JAJU926 March 2024
IGBT ベースの 3 相インバータを使用する場合、PWM スイッチング時に相電流に最大 10kV/μs という大きな同相電圧過渡が発生し、電流センサの精度に影響を及ぼす可能性があります。このため、同相過渡耐性 (CMTI) とも呼ばれる PWM 除去は、正確な電流測定を行うための重要なパラメータです。TMCS1123 の PWM 除去をテストするために、320VDC バスの 3 相インバータ (TIDA-010025)、および AC モーターを使用しました。TIDA-010937 の TMCS1123 は 3 相インバータの U 相に接続し、 C200 MCU 上のソフトウェアは、1200 PWM 周期にわたって ADS7043 データ コンバータで相電流をサンプリングするように構成しました。このとき、新しい PWM サイクルごとに システム オン チップ (SoC) を60ns ステップで増加させて、ADC の変換開始時間をPWM サイクルの開始から PWM サイクルの終了まで連続的に変化させます。その結果、1 つの PWM 周期にわたって 16MHz サンプリングしたのと等価な電流測定値が得られます。1200 PWM 周期 (10kHz PWM 周期) にわたって電流が変化しないように、3A DC の電流を印加しました。図 4-13 にテスト構成を示します。
図 4-14 で、青の曲線は出力電圧のオシロスコープ波形、赤の曲線は電流プローブで測定した TMCS1123 の入力電流です。TIDA-010025 は 3A の平均 DC 電流を出力します。小さい過渡ノイズ スパイクは、オシロスコープが IGBT インバータの PWM スイッチングに敏感に反応することによるものです。
図 4-15 に、相電流の測定値を示します (青は、前述のように ADS7043 SAR ADC を使用しています)。青の曲線は、前述のように ADS7043 のトリガ時間を使用して測定した U 相電流の波形 (16MHz 等価サンプル レート) であり、赤の曲線は U 相電圧の波形です。 PWM スイッチング時に TMCS1123 出力にリンギングは発生していません。このように、TMCS1123 は PWM スイッチング時にも高い精度を維持します。