サーモスタットからフライト コントロールまでさまざまなシステムで、A/D コンバータ (ADC) を使用して実世界のアナログ信号をキャプチャし、デジタル ドメインで処理し、デジタル結果に基づいて必要なアクションを実行しています。各 ADC は、生成できるさまざまなデジタル レベルを表す多くのビットを指定します。ある一定の ADC 入力に対する、ADC の出力が一定のデジタル値とはなりません。標準的な信号チェーンにはさまざまな誤差が存在するためです。したがって、比較の改善やキャプチャしたデータから最大の情報を抽出するために、有効ビット数 (ENOB) またはシグナル チェーンのノイズ フリー分解能を考慮することが重要です。高精度を達成するには、ENOB の向上とノイズ フリー分解能が必要です。
一般に、信号対雑音比 (SNR)、全高調波歪み (THD)、およびシステムのノイズは、ENOB の計算において重要な役割を果たします。フィールド トランスミッタや試験 / 測定アプリケーションなど複数のシステムでは、DC 入力信号の精度や正確性が非常に重要です。したがって、ノイズ仕様が最も重要になります。ADC の電圧リファレンスは、精度や正確性に影響を及ぼす可能性のあるシグナル チェーンの重要な要素です。
フィルタリングによって一部のノイズを除去することは可能ですが、低周波のノイズを除去することは実際にはできません。また、必要となる抵抗とコンデンサを組み合わせたフィルタ部品のサイズのため、シグナル チェーンの性能に大きな影響を及ぼさずに、電圧リファレンス内でフリッカー ノイズ (0.1Hz~10Hz の範囲のノイズ) を除去することは不可能です。したがって、ノイズはほとんどの場合システム内に存在します。
電圧リファレンスのノイズに加えて、ADC 自体と ADC ドライバからもノイズが発生します。これらの各部品は、デジタル信号を生成する回路のノイズに関係しています。図 1 はこの回路の簡略化したブロック図です。
式 1 は、この回路の合計ノイズを次のように表します。
システムの ENOB を決定する際には、回路に存在するノイズの量を知ることが重要です。一般に、低ノイズ設計には低ノイズ デバイスの選択が不可欠です。
この記事では、電圧リファレンスの選定に加え、ADC 性能の最大化に役立つ他のデータ処理の選択肢にも注目します。