JAJSJT0B August 2022 – October 2023 DRV8962
PRODUCTION DATA
電流チョッピング・スレッショルド (ITRIP) は、VREF 電圧 (VVREF) と IPROPI 出力抵抗 (RIPROPI) の組み合わせにより設定されます。具体的には、内蔵のコンパレータを使用して、外付け RIPROPI 抵抗両端の電圧降下を VVREF と比較します。
たとえば、VVREF が 3.3V のときに ITRIP を 5A に設定するには、RIPROPI に次の値が必要です。
RIPROPI = VVREF/(ITRIP × AIPROPI) = 3.3/(5 × 212 × 10-6) = 3.09kΩ
IPROPI を GND に接続し、VREF ピンの電圧を GND より高く設定することで、内部電流レギュレーション機能をディセーブルできます (電流帰還が不要の場合)。電流帰還が必要でありかつ電流レギュレーションが不要である場合、VIPROPI が VVREF スレッショルドに到達することがないように VVREF と RIPROPI を設定します。
DRV8962 は、最大 4 つの抵抗性負荷または誘導性負荷を同時に駆動できます。出力負荷がグランドに接続されているときは、負荷電流を ITRIP レベルにレギュレートできます。PWM オフ時間 (tOFF) は 17μs に固定されています。固定オフ時間モードにより、外部コントローラを使用せずに、シンプルな電流チョッピング方式を実現できます。固定オフ時間モードは 100% デューティ・サイクル電流レギュレーションをサポートします。
負荷電流を制御するもう 1 つの方法は、サイクル単位の制御モードです。このモードでは、INx 入力ピンの PWM パルス幅を制御する必要があります。これにより、外部コントローラによる電流チョッピング方式の追加制御が可能です。
ハイサイドとローサイドの負荷を駆動する、いくつかのシナリオを以下に示します。
グランドに接続された抵抗性負荷:
ブランキング時間中に電流増加率を低速化する負荷インダクタンスが存在する限り、レギュレートされた電流は ITRIP を超えません。ITRIP が (VM/RLOAD) より高いなら、INx = 1 の間、負荷電流は VM/RLOAD のレベルにレギュレートされます (図 7-3 を参照)。
グランドに接続された誘導性負荷:
暴走や過電流保護のトリガを防止するため、電流がサイクルごとに十分減衰することを保証する必要があります。
図 7-4 に示すシナリオでは、INx = 1 のとき、IOUT が ITRIP を超えた後で、ローサイド MOSFET が期間 tOFF だけオンになります。tOFF が経過すると、再度 IOUT が ITRIP を超えるまで、ハイサイド MOSFET が再度オンになります。
サイクル単位の方式を使用して負荷を制御することもできます。INx = 1 のとき、負荷を流れる電流は増大し、INx = 0 のとき、負荷を流れる電流は減衰します。INx パルスのデューティ・サイクルを適切に選択することで、電流を目標値にレギュレートできます。このような各種のシナリオを、図 7-5 と図 7-6 に示します。
次のシナリオでは、電流が暴走しないように INx ピンのデューティ・サイクルを調整する必要があります (T は TOFF より小さい必要があります)。
VM に接続された負荷:
このような負荷は、INx ピンのパルス幅を制御することによって制御できます。図 7-7 と図 7-8 に示すように、INx = 0 のとき電流が増大し、INx = 1 のとき電流が減衰します。
このシナリオでは、電流が暴走しないように、INx ピンのデューティ・サイクルを調整する必要があります。