JAJU934 May 2024
リニア モーター搬送システムを採用すると、複数の磁気ムーバーが 1 次元または 2 次元を、最大 10m/s の速度、最小 0.01mm の線形位置精度と再現性で移動することが可能になります。磁気センサの磁界の範囲は、ムーバーの検出磁石、およびムーバーの磁石と静止型マルチポジション センサのプリント基板 (PCB) との間の距離によって異なります。通常、磁界の範囲は 50mT~300mT です。スペースの要件により、高集積の 3D ホール エフェクト センサ システム オン チップ (SoC) を搭載した小型パッケージが有利です。使用するセンサの動作周囲温度が 85℃ を超えるような (たとえば125℃)、過酷な条件下でも、正確なセンサ データを取得しながら高い電力密度を実現します。1 つのセグメント内で複数のムーバーの位置を同時に検出する必要があるため、同時サンプリングと低レイテンシの位置測定が重要です。低レイテンシのデジタル インターフェイスを備えた 3D ホール エフェクト センサは、アナログ出力の SoC よりもノイズに対する耐性が高いという利点があります。デジタル インターフェイスを備えた SoC の他の利点として、ダイの温度、ホール効果素子、電源電圧の診断などの SoC の診断および監視機能を統合して、システムの信頼性向上を実現できるということがあります。
Z 軸と X 軸の最大磁界強度は同一とは限らないので、各磁界軸について個別に範囲設定と最適化が可能な 3D ホール エフェクト センサを使用すれば、より高い位置分解能と精度の実現に役立ちます。表 2-1 に、リニア モーター搬送システムのシステム要件の例と 3D ホール エフェクト センサの仕様への影響を示します。
パラメータ | 数値の例 | 位置センサ SoC への影響 |
---|---|---|
ムーバーの速度 | 最大 10m/s | センサのサンプリング レートに影響、閉ループ位置制御周波数は 4kHz 以上。 |
ムーバーの位置決め精度 / 繰り返し精度 | 最小 0.01mm | センサ分解能、精度、隣接するセンサ間の最小間隔に影響。 |
センサ テクノロジー | 3D/2D ホール エフェクト センサ | 3D ホール エフェクト センサにより 2 次元位置センシングが可能。 |
センサの磁界の範囲 | 50mT … 300mT | 線形入力範囲のフルスケール磁界強度 |
センサ分解能 | 通常 12 ビットの分解能 | プログラマブルな磁界範囲調整機能を備えた SoC であれば、軸ごとに入力範囲を調整して分解能および精度の向上が可能。 |
センサ インターフェイス | アナログまたはシリアル デジタル | MCU へのインターフェイス |
センサのレイテンシ | 最小 100us | より高速な SPI、たとえば...10MHz SPI は、システム レイテンシの短縮に貢献します。 |
複数のムーバー位置の同時サンプリング | 低ジッタの変換開始機能付きセンサ。 | ハードウェア ピンまたは SPI コマンドによる変換開始信号入力を備えたセンサ。 |
センサ ソリューションの PCB 面積 | できるだけ小さく。 | デジタル インターフェイスを搭載した統合型 3D ホール エフェクト SoC によりシステムの小型化が可能。 |
動作温度範囲 |
小型フォーム ファクタと高い電力密度は、セグメント内の高温化につながります。 |
85℃ を超える周囲温度範囲に対応する 3D ホール エフェクト SoC。 |
EMC 耐性 | CRC 付き SPI インターフェイス | CRC 付きのデジタル インターフェイスにより、インパルス ノイズに対する耐性が向上。 |
システムの信頼性、予知保全、フォルト検出機能 | 3D ホール エフェクト センサ、電源電圧、ダイ温度の監視 | たとえば、SPI を備え、診断機能を内蔵したセンサにより実現可能。 |