JAJSJR7B August 2022 – October 2023 DRV8462
PRODUCTION DATA
ステッパ・モーター・システムの性能と可聴ノイズは、モーターと負荷の両方から発生するトルク・リップルによって異なります。トルク・リップルは、各マイクロステップにおけるトルクの変動によって定義されます。ほとんどのステッパ・モーターでは、標準的な正弦波マイクロステップ・インデクサで許容範囲のトルク・リップルと、良好な性能を達成できます。
ただし、一部のモーターおよび負荷トルクの組み合わせでは、電流プロファイルを変更するとトルク・リップルが減少し、振動と可聴ノイズが低減することがあります。適切にプログラムすると、カスタマイズされた電流波形により、一定のトルクでマイクロステップ位置が均等に分散されるため、最高の位置精度が保証されます。
たとえば、永久磁石モーターの場合、ステップ角 (3.6°~18°) がハイブリッド・モーター (0.9° または 1.8°) より大きいため、トルクの変動がより顕著になります。固定子の歯数が少ないため、回転子が 2 つの固定子の歯の間にあるときに、固定子の歯と回転子の間で相互に作用する磁束の量が少なくなります。これらの中間位置で電流レベルが上昇すると、デフォルトの正弦波インデクサに比べてトルク・リップルが小さくなります。
DRV8462 は、特定のモーターの要件に合わせてマイクロステッピング電流プロファイルを調整するためのルックアップ・テーブルを備えています。変更した電流プロファイルは、EN_CUSTOM ビットに「1」を書き込むことで、デフォルトの正弦波プロファイルの代わりに使用されます。カスタム・マイクロステッピング・モードでのステップ入力の周波数は、300kHz を超えないようにします。補間プロセスの詳細を以下に示します。
ユーザーは、1/8 マイクロステッピング設定で、コイル A 電流の第 1 象限に対応する電流 (TRQ_DAC の %) をプログラムする必要があります。
これらの電流値は、CUSTOM_CURRENT1 レジスタから CUSTOM_CURRENT8 レジスタに保存されます。
これらの電流値の位置は、電気角 11.25°、22.5°、33.75°、45°、56.25°、67.5°、78.75°、90° に対応します。
0° の位置の電流値はゼロとします。
9 つの電流値 (0% フルスケール電流を含む) は、区分線形手法を使用して合計 256 ポイントまで補間され、完全な電流波形が作られます。補完された波形は、プログラムされたマイクロステッピング・モードに関係なく、常に 1/256 のマイクロステップに対応します。
次に、最初の象限の値を反転し、コイル A の他の 3 つの象限について繰り返します。また、コイル B の電流についても同様に 4 つの象限に繰り返し、完全な電流波形を作り上げます。
表 7-15 に、ユーザーの入力例を示します。
位置 (°) |
正弦インデクサ値 |
修正値 (CUSTOM_CURRENTx) |
---|---|---|
0 | 0 | 0 |
11.25 | 49.7 | 24 |
22.5 | 97.6 | 56 |
33.75 | 141.7 | 96 |
45 | 180.3 | 152 |
56.25 | 212 | 192 |
67.5 | 235.6 | 224 |
78.75 | 250.1 | 240 |
90 | 255 | 255 |
図 7-9 に、正弦インデクサで生成される波形と比較した、完全な電気角におけるコイル A の対応する修正電流波形を示します。