TI の接続機能を活用する KRABO® のネットワーク接続型ボルト
ケース スタディの概要
Krabo は、インターネット接続のファスナーを中心とする企業である Fontana Gruppo の姉妹会社です。Krabo は、競技場、風洞、鉄道、自動車、橋梁など、重要なインフラのボルト接合部をリモート検査する分野の先駆者として活動を続けてきました。これらの革新的なボルトは、ボルトに密接に統合されている複数のセンサを土台としています。これらのセンサは、締め付け負荷を測定し、TI (テキサス・インスツルメンツ) の接続テクノロジーを使用して任意の時刻にそのデータをシステム モニタにワイヤレスで送信できます。 ボルトが採用しているテクノロジーは、ボルトを使用する接合部をいつでも監視し、課題が大きくなって問題に至る前に、それらの課題を識別することができます。このような予防保守能力は、安全性の強化と、保守コストの低減に役立ちます。
Krabo はネットワーク接続型ボルトを開発する際に、マルチプロトコル対応の 2.4GHz SimpleLink™ ワイヤレス マイコンである TI の CC2652RSIP を採用しました。 これらのコンポーネントは、KRABO® のネットワーク接続型ボルト テクノロジーにとって不可欠であり、有線とワイヤレス両方の接続ソリューションに関して 20 年以上にわたって TI が蓄積してきた専門知識や、TI 製品に対するエンジニアリング サポートは、高信頼性かつシームレスな設計を実現するうえで重要でした。
課題
Krabo が必要としていたのは、高精度測定、低消費電力、エネルギー効率、ボルトの頭部のサイズに収まる十分な小型、という特性のある高信頼性ワイヤレス通信テクノロジーでした。
ソリューション
TI の SimpleLink ワイヤレス マイコン ファミリ、特にシステム イン パッケージ (SiP) に封止のワイヤレス モジュールは、低消費電力を達成してバッテリ動作時間の延長に役立つほか、ZigBee® プロトコルに対応しており、使いやすい製品です。TI のこのテクノロジー、つまり SiP は、ボルトの頭部という小型サイズの設計要件に適しています。
結果
Krabo は現在、ネットワーク接続型ボルトを出荷しており、産業用規模の量産製品が入手可能です。同社は TI のワイヤレス テクノロジーを自社製品の内部に実装しています。TI のテクノロジーはサイズ要件に対応できる小ささだからです。同社はいつでもボルトのデータにアクセスでき、不可欠な更新 (ボルトや他の部材の交換) が不可欠になったときに、そのことを把握できます。Krabo は今後、より小型のボルトを開発することを計画しており、自動車など、より多くのアプリケーションにこのテクノロジーを拡大する予定です。
KRABO の IoT ボルトと TI デバイスの組み合わせ
KRABO ユーザーは、世界各地の任意の場所にボルトを設置した後、いつでもそのボルトのデータにアクセスし、張力のステータスを監視することができます。ボルトは ZigBee® や Bluetooth® のような通信規格を使用し、最初はデータをローカル ゲートウェイ宛に送信します。 ZigBee はメッシュ ネットワークをベースにしています。ZigBee は使用しやすく、多様なネットワークとの互換性もあります。これらの業界規格は 10m ~ 100m の通信距離を確保できます。ゲートウェイは、Wi-Fi® または携帯電話 / スマートフォンの接続機能を使用してインターネットに接続します。 すべてのデータは KRABO の集中的なクラウドに到達し、ノート PC、タブレット、スマートフォンのいずれかを使用して可視化できます。 リモート アクセス データを使用して予防保守を行うと、たとえば、大都市の橋梁インフラの場合、節減額はシンプルな定期保守に比べて年間 2,000 万 ~ 3,000 万ドルに達することがあります。
「多様なインフラを建設する場合、サイズ、消費電力、高信頼性の接続機能が原因でエンジニアは多くの課題に直面します」と、Krabo のプロジェクト マネージャである Paolo Redaelli 氏は語ります。「TI の SimpleLink デバイスは超小型ソリューションであり、最小の消費電力や ZigBee エコシステムとの統合が容易という利点があります。当社はこれらを使用して、これらのインフラからゲートウェイに信頼性の高い方法でデータを直接送信し、当社のお客様は (それらのデータを目にして) 自社の設計に自信を深めることができます」。
Krabo はこの革新を新興市場で展開することを意図しています。それらの市場で、これらのデバイス小型化は量産の道を開き、歴史的に見ても高額なインフラの分野で、安全性のいっそうの向上と保守コストの低減に貢献します。
Krabo について
Krabo の創業は 2018 年です。Fontana Gruppo (フォンタナ グループ) は、ファスナー分野や、機械的接合向けのボルト、ナット、金物 (ハードウェア) デバイス製造分野の大手企業です。同社の社内部門である Fontana Fasteners R.D. (フォンタナ ファスナー研究開発) が構想を描きました。
Krabo の使命は、ワイヤレス テクノロジーを使用して、ファスナーの嵌合 (かんごう:かみ合わせ) や制御をリアルタイムで実施できるプラットフォームを構築し、リモートの地点からインフラを簡単に検査できるようにすることです。
Krabo は、一般的な「ボルト」を「ネットワーク接続型ボルト」に移行することを意図しています。そうすれば、ボルトが緩んでいる場合や異常なステータスが発生した場合、リアルタイムで検出し、アラートを通知することができます。KRABO のテクノロジーは、ワイヤレスであり、エネルギーは自給自足です。 ボルトにケーブルを接続する必要はありません。その結果、ボルトの機械的特性や規格準拠が (ケーブルの) 影響を受けることはありません。
高信頼性かつ持続可能な産業用プロセスを採用すると、量産環境でこれらの特長すべてを実現できます。KRABO ボルトは、標準ボルトを置き換え可能な真の代替品であり、検査工数の低減や安全性の向上を実現できます。 Krabo テクノロジーの用途は無限です。建造物、道路、鉄道、自動車、機械など、安全性が不可欠な要因である多様なインフラの場面です。
KRABO® は、Fontana Gruppo の登録商標です。
詳細については、www.krabo.it (イタリア語ではなく英語表記) をご覧ください。
接続テクノロジーの詳細をご覧ください
適切なワイヤレス技術を選択することは重要であり、TI はそのお手伝いをします。TI は 20 年以上の経験を活用し、Wi-Fi®、Bluetooth®、Sub-1GHz、ZigBee® などの接続プロトコルの改善を進めています。TI は、手ごろな価格、高品質、低消費電力のワイヤレス マイコン (MCU)、認証済みモジュール、トランシーバで構成された製品ラインアップとともに、あらゆる RF 設計ニーズに対応する包括的なソフトウェア製品ラインアップを提供しています。次期 IoT コネクテッド (ネットワーク接続) プロジェクトを開始する際に、開発に使用するプロトコルを選択できます。
接続機能に関するさまざまな情報をお届けする TI のビデオ シリーズ、Connect へようこそ。エキスパートが最新の業界トレンドと TI の有線 / ワイヤレス接続テクノロジー、ハンズオン デモ、新製品プレビュー、トレーニングなどをご紹介します。TI の接続テクノロジーの活用で、新しい可能性に挑戦。