JAJU919 December 2023
モーターを流れる電流は、PWM サイクルごとにモーター制御アルゴリズムの一部としてマイクロコントローラによってサンプリングされます。TMS320F2800137 ドーターボードは 1~3 つのシャント電流センシングに対応し、MSPM0G1507 ドーターボードは 1~2 つのシャント電流センシングに対応しています。モーター相の双方向電流、つまり正負の電流を測定するには、以下の回路では 1.65V のリファレンス電圧が必要です。このオフセット リファレンス電圧は、図 2-29 に示すように、電圧フォロワによって生成されます。
図 2-30 は、TMS320F2800137 ドーターボードの場合に、フィルタリング、増幅、ADC 入力範囲の中心へのオフセットにより、モータ電流を電圧信号として表す方法を示しています。この回路は、コンプレッサおよびファンの 3 相 PMSM の各相に使用されます。この回路の伝達関数を 式 52 に示します。
ここで、
計算された抵抗値により、図 2-36 に示されたセンシング回路が構築されます。Gi は 式 53 で求められます。
マイクロコントローラで測定可能なピーク ツー ピーク電流の最大値は、式 54 で求められます。
この式ではピーク ツー ピーク値は ±7.99A になります。次のコード スニペットは、user_mtr1.h ファイルでコンプレッサ モーターに対してどのように定義されているかを示しています。
//! \brief Defines the maximum current at the AD converter
#define USER_M1_ADC_FULL_SCALE_CURRENT_A (15.97f)
電流帰還の極性が正しいことも、マイクロコントローラが正確な電流測定を行う上で重要です。このハードウェア ボードの構成では、接地に接続されているシャント抵抗の負のピンは、オペアンプの反転ピンにも接続されています。user.mtr1.h での次のコード スニペットに示すように、強調表示されている記号は、ソフトウェアで電流帰還の正しい極性を持つように設定する必要があります。
// define the sign of current feedback based on hardware board
#define USER_M1_SIGN_CURRENT_SF (1.0f)
MSPM0 ドーターボードでは、システムのコストを削減するために、2 つの高性能内蔵アンプを使用して 2 つのシャント電流センシングが実装されています。また、アンプのゲインは 4.132 で、カットオフ周波数は 70kHz です。図 2-31 に、MSPM0G1507 ドーターボードにおける 2 つのシャント電流センシング回路を示します。