JAJU920 December   2023 MSPM0L1303 , MSPM0L1304 , MSPM0L1305 , MSPM0L1306 , MSPM0L1343 , MSPM0L1344 , MSPM0L1345 , MSPM0L1346

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   リソース
  4.   特長
  5.   アプリケーション
  6.   6
  7. 1システムの説明
    1. 1.1 主なシステム仕様
  8. 2システム概要
    1. 2.1 ブロック図
    2. 2.2 設計上の考慮事項
      1. 2.2.1 光電煙探知器のバックグラウンド – DC ベースのシグナル チェーン
      2. 2.2.2 変調ベースの煙検知シグナル チェーン
      3. 2.2.3 光学センシング AFE の設計
        1. 2.2.3.1 TIA
        2. 2.2.3.2 BPF
        3. 2.2.3.3 復調器と積分器
        4. 2.2.3.4 LED ドライバ
      4. 2.2.4 光学および機械設計
    3. 2.3 主な使用製品
      1. 2.3.1 MSPM0L1306
      2. 2.3.2 TLV9062S
      3. 2.3.3 TPS7A24
      4. 2.3.4 TS5A623157
      5. 2.3.5 SN74LVC1G66
      6. 2.3.6 HDC2010
  9. 3ハードウェア、ソフトウェア、テスト要件、テスト結果
    1. 3.1 ハードウェア要件
      1. 3.1.1 電源
      2. 3.1.2 通信インターフェイス
      3. 3.1.3 ヘッダー
    2. 3.2 ソフトウェア要件
      1. 3.2.1 ファームウェアの概要
      2. 3.2.2 測定および煙探知
      3. 3.2.3 その他のデモ機能
      4. 3.2.4 煙探知器 GUI
    3. 3.3 テスト設定
      1. 3.3.1 UL217 煙ボックスおよび火災試験のセットアップ
      2. 3.3.2 環境光試験のセットアップ
      3. 3.3.3 大気環境センシング試験の設定
    4. 3.4 テスト結果
      1. 3.4.1 UL217 の試験結果
      2. 3.4.2 環境光試験結果
      3. 3.4.3 大気環境試験の結果
      4. 3.4.4 電源試験の結果
      5. 3.4.5 消防室煙試験
  10. 4設計とドキュメントのサポート
    1. 4.1 デザイン ファイル
      1. 4.1.1 回路図
      2. 4.1.2 BOM
      3. 4.1.3 CAD ファイル
    2. 4.2 ツールとソフトウェア
    3. 4.3 ドキュメントのサポート
    4. 4.4 サポート・リソース
    5. 4.5 商標
  11. 5著者について

システムの説明

住宅用煙警報器の UL217 規格 (第 8 版と第 9 版) が最近変更され、煙警報器の性能が向上しています。先ず、より高温で早く燃え広がる火災を引き起こし、避難に必要な時間を奪う、開放的なフロア プランに設置されたより軽い可燃性材料など最新の建設技術や材料に対処し、さらに今の警報機では確実な検知が難しい、くすぶったポリウレタン火災に対応することです。さらに、信頼性をさらに向上させるためには、実際の火災源と、調理、シャワーからの蒸気などのかく乱源を区別する能力が必要です。これらのかく乱源からの煙は、実際の火災源からのものよりもはるかに小さいサイズの粒子が含まれている傾向があります。しかし、燃焼ポリウレタンは例外であり、この種の煙の粒子サイズは、かく乱源に見られるものとしては大きいサイズの粒子で構成されています。現在利用可能な単一波長の光電検出器は、簡単なスレッショルド ベースの検出アルゴリズムを使用しており、特定の種類の煙粒子 (燃焼ポリウレタンなど) とかく乱源を区別する機能がありません。商用の煙探知器を対象とした UL268 規格は、煙センシング性能に関して同様の更新された要件を規定しています。TIDA-010941 は、新しい UL217 第 9 版の感度と消防室試験要件に合格できる、複数波長、複数角度の設計を提示します。

このリファレンス デザインでは、変調ベースのシグナル チェーンを使用して、従来の DC ベース アーキテクチャのいくつかの欠点を克服しています。このアプローチの 2 つの主な利点は、環境光除去の改善と、シグナル チェーンの信号対雑音比 (SNR) の改善です。煙探知器アプリケーションにとって、低コストは非常に重要です。この設計では、環境光の除去性能が向上しているので、チャンバーレス煙探知器の設計を実装できる可能性があります。光電検出器の光学チャンバーを取り外すことで、BOM コストと組み立てコストの両方を大幅に削減できます。ただし、チャンバーがないという利点はありますが、昆虫による外乱や、時間の経過に伴う光路内の塵の集まりの排除など、環境上の大きな課題が存在します。複数波長のアーキテクチャ (この例では青色および赤外線 (IR)) を使用すると、かく乱源に一般的に見られる小さなサイズの粒子による信号応答が増加し、その結果、シグナル チェーンの実効的な粒子サイズ検出範囲が拡大します。複数波長を使うこの設計は、標準的な前方散乱角や後方散乱角など、複数の散乱角での光散乱応答の測定から構成されています。これにより、2 つの角度から測定値の比を取ることで粒子サイズを推定することができます。複数波長と複数角度という 2 つの手法を組み合わせることで、煙の実際の発生源とかく乱源を区別するための信頼できる複数基準アプローチが可能になります。

この設計では、シグナル チェーンの SNR が向上しているため、煙検出時の誤警報を減らすための信頼性の高いアルゴリズムを実装できるだけでなく、大気環境センシング アプリケーションで微粒子を検出する機能も実現できます。このリファレンス デザインを使用すると、粒子サイズの非常に正確な推定と質量濃度の測定が可能です。これは、この設計が、煙探知に関する最新の規格を満たすだけでなく、同じ光学設計を使用して室内の大気環境をセンシングできる煙探知器を実現できる可能性を開くものだということを意味しています。

最後に、消費者が使用する設備の中にはバッテリを頻繁に交換することが不便で非常に困難な物があり、バッテリで動作する煙探知器にとって消費電力が低いかどうかは重要な懸案事項です。TIDA-010941 は、1 つの 9V アルカリ電池で 10 年の寿命を実現することができ、煙探知器の長期に渡る動作を保証します。