図 7-19 に、MCF8329A デバイスに実装されているモーター起動シーケンスを示します。
パワーオン状態これは、モーター起動シーケンス (MSS) の初期状態です。最初のパワーアップ時、またはスタンバイまたはスリープ モードから MCF8329A デバイスが復帰したときは常に、MSS はこの状態で開始します。
DIR 変更 && DIR_CHANGE_MODE = 0b 判定MCF8329A では、すべての状態 (閉ループを含む) で、方向変更コマンドが検出され、かつ DIR_CHANGE_MODE が 0b に設定されている場合、本デバイスは MSS を再起動します。
ISD_EN 判定パワーオン後、MCF8329A の MSS は、初期速度検出 (ISD) 機能が有効化されている (ISD_EN = 1b) かどうかを調べる ISD_EN 判定に入ります。ISD が無効化されている場合、MSS は直接 BRAKE_EN 判定に進みます。ISD が有効化されている場合、MSS は ISD (Is Motor Stationary) 状態に進みます。
ISD 状態MSS はモーターの初期条件 (速度、回転方向) を決定します (「初期速度検出 (ISD)」を参照)。モーターが停止している (モーター BEMF < STAT_DETECT_THR) と見なされた場合、MSS は BRAKE_EN 判定に進みます。モーターが停止していない場合、MSS は回転方向の検証に進みます。
回転方向判定MSS は、モーターが正方向と逆方向のどちらで回転しているのかを判定します。モーターが正方向に回転している場合、MCF8329A は RESYNC_EN 判定に進みます。モーターが逆方向に回転している場合、MSS は RVS_DR_EN 判定に進みます。
RESYNC_EN 判定RESYNC_EN が 1b に設定されている場合、MCF8329A は「速度」>「開ループ - 閉ループ ハンドオフ」(再同期) 判定に進みます。RESYNC_EN が 0b に設定されている場合、MSS は HIZ_EN 判定に進みます。
「速度」>「開ループ - 閉ループ ハンドオフ」(再同期) 判定モーター速度が FW_DRV_RESYN_THR より大きい場合、MCF8329A は ISD 状態から得た速度および位置情報を使用して、閉ループ状態に直接遷移します (「モーターの再同期化」を参照)。モーター速度が FW_DRV_RESYN_THR より小さい場合、MCF8329A は開ループ状態に遷移します。
RVS_DR_EN 判定MSS は、リバース ドライブ機能が有効化されている (RVS_DR_EN = 1) かどうかを調べます。リバース ドライブ機能が有効化されている場合、MSS は逆方向モーター速度の確認に遷移します。リバース ドライブ機能が有効化されていない場合、MSS は HIZ_EN 判定に進みます。
「速度」>「開ループ - 閉ループ ハンドオフ」(再同期) 判定MSS は、MCF8329A が閉ループで減速するのに十分な逆転速度であるかどうかを確認します。速度 (逆方向) が十分上がるまで、MSS は逆方向閉ループ減速にとどまります。速度が低すぎると、MSS は逆方向開ループ減速に遷移します。
逆方向閉ループ、開ループ減速、ゼロ速度クロスオーバーMCF8329A は逆方向で再同期し、モーター速度がハンドオフ スレッショルドを下回るまで、閉ループでモーターを減速させます(「リバース ドライブ」を参照)。逆方向のモーター速度が低すぎる場合、MCF8329A は開ループに切り替わり、開ループでモーターを減速させ、ゼロ速度に達します。次に開ループで正方向に加速し、モーター速度が十分に上がった後、閉ループ動作に入ります。
HIZ_EN 判定MSS は、コースト (ハイ インピーダンス) 機能が有効化されている (HIZ_EN = 1) かどうかを確認します。コースト機能が有効化されている場合、MSS はコースト ルーチンに進みます。コースト機能が無効化されている場合、MSS は BRAKE_EN 判定に進みます。
コースト (ハイ インピーダンス) ルーチン本デバイスは、HIZ_TIME によって設定された特定の時間の間、6 つの MOSFET のすべてをターンオフすることで、モーターを惰性で回転させます。
BRAKE_EN 判定MSS は、ブレーキ機能が有効化されている (BRAKE_EN = 1) かどうかを確認します。ブレーキ機能が有効化されている場合、MSS はブレーキ ルーチンに進みます。ブレーキ機能が無効化されている場合、MSS はモーター起動状態に進みます (セクション 7.3.10.4 を参照)。
ブレーキ ルーチンMCF8329A は、BRK_TIME の間、3 つのローサイド MOSFET のすべてをターンオンすることで、ブレーキを掛けます。
閉ループ状態この状態では、MCF8329A は FOC を使ってモーターを駆動します。
注: ユーザーは、ブートストラップ コンデンサを完全に充電するのに十分な起動時間を確保する必要があります。ブート コンデンサを充電する 1 つの方法は、起動時にローサイド ブレーキで十分な時間を確保することです。その他に、ブートストラップ プリチャージ ルーチンを使用する方法があります。ISD 動作については、ブートストラップ電圧が UVLO スレッショルドを超えた後にのみ、本デバイスは ISD を開始します。