JAJU919 December 2023
FOC において、回転子フラックスの位置情報を知ることが中心となります。実際、この変数に誤差があると、回転子フラックスは d 軸と一直線にならず、isd と isq は固定子電流の正しいフラックス成分とトルク成分とはなりません。図 2-13 は (a、b、c)、(α、β)、(d、q) の各リファレンス フレームを示し、同期速度で d、q リファレンスで回転する、回転子フラックス、固定子電流、固定子電圧の各空間ベクトルの正しい位置を示しています。
同期モーターと非同期モーターでは、回転子フラックス位置の測定方法が異なります。
理論的には、PMSM ドライブの FOC により、DC モーターの動作のようにモーター トルクをフラックスとは無関係に制御することができます。言い換えれば、トルクとフラックスは互いに切り離されていることになります。固定リファレンス フレームから同期回転リファレンス フレームへの変数変換を行うには、回転子位置を知る必要があります。この変換 (いわゆるパーク変換) の結果、q-軸の電流がトルクを制御し、d-軸の電流は強制的にゼロになります。したがって、このシステムの重要なモジュールは、拡張スライディング モード オブザーバ (eSMO) または FAST エスティメータを使用した回転子位置の推定になります。
図 2-14 に、このリファレンス デザインにおける、フライング スタートを備えた eSMO を使用した、ファン用 PMSM のセンサレス FOC の全体ブロック図を示します。
図 2-15 に、このリファレンス デザインにおける、弱め界磁制御 (FWC) と最大トルク / 電流 (MTPA) を備えた eSMO を使用した、コンプレッサ用 PMSM のセンサレス FOC の全体ブロック図を示します。
図 2-16 に、このリファレンス デザインにおける、フライング スタートを備えた FAST を使用した、ファン用 PMSM のセンサレス FOC の全体ブロック図を示します。
図 2-17 に、このリファレンスデザインにおける、弱め界磁制御 (FWC) と最大トルク / 電流 (MTPA) を備えた FAST を使用した、コンプレッサ用 PMSM のセンサレス FOC の全体ブロック図を示します。