JAJY133B january 2019 – april 2023
また、配電システムは元々、ピーク需要に対応するように設計および構築されており、放射型のインフラを経由して受動的に電力を供給する一方で、スマート・グリッドは顧客の選択肢を増やすだけでなく、管理をローカル、リモート、または自動で行うことができます。スマート・グリッドを使用することにより、公共サービスが消費者の行動の変化に応じて提供されるようになります (たとえば、家庭での EV バッテリ充電が、ピーク時間外の夜間に行われる可能性が高くなるなど)。
最高性能の EV は、22kW の範囲のオンボード充電器を搭載しています。双方向充電器という考え方は、EV を蓄電素子として使用する可能性にもつながります。ガレージの EV で 1 回充電すると 400 マイル走行できるとしましょう。しかし、通信、クラウド・コンピューティング、および最新のグリッドを通じ、所有者が明日 50 マイル以上運転することはないことを自動車は「理解しています」。技術的には、バッテリが午前 7 時に満充電されている必要はありません。そのため、夜間に車両からエネルギーを引き出すことで、地域の消費電力を節約したり、ピーク時間中に車両の余剰電力をグリッドに戻すことができます。公共の充電インフラにも同様のアプローチが存在し、ステーション間の負荷分散も実現しています。
さらに、順方向負荷の多くが DC であるため、グリッドの電力品質を向上させ、消費される高調波電流を低減するには、力率補正が必要になります。たとえば、350kW で動作するオフボード高速 EV 充電器の場合、入力はグリッドからの 3 相 AC 接続であり、バッテリへの出力は DC です。
アクティブな 3 相力率補正には多くのトポロジが存在します。10kW、双方向 3 相 3 レベル (T タイプ) インバータおよび PFC のリファレンス・デザインは、双方向の電力補正が可能であり、SiC (シリコン・カーバイド) 金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ (MOSFET) を高いスイッチング周波数で使用することで、効率の向上と磁気素子のサイズ縮小を実現し、システム全体のサイズを縮小できます。このトポロジは、EV 充電やソーラー・インバータのような大電力のスマート・グリッド・アプリケーションにも拡張可能です。SiC MOSFET の採用によりスイッチング損失を低減し、最大 800V の高い DC バス電圧に対応するとともに、スイッチング損失低減を通じて 97% 超のピーク効率も実現します。
将来のグリッドに対するテキサス・インスツルメンツの継続的な投資の一環として、グリッドに接続された充電器と EV 内のバッテリ管理システムの両方について、EV 充電を実現するために必要なコンポーネントを進歩させています。グリッドや EV バッテリからの電気は高電圧の可能性があるため、EV 充電やバッテリ管理システムの設計には絶縁型デバイスが不可欠です。これらのデバイスには、絶縁型および非絶縁型アンプ、絶縁型および非絶縁型のインターフェイス IC、信号アイソレータ用の電源などの通信および保護回路が含まれています。