JAJU922A October   2022  – February 2024

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   リソース
  4.   特長
  5.   アプリケーション
  6.   6
  7. CLLLC システムの説明
    1. 1.1 主なシステム仕様
  8. CLLLC システムの概要
    1. 2.1 ブロック図
    2. 2.2 設計上の考慮事項とシステム設計理論
      1. 2.2.1 タンクの設計
        1. 2.2.1.1 電圧ゲイン
        2. 2.2.1.2 トランス ゲイン比の設計 (NCLLLC)
        3. 2.2.1.3 磁化インダクタンスの選択 (Lm)
        4. 2.2.1.4 共振インダクタとコンデンサの選択 (Lrp と Crp)
      2. 2.2.2 電流および電圧センシング
        1. 2.2.2.1 VPRIM 電圧センシング
        2. 2.2.2.2 VSEC 電圧センシング
        3. 2.2.2.3 ISEC 電流センシング
        4. 2.2.2.4 ISEC タンクおよび IPRIM タンク
        5. 2.2.2.5 IPRIM 電流センシング
        6. 2.2.2.6 保護 (CMPSS および X-Bar)
      3. 2.2.3 PWM 変調
  9. トーテムポール PFC システムの説明
    1. 3.1 トーテムポール ブリッジレス PFC の利点
    2. 3.2 トーテムポール ブリッジレス PFC の動作
    3. 3.3 主なシステム仕様
    4. 3.4 システム概要
      1. 3.4.1 ブロック図
    5. 3.5 システム設計理論
      1. 3.5.1 PWM
      2. 3.5.2 電流ループモデル
      3. 3.5.3 DCバス電圧制御ループ
      4. 3.5.4 電流スパイクを除去または低減するゼロクロス付近のソフトスタート
      5. 3.5.5 電流の計算
      6. 3.5.6 インダクタの計算
      7. 3.5.7 出力コンデンサの計算
      8. 3.5.8 電流および電圧センシング
  10. 主な使用製品
    1. 4.1 C2000 マイクロコントローラ TMS320F28003x
    2. 4.2 LMG352xR30-Q1
    3. 4.3 UCC21222-Q1
    4. 4.4 AMC3330-Q1
    5. 4.5 AMC3302-Q1
  11. ハードウェア、ソフトウェア、試験要件、試験結果
    1. 5.1 必要なハードウェアとソフトウェア
      1. 5.1.1 ハードウェアの設定
        1. 5.1.1.1 制御カードの設定
      2. 5.1.2 ソフトウェア
        1. 5.1.2.1 Code Composer Studio 内でプロジェクトを開く
        2. 5.1.2.2 プロジェクト構造
    2. 5.2 テストと結果
      1. 5.2.1 テストのセットアップ (初期設定)
      2. 5.2.2 CLLLC のテスト手順
        1. 5.2.2.1 ラボ 1.1 次側から 2 次側への電力フロー、PWM ドライバの開ループ チェック
        2. 5.2.2.2 ラボ 2.1 次側から 2 次側への電力フロー、PWM ドライバおよび保護付き ADC の開ループ チェック (2 次側に抵抗性負荷が接続されている状態)
          1. 5.2.2.2.1 ラボ 2 のソフトウェア オプションの設定
          2. 5.2.2.2.2 プロジェクトのビルドおよびロードとデバッグ環境の設定
          3. 5.2.2.2.3 リアルタイム エミュレーションの使用
          4. 5.2.2.2.4 コードの実行
          5. 5.2.2.2.5 電圧ループに対する SFRA プラントの測定
          6. 5.2.2.2.6 アクティブ同期整流の検証
          7. 5.2.2.2.7 電流ループに対する SFRA プラントの測定
