の範囲にあり、完全に充電された 48V バッテリは 55V~60V であるため、共通バスの公称電圧として 75V を選択しました。

パラメータ

入力電圧

30 V~60 V

出力電圧

75 V

入力電流

14 A

入力電力

400 W

効率

> 99 %

このリファレンス デザインでは、ほぼすべての電圧および電流条件で CCM を維持するように、本 DC/DC コンバータは設計されています。CCM 動作は、中および重負荷での高い効率と、より優れた EMI 性能を達成するのに役立ちます。ただし、軽負荷の場合、CCM モードでは導通損失とコア損失が大きくなるため、効率が低下します。負荷が非常に軽い場合、本コンバータは不連続導通モード (DCM) で動作できます。

TIDA-010933 DC/DC コンバータ図 3-2 DC/DC コンバータ

この段には LMG2100R044 が使われています。このデバイスは集積度が高く、マイコンからのデジタル ラインで制御できます。ノイズを除去するために単純なフィルタが配置されています。電流リップルに対処するため、高品質の入力および出力セラミック コンデンサが必要です。LMG2100R044 のスイッチング性能は非常に高く、寄生インダクタンスと電源ループが重要です。寄生インダクタンスの影響を低減する目的で、特殊なレイアウトを採用しているため、スイッチング ノードの電圧スパイクが低減されています。高周波用セラミック コンデンサを VIN ピンに近付けて配置し、帰路は直下の内層に配線します。この配線は PCB 層の中のループ面積が非常に小さく、寄生インダクタンスが低減されます。4 つのコンデンサを並列接続すると、等価直列インダクタンス (ESL) を 1/4 に減らすことができます。図 3-3 に、LMG2100R044 のレイアウトを示します。

図 3-3 において、寄生インダクタンスを低減するため、電流の帰路は内層 (青緑色) に配置されています。

TIDA-010933 LMG2100R044 のレイアウト図 3-3 LMG2100R044 のレイアウト