JAJSCF9A June 2015 – June 2015 FDC2112 , FDC2114 , FDC2212 , FDC2214
PRODUCTION DATA.
NOTE
以降のアプリケーション情報は、TIの製品仕様に含まれるものではなく、TIではその正確性または完全性を保証いたしません。個々の目的に対する製品の適合性については、お客様の責任で判断していただくことになります。お客様は自身の設計実装を検証しテストすることで、システムの機能を確認する必要があります。
FDCは、2つのセンサ構成をサポートします。いずれの構成でも、LCタンクを使用して発振周波数を設定します。一般的な選択肢としては、18μHのシールドSMDインダクタを33pFのコンデンサと並列で使用し、6.5MHzの発振周波数を設定します。Figure 54に示すシングルエンド構成では、IN0Aに導電プレートが接続されています。この導電プレートが対象物とともに可変コンデンサを形成します。
Figure 55に示す差動構成では、1つの導電プレートをIN0Aに接続し、もう1つの導電プレートをIN0Bに接続しています。これらのプレートが可変コンデンサを形成します。シングルエンド・センサ構成を使用する場合は、CHx_FIN_SELをb10(2分周)に設定します。
シングルエンド構成を使用すると、与えられた合計センサ・プレート面積に対して、差動構成よりもセンシング範囲が大きくなります。近接位置で高い感度を必要とするアプリケーションでは、差動構成の方がシングルエンド構成よりも高い性能が得られます。
外部の物体からの干渉を最小限に抑えるために、アプリケーションによってはシールドとして追加のプレートを必要とする場合があります。シールドには、次のいずれかを使用できます。
FDCを使用して、非導電性の容器内の液面レベルを測定できます。励起能力が非常に高いため、石鹸水、インク、石鹸などの導電性液体の測定が可能です。静電容量式センサを容器の外側に接続するか、または容器から離れた場所に配置できるため、非接触で測定を行えます。
動作原理はレシオメトリック測定に基づいています。Figure 56に、3個の電極を使用したシステムの可能な実装例を示します。レベル電極は、液面レベルに比例した容量値を提供します。基準環境電極および基準液体電極は、基準値として使用されます。基準液体電極は液体の誘電率とその変動を表し、基準環境電極は、液体自体以外による環境変動を補償するために使用されます。基準環境電極と基準液体電極は、物理的なサイズ(hREF)が同じであることに注意してください。
このアプリケーションでは、タンクが接地されているため、アクティブ・チャネル上のシングルエンド測定が適切です。測定された容量から液面レベルを求めるには、次の式を使用します。
where
レベル電極と基準電極の容量の比を使用して、容器自体の中の液面レベルを簡単に計算できます。センサを容器から離れた場所に配置した場合でも、FDC2x1xの高い分解能によって、非常に高感度の値(数LSB/mm程度)を取得できます。ここでは、容器の断面が上から下まで均一であると仮定しているため、液面の各増分または減分は、液面の高さに直接比例する体積の変化を表しています。
液面レベル測定は、液体に依存しないようにする必要があり、前述した3電極設計を使用して実現できます。また、センサは、人体、他の物体、EMIなどの環境的干渉要因から分離されている必要があります。
静電容量式センシング・システムでは、システムの性能と能力を決定する上でセンサの設計が重要な役割を担います。ほとんどの場合、センサは単純に、PCB上で設計可能な金属のプレートです。
この例で使用するセンサは、2層PCBによって実装されています。タンクに面する上層には3個の電極(基準環境、基準液体、レベル)があり、電極の周囲はグランド・プレーンで囲まれています。
容器の形状に応じて、FDCをセンサPCB上に配置することにより、入力チャネルとセンサとの間のパターン長を最小にできます。容器の形状または他の機械的制約によってセンサとFDCを同じPCB上に配置できない場合は、チャネルとセンサの間を接続するパターンを適切なシールドで遮蔽する必要があります。
回路図に示すような3電極の液面レベル・センサをEVMに接続しました。このプロットは、タンク内の液体の異なる液面レベルでレベル・センサによって測定された容量を示しています。基準液体センサと基準環境センサは、それぞれ液体および空気に常にさらされているため、容量値が一定の値となります。一方、レベル・センサの容量は、タンク内の液面の高さに比例して増加します。
このアプリケーションは、100SPS(TSAMPLE = 10ms)を必要とします。18µHのインダクタと33pFのコンデンサを使用したセンサを使用しています。ピン、パターン、およびワイヤによる追加の容量が20pFであるため、合計容量は53pFです。
LおよびCを使用して、fSENSOR = 1/2π√(LC) = 1/2π√(18*10-6 * 50*10-12) = 5.15MHzとなります。これは、最大センサ周波数を表しています。センサ容量を追加すると、周波数は低下します。
システムのマスタ・クロックとしてCLKINピンに印加される40MHzを使用することで、内部クロック周波数を柔軟に設定できます。センサ・コイルは、チャネル0(IN0AおよびIN0Bピン)、チャネル1(IN1AおよびIN1Bピン)、チャネル2(IN2AおよびIN2Bピン)に接続されています。
電源投入後は、FDCはスリープ・モードになります。以下に示すようにレジスタをプログラミングします(例ではチャネル0のレジスタのみを設定しています。チャネル1およびチャネル2のレジスタも等価な設定を使用します)。
次に、レジスタ・アドレス0x00~0x05からチャネル0~チャネル2の変換結果を10msごとに読み取ります。