        3. 5.2.2.3 ラボ 3.1 次側から 2 次側への電力フロー、閉電圧ループ チェック (2 次側に抵抗性負荷が接続されている状態)
          1. 5.2.2.3.1 ラボ 3 のソフトウェア オプションの設定
          2. 5.2.2.3.2 プロジェクトのビルドおよびロードとデバッグ環境の設定
          3. 5.2.2.3.3 コードの実行
          4. 5.2.2.3.4 閉電圧ループに対する SFRA の測定
        4. 5.2.2.4 ラボ 4.1 次側から 2 次側への電力フロー、閉電流ループ チェック (2 次側に抵抗性負荷が接続されている状態)
          1. 5.2.2.4.1 ラボ 4 のソフトウェア オプションの設定
          2. 5.2.2.4.2 プロジェクトのビルドおよびロードとデバッグの設定
          3. 5.2.2.4.3 コードの実行
          4. 5.2.2.4.4 閉電流ループに対する SFRA の測定
        5. 5.2.2.5 ラボ 5.1 次側から 2 次側への電力フロー、閉電流ループ チェック (2 次側で抵抗性負荷が電圧源と並列に接続されてバッテリ接続をエミュレートしている状態)
          1. 5.2.2.5.1 ラボ 5 のソフトウェア オプションの設定
          2. 5.2.2.5.2 電流ループ補償器の設計
          3. 5.2.2.5.3 プロジェクトのビルドおよびロードとデバッグの設定
          4. 5.2.2.5.4 コードの実行
          5. 5.2.2.5.5 バッテリ エミュレーション モードでの閉電流ループに対する SFRA 測定
      3. 5.2.3 TTPLPFC のテスト手順
        1. 5.2.3.1 ラボ 1:開ループ、DC
          1. 5.2.3.1.1 BUILD 1のソフトウェアオプションの設定
          2. 5.2.3.1.2 プロジェクトのビルドおよびロード
          3. 5.2.3.1.3 デバッグ環境設定ウィンドウ
          4. 5.2.3.1.4 リアルタイム エミュレーションの使用
          5. 5.2.3.1.5 コードの実行
        2. 5.2.3.2 ラボ 2:閉電流ループ DC
          1. 5.2.3.2.1 BUILD 2のソフトウェアオプションの設定
          2. 5.2.3.2.2 電流ループ補償器の設計
          3. 5.2.3.2.3 プロジェクトのビルドおよびロードとデバッグの設定
          4. 5.2.3.2.4 コードの実行
        3. 5.2.3.3 ラボ 3:閉電流ループ、AC
          1. 5.2.3.3.1 ラボ 3 のソフトウェア オプションの設定
          2. 5.2.3.3.2 プロジェクトのビルドおよびロードとデバッグの設定
          3. 5.2.3.3.3 コードの実行
        4. 5.2.3.4 ラボ 4:閉電圧および電流ループ
          1. 5.2.3.4.1 BUILD 4のソフトウェアオプションの設定
          2. 5.2.3.4.2 プロジェクトのビルドおよびロードとデバッグの設定
          3. 5.2.3.4.3 コードの実行
      4. 5.2.4 テスト結果
        1. 5.2.4.1 効率
        2. 5.2.4.2 システム性能
        3. 5.2.4.3 ボード線図
        4. 5.2.4.4 効率とレギュレーションのデータ
        5. 5.2.4.5 熱データ
        6. 5.2.4.6 PFC の波形
        7. 5.2.4.7 CLLLC の波形
  12. デザイン ファイル
    1. 6.1 回路図
    2. 6.2 部品表 (BOM)
    3. 6.3 Altium プロジェクト
    4. 6.4 ガーバー ファイル
  13. ソフトウェア ファイル
  14. 関連資料
    1. 8.1 商標
  15. 用語
  16. 10著者について
  17. 11改訂履歴

