JAJU958 November 2024
太陽光発電 (PV) パネルからの出力電力は、パネルが受ける照射、パネル電圧、パネル温度など、いくつかのパラメータに依存します。出力電力は条件の変化により、1 日を通して連続的な変化もあります。
図 3-1 に、ソーラー パネルの I-V 曲線と P-V 曲線を示します。I-V 曲線は、パネルの出力電流と出力電圧の関係を表します。図 3-1 の I-V 曲線が示すように、パネル電流は端子が短絡しているときに最大になり、端子が開放状態で無負荷のときは最小になります。
図 3-1 に示すように、パネル電圧とパネル電流の積が最大になる点で、PMAX で表されるパネルからの最大出力電力が得られます。このポイントを、最大電力点 (MPP) と呼びます。
図 3-2 および 図 3-3 に、さまざまなパラメータによりソーラー パネルの出力電力が変化する様子の例を示します。また、これらのグラフは、放射照度に対する、ソーラー パネルの電力出力の変動も示しています。これらのグラフから、放射照度の増減に伴い、ソーラー パネルからの電力出力がどのように増減するかが分かります。また、MPP となるパネル電圧も放射照度の変化に伴って変化することにも注意してください。
図 3-4 に、太陽光発電パネルの出力電力の変化を温度の関数として表した代表的なグラフを示します。温度が上昇すると、パネル電流 (およびパネル電力) がどのように減少するかが分かります。MPP 電圧は、温度の変化に伴ってかなり変化します。
MPP の近くでパネルを動作させて、ソーラー パネルから最大の電力を引き出すには次の 2 つの課題があります。
VMPP が 17V に近いソーラー パネルを 12V 鉛酸バッテリに直接接続すると、パネルは強制的に 12V で動作します。これにより、パネルから取り出すことができる電力が減少します。この状況を考えると、DC/DC コンバータを使ってソーラー パネルからより多くの電力を引き出せることが理解されます。これは、コンバータによりソーラー パネルが強制的に VMPP 付近で動作し、12V 鉛酸バッテリに電力を伝送するためです (インピーダンス整合)。
これが、最初の課題に対処するために、ユーザーが同期整流降圧コンバータを使ってソーラー パネルから鉛酸バッテリを充電する理由です。
パネルの MPP を自動的に識別するという 2 番目の課題は、通常、システムに MPPT アルゴリズムを採用して実現します。MPPT アルゴリズムは、太陽光発電パネルが最大電力点で動作するように試み、スイッチング電力段を使用してパネルから取り出した電力を負荷に供給します。
「山登り」は、最も一般的に使用されている MPPT アルゴリズムの 1 つです。このアルゴリズムのベースとなっている基本原理はシンプルで、マイコン ベースのシステムに簡単に実装可能です。このプロセスには、パネルの動作電圧のわずかな増減 (摂動) が含まれます。コンバータのデューティ サイクルを変更することで、パネル電圧に摂動を加えることができます。パネル電圧のわずかな上昇によりパネル電力が増加した場合、同じ方向に再度、摂動を行います。パネル電圧の上昇に伴ってパネル電力が低下する場合、負方向の摂動によりパネル電圧をわずかに減少させます。
摂動を実行して出力電力を観測することにより、システムはパネルの MPP 付近で、わずかに振動しながら動作するようになります。システムがどの程度 MPP の近くで動作できるかは、摂動の大きさにより決まります。このアルゴリズムは全体の最大値ではなく極大値に収束してしまう場合もありますが、これはアルゴリズムにわずかな微調整を加えることで解決することができます。
P&O アルゴリズム は実装が簡単で効果的であり、この設計のために選択されました。