JAJU926 March   2024

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   参照情報
  4.   特長
  5.   アプリケーション
  6.   6
  7. 1システムの説明
    1. 1.1 主なシステム仕様
  8. 2システム概要
    1. 2.1 ブロック図
    2. 2.2 設計上の考慮事項
    3. 2.3 主な使用製品
      1. 2.3.1 TMCS1123
      2. 2.3.2 ADS7043
      3. 2.3.3 AMC1035
      4. 2.3.4 REF2033
  9. 3システム設計理論
    1. 3.1 ホール エフェクト電流センサの回路設計
    2. 3.2 A/D コンバータ
      1. 3.2.1 デルタ シグマ変調器
        1. 3.2.1.1 同相電圧範囲
        2. 3.2.1.2 入力フィルタリング
        3. 3.2.1.3 MCU へのインターフェイス
      2. 3.2.2 12 ビット SAR ADC
        1. 3.2.2.1 同相電圧範囲
        2. 3.2.2.2 入力フィルタ
        3. 3.2.2.3 MCU へのインターフェイス
    3. 3.3 電源および基準電圧
  10. 4ハードウェア、ソフトウェア、テスト要件、テスト結果
    1. 4.1 ハードウェア要件
    2. 4.2 ソフトウェア要件
    3. 4.3 テスト設定
      1. 4.3.1 注意事項
    4. 4.4 テスト結果
      1. 4.4.1 DC 性能
        1. 4.4.1.1 AD 変換後の出力電圧ノイズおよび ENOB
        2. 4.4.1.2 直線性と温度ドリフト
      2. 4.4.2 AC 性能
        1. 4.4.2.1 SNR の測定
        2. 4.4.2.2 レイテンシ テスト
      3. 4.4.3 PWM 除去
      4. 4.4.4 過電流応答
      5. 4.4.5 隣接電流除去
      6. 4.4.6 電源除去比
      7. 4.4.7 デジタル インターフェイス
  11. 5他社デバイスとの性能比較
    1. 5.1 有効ビット数
    2. 5.2 レイテンシ
    3. 5.3 PWM 除去
  12. 6設計とドキュメントのサポート
    1. 6.1 デザイン ファイル
      1. 6.1.1 回路図
      2. 6.1.2 BOM
      3. 6.1.3 PCB レイアウトに関する推奨事項
        1. 6.1.3.1 レイアウト プリント
    2. 6.2 ツールとソフトウェア
    3. 6.3 ドキュメントのサポート
    4. 6.4 サポート・リソース
    5. 6.5 商標
  13. 7著者について

過電流応答

大電流パルスを生成するために、GaN ベースのハーフ ブリッジ回路 LMG3422EVM を使用します。図 4-16 に、テスト構成の概要を示し ます。

LMG3422EVM は、ドライバと保護機能を内蔵した LMG3422 600V GaN 電界効果トランジスタ (FET) を 2 個使ったハーフブリッジ構成を採用しており、必要なバイアス回路と、ロジックまたは電力のレベル シフト機能を備えています。GaN ハーフブリッジは、高スルーレートの出力電圧パルスを生成します。また、電流制限抵抗を使用して出力電流のピーク値を設定します。

GUID-20240201-SS0I-HNDN-FTCL-QHZSCLJKMBQZ-low.svg図 4-16 過電流応答テスト構成

OC スレッショルドを検証するために、DC バス電圧を調整して、必要なピーク電流を TMCS1123 に注入します。図 4-17 および 図 4-18 に結果を示します。信号 VOUT は、TMCS1123 ホール センサのアナログ出力電圧です。VOC はアナログ入力であり、過電流スレッショルドを 37A に設定します。OC はアクティブ LOW のデジタル出力で、過電流が検出されると LOW になります。ピーク電流が 36.8A のとき OC はトリガされず、電流が 37.2A に増加すると OC がトリガされるので、スレッショルドは約 37A です。

GUID-20240201-SS0I-Q3CG-LB3K-DCGLK4J2BBMZ-low.png図 4-17 OC スレッショルドの確認 (ピーク電流 = 36.8A)
GUID-20240201-SS0I-BZ4P-R43J-3ZDQJQRDQQM4-low.png図 4-18 OC スレッショルドの確認 (ピーク電流 = 37.2A)

次に、ピーク電流を連続的に増加させて OC 波形を観測します。図 4-19 で、ピーク電流は 37.2A であり、電流が 36.8A に達したとき OC がトリガされます。図 4-20 で、ピーク電流は 57.6A であり、電流が 37.2A に達したとき OC がトリガされます。電流の立ち上がり時に、VOC が 1.2V から 1.16V にわずかに低下します。これは、理論上のスレッショルドが 40A から 38.7A に低下することを意味します。実際のスレッショルドは 37A であり、データシートのスレッショルドの許容範囲内です。このテストは、TMCS1123 の過電流応答時間が非常に短く、電流がスレッショルドに達するとすぐに OC がトリガされることを示しています。

GUID-20240201-SS0I-8X7R-S2N4-2MCVJJN06QD4-low.png図 4-19 OC 応答テスト (ピーク電流 = 37.2A)
GUID-20240201-SS0I-SS6G-WL5D-5CTHZ9PZS6ZP-low.png図 4-20 OC 応答テスト (ピーク電流 = 57.6A)

OC イベント後の TMCS1123 出力電圧の動作を観測します。結果を 図 4-21 に示します。VOUT は、OC イベントの後 68ns で低下を開始します。

GUID-20240201-SS0I-LFV1-N6RD-5RZQJMVGHSRJ-low.png図 4-21 OC イベント後の VOUT 復帰時間