JAJU936 May 2024
電流検出は車載 HVIL 設計の重要な要素です。従来、電流検出は、HVIL ループ内の閉じた接続とオープン接続を検出する主要なモードでした。シャント抵抗を流れる電流が測定されることは、電流が流れている閉じた接続を示します。逆に、電流が流れていないことは、バッテリが切り離された状態のオープン接続を示します。しかし、電流検出のみに頼る設計では、負荷を通して短絡が発生した際のフォルト条件は検出されません。たとえば、HVIL-Send ピンと HVIL-Return ピンが互いに短絡した場合、負荷が閉じている (通常動作) か、オープン (バッテリ切り離し) かに関係なく、電流は電流検出シャント抵抗を流れます。これが、HVIL-Send と HVIL-Return の電圧値を測定し、あらかじめ決められたスレッショルドと比較することで、これらの電圧値を評価することが重要である理由です。このリファレンス デザインの場合、電流検出回路は、システムの総合的な安全性を向上させるための冗長性を備えています。正確でレギュレートされた HVIL 電流を必要とする高精度設計の場合、電流検出回路の出力電圧は、定電流生成回路への帰還信号としても使えます。
このリファレンス デザインは、定電流シンク生成回路を基準としたハイサイド電流検出回路を備えています。シャント抵抗は、HVIL-Return 信号と、定電流生成回路の BJT のコレクタとの間に配置されます。TLV9002-Q1 の 1 つのチャネルは、シャント抵抗の両端に接続された差動アンプとして構成されています。
この回路図 (図 2-10) では、1 つのチャネルを使って HVIL 電流を測定する TLV9002-Q1 が使われています。この回路設計は、アナログ エンジニア向け回路:ハイサイド電流検出回路の設計に基づいています。ダウンロード可能なシミュレーション モデルを含むこの回路の詳細については、このアナログ回路設計を参照してください。