C2000 マイクロコントローラ TMS320F28003x

C2000™ 32 ビット マイクロコントローラは、処理、センシング、アクチュエーションに最適化されており、リアルタイム制御アプリケーション、たとえば産業用モーター ドライブソーラー インバータおよびデジタル電源電気自動車および輸送モーター制御センシングおよび信号処理などにおける閉ループ性能が向上しています。

TMS320F28003x (F28003x) は、重要な制御ペリフェラル、差別化されたアナログ、不揮発性メモリを 1 つのデバイスに組み込むことができる、強力な 32 ビット浮動小数点マイクロコントローラ ユニット (MCU) です。

CLA により、一般的なタスクの負荷の多くをメインの C28x CPU から取り除くことができます。CLA は独立の 32 ビット浮動小数点演算アクセラレータであり、CPU と並列に実行されます。さらに、CLA には独自の専用メモリ リソースがあり、一般的な制御システムで必要となる主要なペリフェラルに直接アクセスできます。ANSI C のサブセット、およびハードウェア ブレークポイントやハードウェアによるタスク切り替えなどの主要な機能が標準でサポートされています。

F28003x マイクロコントローラには高性能のアナログ ブロックが内蔵されており、システムのさらなる統合が可能です。3 つの独立した 12 ビット ADC により、複数のアナログ信号を正確かつ効率的に管理でき、最終的にシステムのスループットが向上します。4 つのアナログ コンパレータ モジュールが、トリップ条件の有無を判断するために入力電圧レベルを継続的に監視します。

TMS320C2000™ デバイスには、周波数に依存しない拡張パルス幅変調器 / 高分解能パルス幅変調器 (ePWM/HRPWM) と拡張キャプチャ (eCAP) モジュールを備えた、業界をリードする制御ペリフェラルが搭載されており、クラス最高レベルのシステム制御が可能です。シグマ デルタ フィルタ モジュール (SDFM) が内蔵されているため、絶縁バリアを通して、オーバーサンプリング シグマ デルタ変調器をシームレスに統合できます。

さまざまな業界標準の通信ポート (シリアル ペリフェラル インターフェイス (SPI)、シリアル通信インターフェイス (SCI)、IC の相互接続 (I2C)、コントローラ エリア ネットワーク (CAN) など) により接続性がサポートされており、さまざまなアプリケーションにおいて最適な信号配置を行うための複数の多重化オプションを備えています。C2000™ プラットフォームの新機能として、完全準拠のパワー マネージメント バス (PMBus) が追加されました。さらに、業界で初めて高速シリアル インターフェイス (FSI) による高速かつ堅牢な通信が可能になり、本デバイスに組み込まれている一連の豊富なペリフェラルを補完します。

特別仕様の TMS320F28003xC では、構成可能ロジック ブロック (CLB) を利用して追加のインターフェイス機能を実現できます。詳細については、『TMS320F28003x マイクロコントローラ データ マニュアル』の「デバイスの比較」表を参照してください。

組み込みのリアルタイム分析および診断 (ERAD) モジュールにより、追加のハードウェア ブレークポイントやプロファイリング用のカウンタを使用できるようになり、デバイスのデバッグおよびシステム分析機能が強化されます。

高周波 CLLLC トポロジの制御を可能にするために、このデザインで特に強調されている C2000 マイクロコントローラの機能の一部は、以下のとおりです。

  1. 高分解能 PWM:ピコ秒単位の分解能を実現する C2000 マイクロコントローラの ePWM モジュールは、高周波 PWM を高精度に生成できます。タイプ 4 PWM の高分解能周期制御に加えて、高分解能デューティ制御、高分解能デッドバンド制御、高分解能位相シフト制御が可能です。これによって共振タンクの励起に適した平衡なパルスを生成できるようになり、高周波パワー コンバータを実現する機能と言えます。
  2. アクティブ同期整流用 ePWM 付きコンパレータ サブシステム (CMPSS):アクティブ同期整流を使用すると、高い効率が実現されます。共振点よりも低い周波数および高い周波数の両方で動作する高周波共振コンバータの場合、トポロジに必要な機能となります。C2000 マイクロコントローラの内蔵 CMPSS では、内蔵コンパレータと内蔵 D/A コンバータ (DAC) を使用することで、アクティブ同期整流パルスを生成できます。(セクション 2.2.2.4 を参照。)
  3. ブランキング ウィンドウ:スイッチング コンバータでは避けられないノイズのため、ブランキング ウィンドウ機能を使用して、ノイズの多いスイッチング イベント中の CMPSS 出力を抑制します。このブランキング ウィンドウは ePWM タイム ベースによって提供され、PWM サイクルの異なるタイミングで適用できます。(セクション 2.2.3 を参照。)
  4. X-Bar:1 つのパワー コンバータで複数のトリップ ソースを使用することができます。X-bar により、異なる CMPSS または GPIO からの異なるトリップ動作を組み合わせることで、外部ロジックなしで ePWM に必要なトリップ動作を生成できます。
  5. 制御補償器アクセラレータ (CLA) により、複数のトポロジの制御を単一のコントローラに統合できます。このデザインで提供されるソフトウェアには、CLA または C28x で制御ループを実行するオプションがあります。
  6. PWM モジュールのグローバル リンク機能 により、1 回の書き込みで複数の PWM を更新できるため、CPU の負荷が軽減され、より周波数の高いコンバータを容易に制御できます。