データシートに規定する接合部から周囲への熱抵抗 RθJA は、おもに各種ドライバの比較または熱性能の概算に役立ちます。しかし、実際のシステム性能は、PCB 層構成 (スタックアップ)、配線、ビア数、サーマル・パッド周りの銅面積に応じて、この値よりも良くなったり、悪くなったりします。ドライバが特定の電流を駆動する時間の長さもまた、消費電力や熱性能に影響を与えます。ここでは、定常状態および過渡熱条件での設計方法について考察します。
このセクションのデータは、次の基準を使用してシミュレーションしたものです。
- 2 層 PCB、標準 FR4、1oz (35µm 銅箔厚) または 2oz 銅箔厚。サーマル・ビアはサーマル・パッドの下にのみ配置 (2 個のビア、1.2mm 間隔、0.3mm 直径、0.025mm 銅メッキ)。
- 上層:DRV8212P WSON パッケージ・フットプリントおよび銅プレーン・ヒートシンク。シミュレーションでは、上層の銅領域が変化しています。
- 下層:DRV8212P 用にサーマル・パッドの下でビアを介して熱的に接続されたグランド・プレーン。下層の銅領域は、上部の銅領域によって異なります。
- 4 層 PCB、標準 FR4。外側のプレーンは 1oz (35µm 銅箔厚) または 2oz 銅箔厚。内側のプレーンは 1oz で一定。サーマル・ビアはサーマル・パッドの下にのみ配置 (2 個のビア、1.2mm 間隔、0.3mm 直径、0.025mm 銅メッキ)。
- 上層:DRV8212P WSON パッケージ・フットプリントおよび銅プレーン・ヒートシンク。シミュレーションでは、上層の銅領域が変化しています。
- 中間層 1:DRV8212P サーマル・パッドにビアを介して熱的に接続された GND プレーン。グランド・プレーンの領域は 74.2mm x 74.2mm です。
- 中間層 2:電源プレーン、熱的接続なし。電源プレーンの領域は 74.2mm x 74.2mm です。
- 下層:DRV8212P の下に小さな銅パッドを設け、上層および内部 GND プレーンから打ったビアで熱的に接続した信号層。下層のサーマル・パッドはパッケージと同じサイズ (2 mm x 2 mm)。上層の銅プレーンが変化しても、下層のパッドのサイズは一定。
HTSSOP パッケージについてシミュレーションした基板の例を 図 9-13 に示します。表 9-5 に、各シミュレーションで変化させた基板の寸法を示します。
表 9-5 16 ピン PWP パッケージの寸法 A
銅 (Cu) 面積 (mm2) |
寸法 A (mm) |
2 |
15.11 |
4 |
20.98 |
8 |
29.27 |
16 |
40.99 |