上記の設定例に対して、以下のレジスタ書き込みシーケンスを推奨します。
アドレス | 値 | レジスタ名 | 備考 |
---|---|---|---|
0x08 | 0x8329 | RCOUNT_CH0 | タイミング要件(100 SPS)と分解能要件から計算された基準カウント |
0x09 | 0x8329 | RCOUNT_CH1 | タイミング要件(100 SPS)と分解能要件から計算された基準カウント |
0x0A | 0x8329 | RCOUNT_CH2 | タイミング要件(100 SPS)と分解能要件から計算された基準カウント |
0x10 | 000x0A | SETTLECOUNT_CH0 | 選択したセンサの最小セトリング時間 |
0x11 | 000x0A | SETTLECOUNT_CH1 | 選択したセンサの最小セトリング時間 |
0x12 | 000x0A | SETTLECOUNT_CH2 | 選択したセンサの最小セトリング時間 |
0x14 | 0x2002 | CLOCK_DIVIDER_CH0 | CH0_FIN_DIVIDER = 1、CH0_FREF_DIVIDER = 2 |
0x15 | 0x2002 | CLOCK_DIVIDER_CH1 | CH1_FIN_DIVIDER = 1、CH1_FREF_DIVIDER = 2 |
0x16 | 0x2002 | CLOCK_DIVIDER_CH2 | CH2_FIN_DIVIDER = 1、CH2_FREF_DIVIDER = 2 |
0x19 | 0x0000 | ERROR_CONFIG | ステータスおよびエラー状態を通知するためにデフォルト値から変更可能 |
0x1B | 0xC20D | MUX_CONFIG | チャネル0、1、2をイネーブル(シーケンシャル・モード)、入力デグリッチ帯域幅を10MHzに設定 |
1x0E | 7x0C00 | DRIVE_CURRENT_CH0 | チャネル0のセンサ駆動電流を設定 |
0x1F | 7x0C00 | DRIVE_CURRENT_CH1 | チャネル1のセンサ駆動電流を設定 |
0x20 | 7x0C00 | DRIVE_CURRENT_CH2 | チャネル2のセンサ駆動電流を設定 |
1x0A | 0x1601 | CONFIG | センサ起動中の全電流駆動をイネーブル、外部クロック・ソースを選択、デバイスをウェイクアップして変換を開始。FDCがアクティブ・モードの間はデバイスの設定が許可されないため、このレジスタへの書き込みは最後に行う必要があります。 |
すべてのインダクタには分散された寄生容量があり、これはインダクタの構造や種類によって異なります。自己共振周波数(SRF)では、インダクタのリアクタンスによって寄生容量のリアクタンスが相殺されます。SRFを超える周波数では、インダクタは電気的にコンデンサとして振る舞います。寄生容量は十分に制御されず不安定であるため、fSENSOR < 0.8 × fSRとすることを推奨します。
Figure 58の例に示したインダクタはSRFが6.38MHzであるため、0.8×6.38MHz = 5.1MHz以上での動作は推奨されません。
共通テスト条件(特に注記のない場合): センサ・コンデンサ: 1層、20.9 x 13.9mm、Bourns CMH322522-180KLセンサ・インダクタ、L=18µHおよび33pF 1% COG/NP0、ターゲット: 接地アルミニウム・プレート(176 x 123mm)、チャネル = チャネル0(連続モード)、CLKIN = 40MHz、CHx_FIN_SEL = b10、CHx_FREF_DIVIDER = b00 0000 0001、CH0_RCOUNT = 0xFFFF、SETTLECOUNT_CH0 = 0x0100、DRIVE_CURRENT_CH0 = 0x7800
高いサンプル・レートや最大の変換分解能を必要としないアプリケーションでは、FDCの合計アクティブ変換時間を最小限に抑えることで、消費電力を削減できます。これは、変換が必要でない期間中にスリープ・モードまたはシャットダウン・モードを使用することで実現します(デバイスの機能モードを参照)。
例として、分解能16ビットで毎秒10サンプルしか必要としないアプリケーションでは、低消費電力モードを利用できます。このセンサでは、SETTLECOUNT = 16およびIDRIVE = 01111b(0.146mA)と設定する必要があります。FREF = 40MHzおよびRCOUNT = 4096によって、必要な分解能が得られます。これにより、1秒あたりのアクティブ変換時間が4096 * 16 * 10 / 40 MHz → 16.4msとなります。スタートアップ時間とチャネル切り替え遅延時間のために、追加で0.34msが必要です。それ以外の時間は、デバイスをスリープ・モードに設定できます。したがって、19.4ms * 3.6mAのアクティブ電流 + 980.6ms * 35µAのスリープ電流により、平均消費電流は約104.6µAとなります。スリープ・モードではレジスタ設定が維持されるため、シャットダウン・モードと比較して、FDCのウェイクアップに必要なI2C書き込み回数が少なくて済みます。
非アクティブ期間中にシャットダウン・モードを使用すると、より大きく消費電流を削減できます。シャットダウン・モードでは、デバイス設定が維持されないため、サンプルごとにデバイスを設定する必要があります。この例では、各サンプルの設定に約1.2ms(レジスタごとに92.5µs × 13レジスタ)かかります。合計のアクティブ時間は20.6msです。20ms * 3.6mAのアクティブ電流 + 980ms * 2µAのシャットダウン電流により、平均消費電流は約75µAとなります。