JAJSCF9B June 2015 – October 2024 FDC2112 , FDC2114 , FDC2212 , FDC2214
PRODUCTION DATA
FDCのマルチチャネル パッケージを使用すると、基板領域を節約でき、柔軟なシステム設計が可能になります。たとえば、温度の変動によって部品値にずれが生じ、結果としてセンサの共振周波数が変化することが多くあります。第2のセンサを基準として使用することで、温度の変動を相殺できるようになります。マルチチャネル モードで動作する場合、FDCは各アクティブ チャネルを順番にサンプリングします。シングル チャネル モードでは、FDCは選択可能な1つのチャネルをサンプリングします。表 7-3 に、マルチチャネルまたはシングル チャネル モードの設定に使用するレジスタおよび値を示します。
モード | レジスタ | フィールド [ビット] | 値 |
---|---|---|---|
シングル チャネル | CONFIG、アドレス0x1A | ACTIVE_CHAN [15:14] | 00 = チャネル0 |
01 = チャネル1 | |||
10 = チャネル2 | |||
11 = チャネル3 | |||
MUX_CONFIG、アドレス0x1B | AUTOSCAN_EN [15] | 0 = 1つのチャネルで連続的に変換(デフォルト) | |
マルチチャネル | MUX_CONFIG、アドレス0x1B | AUTOSCAN_EN [15] | 1 = 複数のチャネルで連続的に変換 |
MUX_CONFIG、アドレス0x1B | RR_SEQUENCE [14:13] | 00 = Ch0, Ch1 | |
01 = Ch0, Ch1, Ch2 | |||
10 = Ch0, Ch1, Ch2, Ch3 |
各チャネルのデジタル化されたセンサ測定値(DATAx)は、センサ周波数と基準周波数の比を表しています。
FDC2112およびFDC2114のデータ出力(DATAx)は、16ビットの結果の上位12ビットとして表されます。
FDC2212およびFDC2214のデータ出力(DATAx)は、次の式で表されます。
表 7-4 に、各チャネルの固定小数点サンプル値を格納するレジスタを示します。
チャネル(2) | レジスタ(1) | フィールド名 [ビット] および値(FDC2112、FDC2114) | フィールド名 [ビット] および値 (FDC2212、FDC2214) (3)(4) |
---|---|---|---|
0 | DATA_CH0、アドレス0x00 | DATA0 [11:0]: 16 ビットの結果のうち 12 ビット。 0x000 = 有効範囲未満 0xfff = 有効範囲超過 | DATA0 [27:16]: 28 ビットの結果の上位 12 ビット |
DATA_LSB_CH0、アドレス0x01 | 該当なし | DATA0 [15:0]: 28 ビットの変換結果の下位 16 ビット | |
1 | DATA_CH1、アドレス0x02 | DATA1 [11:0]: 16 ビットの結果のうち 12 ビット。 0x000 = 有効範囲未満 0xfff = 有効範囲超過 | DATA1 [27:16]: 28 ビットの結果の上位 12 ビット |
DATA_LSB_CH1、アドレス0x03 | 該当なし | DATA1 [15:0]: 28 ビットの変換結果の下位 16 ビット | |
2 | DATA_CH2、アドレス0x04 | DATA2 [11:0]: 16 ビットの結果のうち 12 ビット。 0x000 = 有効範囲未満 0xfff = 有効範囲超過 | DATA2 [27:16]: 28 ビットの結果の上位 12 ビット |
DATA_LSB_CH2、アドレス0x05 | 該当なし | DATA2 [15:0]: 28 ビットの変換結果の下位 16 ビット | |
3 | DATA_CH3、アドレス0x06 | DATA3 [11:0]: 16 ビットの結果のうち 12 ビット。 0x000 = 有効範囲未満 0xfff = 有効範囲超過 | DATA3 [27:16]: 28 ビットの結果の上位 12 ビット |
DATA_LSB_CH3、アドレス0x07 | 該当なし | DATA3 [15:0]: 28 ビットの変換結果の下位 16 ビット |
マルチチャネル モードでFDCが各チャネルを順番にサンプリングする際、チャネルごとに要する時間は次の3つの部分から構成されます。
センサ起動時間は、図 7-4 に示すように、センサの発振が安定するまでに必要なセトリング時間の長さです。このセトリング待ち時間はプログラミング可能であり、安定した発振を可能にするために十分な長さに設定することをテキサス・インスツルメンツでは推奨します。チャネルxのセトリング待ち時間は次の式で与えられます。
各チャネルのセトリング時間を設定するためのレジスタおよび値を 表 7-5 に示しています。
チャネル(1) | レジスタ | フィールド | 変換時間(2) |
---|---|---|---|
0 | SETTLECOUNT_CH0、アドレス0x10 | CH0_SETTLECOUNT [15:0] | (CH0_SETTLECOUNT*16)/fREF0 |
1 | SETTLECOUNT_CH1、アドレス0x11 | CH1_SETTLECOUNT [15:0] | (CH1_SETTLECOUNT*16)/fREF1 |
2 | SETTLECOUNT_CH2、アドレス0x12 | CH2_SETTLECOUNT [15:0] | (CH2_SETTLECOUNT*16)/fREF2 |
3 | SETTLECOUNT_CH3、アドレス0x13 | CH3_SETTLECOUNT [15:0] | (CH3_SETTLECOUNT*16)/fREF3 |
任意のチャネルxのSETTLECOUNTは、次の条件を満たす必要があります。
ここで、
結果は最も近い整数へと切り上げます (たとえば、式 4 で最小値として 6.08 が得られた場合は、レジスタを 7 以上に設定します)。
変換時間は、センサ周波数の測定に使用される基準クロックのサイクル数を表し、このチャネルの CHx_RCOUNT レジスタで設定されます。任意のチャネルxの変換時間は次の式で与えられます。
基準カウント値は、必要な有効ビット数(ENOB)をサポートできるように選択する必要があります。たとえば、ENOB として 13 ビットが必要な場合、必要な最小変換時間は213 = 8192 クロック サイクルとなります。8192クロック サイクルは、CHx_RCOUNT値0x0200に対応します。
チャネル | レジスタ | フィールド [ビット] | 変換時間 |
---|---|---|---|
0 | RCOUNT_CH0、アドレス0x08 | CH0_RCOUNT [15:0] | (CH0_RCOUNT*16)/fREF0 |
1 | RCOUNT_CH1、アドレス0x09 | CH1_RCOUNT [15:0] | (CH1_RCOUNT*16)/fREF1 |
2 | RCOUNT_CH2、アドレス0x0A | CH2_RCOUNT [15:0] | (CH2_RCOUNT*16)/fREF2 |
3 | RCOUNT_CH3、アドレス0x0B | CH3_RCOUNT [15:0] | (CH3_RCOUNT*16)/fREF3 |
変換の終了から次のチャネルのセンサ起動開始までの標準チャネル切り替え遅延時間は、次のようになります。
FDCの変換時間は決定性であるため、固定された間隔でデータのポーリングが可能です。たとえば、プログラミングされた RCOUNT 設定が512 FREF サイクルで、SETTLECOUNT が 128 FREF サイクルである場合、1 回の変換にかかる時間は、1.8ms (センサ起動時間) + 3.2ms (変換時間) + 0.75ms (チャネル切り替え遅延時間) = 16.75ms (チャネルあたり) となります。AUTOSCAN_EN = 1および RR_SEQUENCE = 00 に設定して FDC をデュアル チャネル動作に設定した場合は、33.5ms ごとにデータ レジスタから完全な 1 セットの変換結果が得られます。
また、割り込みに基づくシステム設計に対しては、データ レディ フラグ (DRDY) も使用できます (「レジスタ マップ」の STATUS レジスタの説明を参照)。